【マインドフルネスの効果】責任を負わない

「責任感がある」というのは、リーダーが持っていて当然と考えられている資質です。今担当しているお客様との契約がうまくまとまるか、今期の売り上げ目標は達成できるか、部下のモチベーションは高く維持できているか、新商品の開発はスケジュール通り進むか。これらのことが達成できたらあなたも嬉しい。部下の方々とも喜びを分かち合う。

もし、当初考えていた成果が実現できなかったら、部下のせいにせず、自分の責任と受け止めて上司に次の達成を誓う。失敗を部下の責任にすることなど論外。こういう考えを持っている方は多いと思います。

ただ、毎日「責任を取らなければならない」と考えていないでしょうか? 結果として責任を取ることと、日々自分が責任を取らなければと考えることは別のことです。

責任は取ればいい。負わなくていい

リーダーとは、責任を取る役割の人だと言い切った経営者の方がいらっしゃいました。真意を伺うと、「何かが起こったときに、誰かが責任をとらなきゃいけないのが会社。そのときに謝る。場合によっては職を辞す。それリーダーの仕事だ」とのこと。リーダーとして、すべてを引き受ける矜持をその方から感じたことを覚えています。

その方はあるプロジェクトの責任者として日々獅子奮迅の活躍をしていた人です。失敗したとしても誰も文句を言わない、難しいプロジェクトだと誰もが認めていた。彼の実績からすればうまくいくと周囲からも思われていた。でもうまくいかなかった。彼は責任を取って責任者のポジションを外れました。そのとき考えていたことを彼はすごく快活かつ率直に語ってくれました。

「責任を取るのはあたりまえのことだよ。でも自分に責任があったとは考えていないんだよね。何かあったことについて、自分に責任があるなんて考えない方がいい。それを僕は責任を負うと言っている。文字通り責任を背負うんだよね。毎日重い荷物背負っているのと同じだよ。そうなると、回りの人から見てもつらくなってきてしまう。第一、どんな物事だって、誰か一人のせいで何かがうまく行かなくなるなんてことは、あり得ないよ。」

自分で自分を追い込んでいないか?

困難なプロジェクトに抜擢された。先が見えない、リスクも大きい。もしうまくいかなかったらどうしよう。プレッシャーもかかりますが、自分を奮い立たせる状況でもあります。「もしうまく行かなかったらそれは自分の責任だ」と、却ってそのことをモチベーションにする方もいらっしゃるかもしれません。

でもそのことは、自分で自分を追い込むことに他ならない。うまくいかなかったら責任はとらなければいけない。日々そう考え、行動することが、組織のメンバーにも同じプレッシャーを与えているかもしれない。

「今やっていることがうまくいきそうにない。私の責任だ」と嘆く方には、「うまくいかなかったらその時に責任はとればいいじゃないですか。でも今そのこと考えなくてもよいでしょう。うまくいかなくてもあなたのせいじゃないでしょうし」と伝えるようにしています。こんなアドバイスこそ無責任だという謗りを受けそうですね。それはある意味正しい。私にはその人のやっていることに対して責任はないのだから。

無責任だと人から言われることから自分を守ろうとして、却って自分を追い込んでいませんか?でも無責任だと人をなじる人は、大体において責任のとる必要のない人であることがある(例外はあります。もちろん)。そんな人の言うことを気にする必要はない。

 「今。ここ」に集中する

大事なことは、今の状況で実現できる最大限の成果を得ることです。そのために必要な行動を考え、実行することです。まだ起きてもいないことに対して責任を取らなければならないと考え続けることで状況が改善するわけではありません。やるべきことはやっているので、何が起きても受け入れると考えた方が、気が楽です。だって他に何ができるというのでしょう?

マインドフルネスでは、「今、ここ」という感覚を大事にします。今の状況はどうなのだろうか。今できることには何があるだろうか。今何をする必要があるのだろうか。ここに考えを集中し、将来のことはあえて考えない。「先のことはどうなるか分からない。自分の役割はそのことに責任をとること。以上」とでも宣言してみてはどうでしょう。「今、ここ」に集中すれば、あなた自身も、そして組織の雰囲気ももっとゆるやかになるかもしれません。

やってみよう

・自分が取らなければいけない責任をリストに書き出す

・その責任を取る立場として、今何をする必要があるかを考える

・「何が起きるかは分からない。責任は取る」と宣言し、今やることに集中する

ABOUTこの記事をかいた人

瞑想経験10年。
大学卒業後、コンサルティング会社にてマインドフルネスとは正反対の世界で生きる。退職後フリーのコンサルタントとして活動している際にミャンマーの大僧正をメンターとする断食瞑想リトリートに参加したのが瞑想経験の始まり。
その後上場企業の取締役を勤め、現在は再びコンサルタントとして活動。
一人で酒を飲むのもマインドフルネスだと強引な解釈も取り入れ、リアルな経営の場で日々マインドフルネスを実践しようとしている。が時々イライラが爆発。いまだ修行中。日々戦っている組織のリーダーの方々にとってマインドフルネスがどのように役立つのかについて深めたいと考えている。