怒りの感情をコントロールする方法

私自身の経験になりますが 瞑想が習慣づく前というのは、仕事の原動力は怒りのエネルギーだった気がします。
自分の中にある戦闘モードのスイッチを入れてエネルギーを集中させる。なので、それを邪魔されると イラっとする…。そんな感じです。目標を設定し、そこに向けて 可能な限り自分の力を手中させていく。こんな風にアドレナリンを活用していたのかもしれません。

 

怒ることは悪いことか?

パワハラに注意する必要が出て来たり、部下との関係においてコーチングモードが大切になってきたりする世の中ですと「怒る」ということは悪いことのように思われてしまいます。しかし、そういうことではありません。

怒りというエネルギーはアドレナリン。そして原動力を与えてくれます。ですので 怒りが湧いてこないと仕事ができる感じにならない…というのはある程度は理にかなっていたと思います。うつ病を患っている人が復活してくるとき、 最初に戻ってくる感情が怒りだと言われています。怒りを感じることで人は立ち上がることができるのです。

また、純粋な怒りは、リリースされるとすぐに自分の中から無くなるのと同時に、他人にも原動力を与えます。例えば、お坊さんが「喝!」と叫ぶときには その大きなエネルギーが私たちの目を開く良いきっかけをくれます。しかし、純粋でない怒りの場合… この感情は いつまでも私たちの中に留まってしまいます。

 

怒りを封じ込めずに”観察する”こと

ありがちなパターンとしては、怒りの感情が湧いてきてしまった時に それを封じ込めたり「怒らないようにする」ことや「怒っていないと思い込む」「怒っていることを認めない」ことです。

マインドフルネス瞑想の訓練を積んでくると、自分自身の今の状態を客観的に把握しやすくなります。「あ、今 私の中で イライラや 怒りのエネルギーが高まってきているな…」ということに気づく。よく、会話の中で「なんでそんなに怒ってるの?」「怒ってないよ、怒っているのはそっちだよ」といったやりとりが想像できますが、他人から指摘されたり、他人が察知する前に 自分の中で気づけるようになるのです。

これは、マインドフルネスを教える Melli O’Brien さんが提唱している RAIN瞑想法の 1. Recognize(気づく、認識する) にあたります。

1. R   Recognize what is happening
2. A   Allow life to be just as it is
3. I   Investigate inner experience
4. N   Non-Identification

 

電車の席で 自分に向かって倒れてきている人がいる。車を運転していたら 横から急に割り込まれた…。そんな時に、怒りの感情はどのように湧いてきている?そのエネルギーは体内のどのあたりに最も留まっているでしょうか。その時に自分の頭の中に浮かんでくるおしゃべりはどのようなものですか? 「ふざけんな、あっちいけ」「天罰を受けろ」「仕返ししてやる」「ばかやろう」など…  それらを認識するのです。

何度か 申し上げているように マインドフルネス瞑想の 大切なポイントは「評価・判断しない」ということです。ですので、次のステップでは 2. Allow(ありのままを許す)ことになります。

冒頭でも申し上げましたが、怒ることは悪いことではありません。怒りがトリガーとなって浮かんでくる 思考や衝動を自分の中でむやみに抑制したり、封じ込めたり、突き放したりしようとすると、ますます感情のプールに引きずり込まれてしまいます。大切なことは 「ああ、今そうなっているんだな」と観察しつづけることです。その状態を好きになろうとする必要はありません。菩薩になった別の自分が 自分自身を見つめている… そんなイメージです。

この 1と2ができると状況と自分の間に少しスペースができます。結果、やわらかいものに包まれて自然と怒りはなくなる傾向が強いです。

 

メカニズムを理解しニュートラルに…

ここまで冷静になることができていると、次に内省の段階に入ることが可能となります。すると 3. Investigate (探求する)が可能となります。自分の中で怒りがトリガーされた理由はどこにあるのでしょうか?もし何らかのパターンが存在するとしたら… それはどのようなものでしょう? どのような条件が揃うと怒りが湧きやすいのか、探してみることです。

これは怒りを感じている場ですぐにやるものというよりは、少し時間をおいて より客観的な視点でご自分をみてみると考えやすい。あなたは、もしすると ご自分が意見を主張することを避けているのかもしれません。さきほど申し上げたように、怒りのエネルギーが純粋である場合には 変化を生む原動力となり 発揮されたのちには、すぐになくなります。

怒りはエネルギーです。ですので 「自分=怒り」ではありません。それが最後の 4. Non-Identification です。ピンときにくいかもしれませんが、これはマインドフルネスの本質です。私たちのマインドの中で発生していることは 私たち自身ではない。

さっきまで あんなに怒り心頭だったはずなのに 次の瞬間 それを忘れたかのように 別の気持ちになったりすることもあります。感情や思考は 移ろいやすいものなのです。そのエネルギーを我々がたまたま 拾っているだけであることを理解しましょう。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

瞑想歴16年以上。 15歳までヨーロッパで育つ。慶応義塾大学を卒業後、アクセンチュアで組織戦略・人材開発のコンサルティングに従事し異例のスピードで昇進。アクセンチュア・ジャパン 史上 最も若い女性マネジャーとして抜擢される。その後、独立系コンサルティング企業でビジネス開発に携わる傍ら、キャリアコンサルタント及びコーチとして活動。不確実な時代の波を乗りこなす事業の在り方やビジネスパーソンとしての生き方について考えはじめる。 2003年、瞑想に出会い習慣化するようになる。2010年よりビジネスの世界で活動をつづけながら、年間500名以上のクライアントへ瞑想的なテクニックを活用したカウンセリングを行っている。株式会社バランスオブゲーム代表。 監訳書:『コーチング術で部下と良い関係を築く』 共著:『「ハイパフォーマーの問題解決力」を極める』