【経験者に聞く】リーダーは、瞑想をどうビジネスに活かしているのか 第4回

マインドフルネスを取り入れているビジネスリーダー達は、どのように瞑想など日々の実践を行っているのでしょうか。また実践により起こった変化は? 佐野まゆみがビジネスリーダーにインタビューします。

第4回は、民間企業にお勤めで、クリーン・ランゲージ・ジャパン認定クリーン・ファシリテーターでもある本田忠行さんにお話をお聞きしました。

瞑想との出会いは子どものころ、祖母がきっかけ。

——瞑想を始めたきっかけについて教えてください。

今思えば、幼稚園くらいの時に祖母がきっかけで始めたのかなと思います。喧嘩して、泣いたり怒ったりして帰ってきたときに、祖母が「とりあえず目をつぶって、大きく3回息してみなさい!」って言うわけですよ。そうすると自然と、胸のあたりがモヤモヤしていたのがおさまる。心臓がバクバクしているのって、自分で止めようとしても止まらないじゃないですか。でも息は、意図的にゆっくりしたりできて、そうすると心臓のバクバクもおさまるっていうのを体験したんですよね。今も瞑想をすると同じことが起こっているのがわかるので、まさに当時、瞑想に近いことをやっていたのかなと思います。

——そんな小さな時から! おばあさんに教わったことは、大人になる過程でも意識していいましたか?

そうですね。気が動転した時とか、子どもの頃からあがり症だったので学芸発表会の時などは、「意識して呼吸をすると気持ちがおさまって、自分自身を取り戻せるな」と感じていました。あとスポーツもやっていたので、自然に同じようにやっていましたね。そのころは瞑想っていう言葉は知らなかったですけど。

瞑想法を意識したのは学生時代、そして10年前。

——瞑想という言葉を意識したのは、いつ頃ですか?

大学院くらいのときですね。大学の研究室の先生が結構年配の人で、瞑想をしていて、「こういう風にやるんだよ」っていうことだけ教えてもらいましたね。その時やったのは、サマタ瞑想。数字を「1、2、3、・・・10」って数えて、また1から10まで。数えているうちに余計なことが思い浮かぶと、また1からやり始める。10までなかなか行かないんですけどね。それを習って、瞑想が小さい頃からやっていたこととリンクしましたね。

その後は社会人になってから、2007年くらいに『マインドフルネス・ストレス低減法』(ジョン・カバットジン著、北大路書房)という本に出会いました。2005年に社内異動で仙台から首都圏に来て、仕事も変わって結構負荷が高くストレス状態だったんです。その時にある人がこの本を紹介してくれて。この本にはワークがいっぱい載っているんですよね。レーズンを使った「食べる瞑想」とか、ボディスキャンとか。これを読んだ時に結構やってましたね。科学的なデータ、裏付けもあったりして。今のマインドフルネスの流行りのきっかけにもなった『サーチ!』(チャディー・メン・タン著、宝島社)っていう黄色い本も読んで、「こういう理屈なのね」とその時にわかって、今に至りますね。

毎朝・毎晩と週末、会社では昼休みに瞑想。「直感がきく」という実感。

——今は、どのように瞑想をしていますか。

今は朝起きた時に5分か10分くらいと、寝る前にも10分くらい。休日には30分くらいやっています。朝はサマタ瞑想で、夜はボディスキャンですね。そのまま寝るっていうパターンで(笑)。休みの日はボディスキャンが結構多いかなぁ。

——会社で、仕事中に瞑想をしたりはしないんですか?

昼休み、食後にちょっとやっていますね。自席で座ったまま10分くらい。普通に目を閉じてじっとして、サマタ瞑想で「1、2、3、4、…」と数えている。

<本田忠行氏プロフィール>民間企業に入社後、エンジニアとして開発をリードしてきた。 05年の社内異動を機に、組織をよくすることに取り組んでいる。 趣味は読書、散歩、スポーツ観戦など。

——ビジネスの場で、本田さんが感じる瞑想の効果は?

感覚としては「直感がきくな」と思います。体感覚が敏感になるような感じで、ロジックではなく何となく感じたところで判断が、結構間違っていないことが多いですね。チーム・メンバーにいろいろ細かく聞かなくても、今その人が置かれている状況や何を考えているかが自然と感じ取れる。その力は上がったような気がしています。あんまり考えなくても「これを言った方がいい」ということがわかって、迷いが少なくなっていますね。間違っていることもあるけれど、それでも立て直しが早い。逆に今でも、マインドフルネスの状態になれていない時には、判断を誤ることもありますよね。

——マインドフルネスの状態になれていないと気づいたら、本田さんはどうしていますか?

時々ですがちょっと席をはずして、会社の敷地内を散歩したりしますね。歩く瞑想まではいかないけれど、1人になって静かなところに行く。それで、自分で呼吸に気づいて、見失っていた自分に戻るっていう感じですね。

自分なりのマインドフルネスの方法を見つければいい。読書や散歩も。

——会社で、周りの人とマインドフルネスについて話すことはありますか?

「何やってるんですか?」って聞かれて、「マインドフルネスっていうのが流行ってて」という話をすることはあります。みんな知っていますよね。「自分に気づいている時って、やっぱり判断も間違わないし、集中して仕事ができている時ってそういう時ですよね」って。「だけど、やるの難しいですよね」って、そっち側に行く(笑)

——そんな時はどう答えるんですか?

自分がどうやっているかを少し話します。それと、「マインドフルネス瞑想」って言うから、「瞑想=マインドフルネス」みたいな認識になっていますけど、マインドフルネスって一点集中とか気が散らないってことじゃないですか。その状態になるには人それぞれいろんな方法があるから、「漫画読むのもいいんじゃない?」って言ったりする。そうしてると余計なことが浮かんでこない。僕の場合だと例えば読書が、マインドフルネスの1つなんですよね。

——読書をすることで、「今ここ」に集中できるっていうことですね。

そうそう。今瞑想がポピュラーになっていて、いつでもどこでもできるのは確かに瞑想かもしれませんが、読書とか散歩も1つの方法かなって。だれにでも集中できることがあると思うんで、そんな話をしていることが多いです。そうすると、ハイキングやトレッキングが好きな人が「あー、そういうことなんですか」と納得してくれたりしますね。

——自分なりの、マインドフルネスの状態になれる方法。すごくいい視点ですね。

企業だと、今に集中できなくなることって結構多いですよね。事業計画とか、半年先くらいのことを考えて、みんなで「どうしよう、どうしよう」ってなっていたり、あとはちょっと前に失敗したことをずっと引きずっていて、ついついそっちの方に話が行っちゃったり。自分も含めて「今やること」に集中できなくなることって、やっぱり多いと思うんですよ。特に企業では未来に向けての話がどんどん出てきますから。そんな時に「今ここに集中するための方法を自分は会社の中でどう作り出そうか」と意識すれば、一人ひとりが自分に合った方法を考えられるんだと思うんですよね。

ベースを整えるのが瞑想。

——読書をはじめ、常にいろいろと勉強されている本田さんにとって、瞑想とは何ですか?

「ベースを整えてくれる」のが瞑想だと思います。自分を普通の状態、ベースの状態に戻しやすい。唯一、自分自身でコントロールできるのが呼吸で、瞑想によって自分が平常に戻ると、反応的にならないでいられます。

まずは楽しんで。日常に変化は絶対に起きます。

——では最後に、これからマインドフルネス瞑想を始めてみようという方へ、メッセージをお願いします。

まずは楽しんでください。最初は瞑想がうまくできないと思うこともあるけど、それも楽しむっていうことですね。あとは、続けるために仲間を作るのも大事かな。自分の体験から言えるのは、日常に変化は絶対起きるので、やってみてくださいっていうことですね。

瞑想法はいろいろありますけど、「今ここ」っていうのがキーなんで、いかに自分が日常、あっち行ったりこっち行ったりしているかっていうことに気づけるだけでもいい。効果ありだと思います。2、3分瞑想してみて、どれくらい雑念が浮かんでくるかを数えるとか、そのくらい楽しんでやってもいいんじゃないかなぁと思います。うまくやろうとするとうまくいかない。「雑念が浮かんでこないように」って思うと、もう考えてるじゃないですか(笑)。たまたま自分にはきっかけがありましたけど、いつきっかけがあるかは人によるので、楽しんでやるのがいいと思います。

——はい、楽しみます! どうもありがとうございました。

ABOUTこの記事をかいた人

瞑想歴4年。大学卒業後は日用品メーカーにて、国内外のマーケティングおよび広告宣伝を担当。その後フリーランスの産業翻訳者を経て、大手英会話学校にて英会話講師、教務主任、スクールマネージャー、教師の採用育成に従事。TOEIC(R)L&Rテスト990点満点取得、英検1級合格。 2013年頃から英国スピリチュアリズムを中心に精神世界・心理学・哲学・マインドフルネスに興味を持ち、国内およびイギリスにて学びを深める。 現在はビジネスリーダーを中心に、直感コンサルタントとして人生・キャリア・ビジネス・人間関係に関するコンサルティングを行い、マインドフルネスや直感をビジネス現場や日々の生活に適用する方法を伝授。人事研修講師、株式会社ワーク・ライフバランス認定WLBコンサルタントとしても活躍中。また、個人専属の英語学習コーチとして、英語学習法のコンサルティングおよび目標達成までの伴走者を務める。翻訳協力:『マーケティングリサーチの理論と実践 理論編』同友社2006他。