【マインドフルネスの効果】結局、何が変わるのか ②

前回の投稿では、マインドフルネスの効果として 「感覚が研ぎ澄まされる」をご紹介しようかと述べておりましたが、少し脇に逸れて、別のお話をさせていただこうと思います。

変革を推進するリーダーの悩み

改革派… 変革エージェント、イノベーター。
物事を変化させることに情熱を注ぎ、新しい価値を生むことを好むタイプのリーダーは、一般的なお仕事をしている方よりも、壁に当たることが多いと思います。

これは、変革期にある組織をマネジメントしなければならない、変化しないと生き残っていけない…という状況に追い込まれた組織のリーダーにも当てはまるでしょう。「想定の範囲外」のことが頻発し、ご自身のメンタルタフネスが問われる場面も多いはずです。

そんな場でリーダーを任されたら… 皆さんはどうしますか?
私は、変革リーダーという自負を持つ方の多くは、どうも「もっと自分自身を追い込む」こと、「自分を強くするため? に わざわざ苦しい道を選ぶ」ことが多いような気がしてしまうのです。

確かに おかれた問題を直視し、自分の至らなさを反省し、責任をとるならとる… という態度も美しい。そういったことをやらないリーダーも多い世の中ですから、保身に走ることなく潔さや正道を大切にする心は素敵だと思います。しかし、その正義の精神をビジネスに持ち込んだとして 変革は成功するのか?生産性は本当にあがるのか?という風にシビアに考えると、どうでしょうか。

その方法が成功しているうちは、良いと思います。
しかし、ビジネスという勝負の世界においては あらゆる手法を活用し知恵をもって対応したい。そういう状況の中で 自分が反省し、強くなればいいというマゾ的なメンタリティーで全ては解決されない…というのが現実なのではないかと感じるのです。

今の状況と自分との間にスペースをつくる

マインドフルネスという手法に熟達してから(あくまでも 熟達してから…ですが) 私自身が最も効果的であると感じ始めたのは、自分が何か一つの価値観や一つの手法に固執してしまっているときに、その状態に早い段階で気が付くことができ始めたということです。

これは前回の投稿でお話した「客観性」に極めて似ていますが、すくなくとも 客観的なステートを手に入れるまえに「自分が凝り固まっている」ということに気づく必要があります。

ある意味 気づくことは簡単といえば簡単です…。
自分が信じている手法や価値観に対して、反対の主張をされたとき、あるいは異なる意見を言われたときに 大きく感情が動く。または、その主張を無意味であり無価値であると 跳ね除けたい気持ちになるときは、 基本的に凝り固まっています。しかし、「今、自分は感情的になってるな」と認識することが難しいのです。このようなとき、私たちは 感情も思考もフル回転してしまっており、いわば 一つのステートに1000% 自分を浸しているために 自分について気づくことが難しい状況に陥っています。例えていうなら、裸の王様です。他人からは、一目瞭然ですから。

一定のステートに1000% 身を投じることができることは、私はスキルであると思います。こうすることによって類まれな創造やパフォーマンスが発揮できることは多い。ですから、私はこのステートを否定するつもりはありません。しかし、その感覚では解決できない問題が起こったときに、困ってしまうわけです。

一つのステートに自分を浸してしまう前に、あるいはその後に リアリティと自分との間にスペースをつくる。マインドフルネスはこれを助けてくれます。なぜなら、マインドフルネスは、

今起こっている出来事を評価や判断を下すことなく ありのまま見る

技術であるからです。もちろん、何度も申し上げるように これには訓練が必要となり、いきなりできるものではありませんが…。

起こっている出来事と自分との間にスペースができると、異なるアプローチをとることができるようになる。体育会系的なビジネスの世界で マッチョに頑張ってきた方々の多くは 何かあるときに 「行動する」ことや「前進すること」で解決しようとします。しかし、スペースができることで それ以外の方法を見出すことが可能となるのです。

もしかすると、あなたのスピードが速すぎただけなのかもしれません。3か月ほど あなたが待ってあげれば 組織はちゃんとついてくるかもしれない。

マインドフルネスは ヨーダへの道

さて、こんな風に 強いリーダーでありたい、自分自身を追い込んで常に高みを目指したいというメンタリティを持つ方に 最もマインドフルネスの効果は開花すると感じています。

もちろん、誰にでも 効果はあります。しかし、ビジネスという文脈で考えるならば 既に強いリーダーに もっとしなやかさをプラスできる可能性をマインドフルネスが与えてくれるのではないかと感じるのです。

単なるリラックスや癒しではなく、既に お持ちのパワーを 知恵をもって活用できるようになる。陳腐な表現になってしまいますが、体力と技術だけで勝負するのではなく、そこに隠者的な深い知恵とどこからともなくやってくる落ち着き、余裕を活用できるヨーダのようになること。それが 本質的なマインドフルネスの効果ではないか…と思います。

ABOUTこの記事をかいた人

2003年よりマインドフルネス瞑想を続けている。
15歳までヨーロッパで育つ。慶応義塾大学を卒業後、アクセンチュアで組織戦略・人材開発のコンサルティングに従事し異例のスピードで昇進。アクセンチュア・ジャパン 史上 最も若い女性マネジャーとして抜擢される。その後、独立系コンサルティング企業でビジネス開発に携わる傍ら、キャリアコンサルタント及びコーチとして活動。不確実な時代の波を乗りこなす事業の在り方やビジネスパーソンとしての生き方について考えるようになる。
2010年、ビジネスの世界を離れて精神世界の手法や瞑想などを研究しながら年間500人以上のクライアントへセラピーを行い、自らも多くの神秘体験をする。現在は、その時の体験や視点を活かしながら 事業活動、企業のコンサルティング、カウンセリングなど幅広く展開。
監訳書として、『コーチング術で部下と良い関係を築く』、共著に『「ハイパフォーマーの問題解決力」を極める』がある。