マインドフルネス本紹介|実践!マインドフルネスDVD

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今回は早稲田大学 人間科学学術院 教授の熊野宏昭先生の新著、『実践!マインドフルネスDVD』をご紹介します。

最近のマインドフルネス本紹介は、『悟り』や『覚醒』など深く濃い内容が多かったのですが、本書はマインドフルネスの入門書としても既に実践されている方にもおすすめできる内容です。

熊野先生の著書は以前『心理学の視点で考える マインドフルネスの役割』という記事でもご紹介しました。
今回ご紹介する本書は、大学の講義形式の動画と瞑想法の入ったDVDと、動画で出てくるスライドや補足のQ & Aも盛り込まれたテキストがセットになったDVDブックとなっており、平易な表現でとてもわかりやすく解説されています。

欧米で広がるマインドフルネスブームの火付け役である医療分野のマインドフルネス。日本においてマインドフルネスを心療内科治療に導入している第一人者が熊野宏昭医師です。NHKスペシャルやNHKの健康番組にもたびたび出演している著者が、マインドルネスの価値や効果、理論と実践を現代人のとくに若い世代を対象に、紹介します。
本書の特徴は、講義と実践指導をテキストとDVDで立体的に学び、実習し、身に着けることができることです。社会の第一線で働く人に向けて、ストレスフリーで生きていく戦略としてマインドフルネスの最新理論と効果的な実践を、わかりやすく映像とテキストで解説指導します。 コンセプトは「講義と実践指導を自宅で再現できるDVD」です。

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どのような人におすすめか?

瞑想初心者にも、ベテランさんにも…

熊野宏昭先生
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本書は
 第1部 マインドフルネスの基礎
 瞑想1 集中瞑想(サマタ瞑想)
 第2部 マインドフルネスをより深く理解する
 瞑想2 観察瞑想(ヴィパッサナー瞑想)
という構成になっています。

第1部『マインドフルネスの基礎』ではマインドフルネスについて全く知識のない初心者の方にも基礎を重点的に分かりやすく解説されています。

ストレスの多い現代社会を生き抜く上では、『ストレスを減らす(離れる)』『ストレスを発散する(運動・趣味など)』の他に『ストレス抵抗性をつける』という方法があり、この『ストレス抵抗性をつける』上でマインドフルネスが有用である、と書いています。
同じストレス環境下に置かれても 人によって受け取るストレスの量は異なりますが、それは人の生まれ持った性格や育った環境によるものが多いと考えられています。そこで、正しい方法でマインドフルネスを続けていくこと(本書で述べられている2つの瞑想法の手順はとてもシンプルで、取り組みやすい内容となっています!)で、誰でも『ストレス抵抗性をつける』ことができるのです。

後半の第2部『マインドフルネスをより深く理解する』では、既にマインドフルネスや瞑想などを始めていらっしゃる方にも、発展的でより理解を深めることができる内容となっています。特に『第5章 メタ認知的気づきと真の自由』は入門書としては少し難解かもしれませんが、全体を通して例えなども使ってわかりやすく説明されているので、瞑想法とセットで繰り返し読むことで、より理解を深めることができると思いました。

基礎も理解できるし、新しい情報も…

私自身は瞑想歴を公言できるほど継続できていないマインドフルネス初心者です。第1部は知っている内容も多かったですが自分の中で散漫になっていた情報が整理され、一方で第2部は知らない内容も多く、読み応えがありました。

「マインドフルネスが良いことは分かってるんだけど…」と中々一人では続かない私のような人間でも、本書を読むことで実際にどのような効果や変化が期待できるのか?を知ることができ、取り組んでみようという意欲が沸いて、最近瞑想が少しずつ続いています 笑。

すぐに瞑想が実践できる

DVDとテキストには二種類の瞑想法(集中瞑想と観察瞑想)がコツやポイントと共に紹介されています。さらに本の中のQ & Aでは、瞑想を実際に行った際に気になったり疑問に思うことについても丁寧に取り上げ答えられていて、「マインドフルネスってどんなものなのかな?」と気になっている方も、読んだ後すぐに瞑想を実践することができると思います。

瞑想は雑念をなくすことが目的ではない

瞑想しながら「気づき続ける」こと

過去の失敗を繰り返し思い出して自己嫌悪に陥ったり、逆にまだ起きていない未来について考えて不安に思ったり、思考が優位となってしまって過去の体験からの妄想によって萎縮してしまったりパニックになってしまったり(これらのことは今実際に起こっている出来事ではないので、『バーチャルな世界』と表現されています)、ということは社会生活を営む上では度々あることかもしれません。
このようなマインドフルネスな状態とは逆の「マインドレス」な状態については『心理学の視点で考える マインドフルネスの役割』の記事にて解説していますのでご参照ください。

一方、マインドフルネスでは、思考や感情は主体的なものではなくて勝手に立ち上がっていくものとされ、思考の中に居すぎると ”考え” の世界に呑み込まれてしまうと説明しています。
マインドフルネスを実践することによって『気づいていることに気づく能力』が高まり、バーチャルな世界から抜け出しやすくなります。

集中瞑想の実践のパートでは、体感覚や雑念・感情を捉えてラベリングしてタクト(報告)し、さらに中心に戻ってくるための具体的な方法についても書かれています。
DVDでは熊野先生が実際に瞑想をしながらガイドをしてくれるので、瞑想初心者の方でも取り組みやすく感じられると思います。

瞑想によって様々な自己につながれる

特に本書で書かれていたことで印象深かった点を下記に引用します。

瞑想中に雑念が出てきてしまってまったく問題ありません。何かを考えていたことにハッと気づくことはマインドフルネスの練習になるので、雑念が浮かんでいることに気づいたら、一回、マインドフルネスの練習ができたと思えばいいだけです。

(本書47ページより引用)

マインドフルネスの実践によって研ぎ澄まされる「自分が気づいていることに気づく」能力は、下記のような様々な自己につながっていき、結果として自分の全体を見ることができるようになります。瞑想体験がないと 「????!?」という感じかもしれませんが、やっているうちに ピンとくるようになると思います!

プロセスとしての自己
私的出来事としての思考・感情・記憶・身体感覚に気づきタクト(報告)する行動のこと。現実がお留守になっている状態を抜け出すには『今ここ』を感じる、今体験していることに目を向けて感じ取る能力(この能力や行動を『プロセスとしての自己』と呼ぶ)を高めていくことが必要です。
(本書69ページより引用)

観察者としての自己≒距離をおいて見る
偏りのないタクト(報告)のためには観察者としての自己が必要となります。心に巻き込まれずに現実(外界や身体・感受)の世界を見通すための1つの方法として、私的出来事から距離をおいて全体を観察すること、があります。
一般的に、私的出来事から距離を置いて観察する際には、嫌な思い(鬱・不安・怒りなど)をしたくないので自分の感情から距離を置いて見ようとします。なので対象から距離をおいた俯瞰の視点と思っていても、見ている方に観察者としての自己が残ってしまい、考える内容や言葉が残り、体験の全体が見えなくなってしまいます。
(本書79ページより引用、一部改変)

この問題を解決するためには
場としての自己≒「注意を無数に分割する」「場所の全体を感じ取って自分が動くこと」が必要になってきます。
注意を分割していろいろなところに同時に気を配ってそこを感じるようにすると、心のキャパシティがなくなって考える余地がなくなり、体験の全体が感じられるようになります。
いろいろなものを体験することで、自分の思考が作り出した概念化された自己が作り出されず、あるがままの知覚・距離ゼロでの広い範囲の俯瞰が可能となります。

(本書80, 81ページより引用)

このような注意を分割するための観察瞑想(ヴィパッサナー瞑想)の方法についてもDVDとテキストで詳しく紹介されていますので、是非チェックを。

本書で述べられているマインドフルネスの戦略

マインドフルネスを続けているとどうなるか?

結びに、本書で述べられているマインドフルネスの戦略についてまとめると、

自分のいつもの体験に気づいて…

↓いつもの反応を止める

↓パターンから抜け出す
 (目先のコントロールの放棄)

↓体験を見つめ続けるとどこかでピークに達し
 (メタ的に最大限に視野を広げる)

↓ピークから下がっていくところまで見届ける

↓過去の経験によって形成された反応パターン(うまくいかないパターン)に入り込まず立ち止まって抜け出す

↓いま自分はどう生きれば良いのかを選べるようになる

↓すなわち真の自由を得ることができます

自分が小さくなり、より大きなものと繋がる

そのとき自分は、自分というよりも自分は小さくなって世界と繋がった自分になっています (注:インテグラル・メディテーション(2)~Waking up~でご紹介した『非二元』に近い状態と考えます) から、世界が目指す方向性に沿って、次の行動を選べるようになります。

どう生きていいかわからないような今の世界を生き抜いていくためにも、出来事の全体を感じて、よりよい行動を選べる能力を高めていくことは大切です。
その能力がマインドフルネスによって身につきます。

(本書95ページより引用)

このように本書ではストレスに負けない戦略だけではなく、今の現実社会をより生きやすくするための理論と瞑想法を学び、実践することができます。
内容は濃いですが、本自体は100ページちょっとでイラストも多く、難しい専門用語はほとんど出てこないので、さらりと読むことができます。
ぜひお手にとっていただけたら幸いです。

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ABOUTこの記事をかいた人

ライター。 生物学の博士号を取得後、博士研究員・教員として教育研究に10年以上従事。9割以上が男性の業界で女性として働きつつ紆余曲折を経て、2012年頃から小島美佳さんからシータヒーリングやマインドフルネスを学ぶ。 現在は心理学や精神世界のことなど様々な視点も学ぶことで、本職の生物学の理解もより深めることができないか模索中。 適応障害で心療内科に通院しつつ、本サイトで紹介されている本で、アメリカでは精神科や心療内科の治療にマインドフルネスが用いられ成果を挙げていることを知り、自身を使ってマインドフルネスの効果を調べているマインドフルネス初心者です。