無理のないポジティブ思考・アファメーション 【マインドフルネス24講 第11回 リーダーシップ思考編】

 ビジネスパーソンに特化したマインドフルネス講座を全24回に渡ってお届けしています。

 前回はネガティブ思考への対処法についてお話しました。人間の脳は狩猟民族の頃の名残でネガティブなことに光を当てる傾向が強く残っているので仕事や人間関係など普通に生活していても危険察知のほうに注意や意識が行きがちです、という話でした。
 ここにマインドフルネスを取り入れると無理のないポジティブ思考に変えていけます、という話を今回していきたいとおもいます。

ネガティブ思考のサイクル

 気づかない間にしているネガティブ思考がループしネガティブな神経回路が強化されていくことは、無意識のうちに誰でも起こってしまうものです。例えば心配事が続き寝ても体が休まらない、という状態は、体がその処理をし続けているので何もしていなくても疲れてしまうといった事はよくあります。慢性疲労とか免疫低下といったストレス関連疾患もこういうところから来ていると言われています。

 このストレス反応においてマインドフルネスが非常に役立つと言われています。

 マインドフルネスではまず今ここに心を集中させること、そして私たちはネガティブ・ポジティブと物事を色々と判断してしまいがちなんですが、マインドフルネスでは判断をしないでありのままを観察します
 「なんか今日は天気がいいねぇ」「雨だねぇ」とか「嵐が来ちゃったねー」といった天気を見ている位の感じの距離感で、ただありのままを観察します。
 このようなマインドフルネスのトレーニングで脳・神経系の「今ここに集中」と「ありのままの観察」のための神経回路が強化されます。

 また第9講のおさらいですが、私たちは情報・刺激などのインプットを受けたときに、心の中で思考や感情などのプロセスを経て、行動や反応などのアウトプットを出します。


 ここでのプロセスがネガティブなパターンだと、起きた出来事を脅威として捉えて、闘争逃避反応も含めた恐れの感情からの行動パターンをとってしまいます。
 今回は、このプロセスの部分にもう少しポジティブな目的やビジョン、情熱などを持って感じ、新しいクリエイティブな行動を生み出していくことも可能ですよ、という話をしていきます。

ポジティブ思考の罠

 一方で、ポジティブ思考も過剰になると良くない(toxic positivity、といった研究もされているんですけど、実際ポジティブ思考には罠もあります。

 脳は刺激(インプット)に対して瞬時にプロセスを行っているので、
・ネガティブなプロセスが心の中に起こっているのにも関わらず、ないものにしようと蓋をしようとする
または
・潜在的な脅威の認識や恐れの感情が伴う状態を抑圧してしまう
といった、別の弊害が生まれる可能性があります。

 具体的な例としては下記のような状態です。

  • マニックな防衛、躁的な防衛
    「ポジティブに考えていればポジティブになるよ!」みたいなハイテンションで意図的に不安から遠ざかろうとする、躁的な防衛をしている状態です。

  • 過度な抑圧からの心身不良
    「ポジティブに考えよう」と思いつつ、過度に抑圧だけをしていると心身不良になります。潜在的にそれを繰り返している状態です。
  • 衝動性
    普段はポジティブな自分を繕っているけれど、時々、衝動的にネガティブな自分がわーっと出てきてしまう。「俺はいい人なんだ」って思っているけれど、「何か影で言われてるなぁ」と反応してしまうような状態です。
  • 外部への投影
    自分がポジティブに在ろうと思うがゆえに、悪く考える人がいると過剰に反応してしまう。「ああいう人がいるから空気が汚れるのよね」みたいな極端に他者に投影してしまう状態です。

マインドフルネスでネガティブを許容する

 ここからが本題ですが、こういった過度のポジティブ思考による弊害を避ける上で有効となるのがマインドフルネスです。これは広い意味でのネガティブ・ケイパビリティとも言えます。

 恐れの反応や悪い考えが出てきても大丈夫です。それすらも良くしてしまいましょう、というのがマインドフルネスの特徴です。ネガティブな環境・状況・答えの出ない状況に耐えうる力を養うものです。これらはありのまま見るトレーニングを続けると結果的に養うことができます。

 その結果ポジティブではない思考・感覚・感情反応も許容することができるようになります。

 そして、「あるものはある、去るものは去る」と信頼する。これは以前プラットホームの話でもしましたが、ネガティブな思考や感情は勝手に出てきてしまうものなので、除去しようと努力しても余計にネガティブなサイクルに入ってしまいがちです。そこで「出てきてオッケー」と許容します。
 もしかしたらずっとネガティブなことを考えてしまうかもしれないですし、逆に一過性ですぐに去っていくものもあります。思考や感情は台風みたいなものです。天気のように移ろいやすく、いつか去っていきますよと言うことです。

不快な反応に気づく、無理のないポジティブ思考のコツ

 これらのことも理解した上で、ポジティブな思考をしようとしているときに生じる不快な反応は無視せず気づくための4つのコツをお伝えしていきます。

  1. 放っておく。
    これができるのが1番いいと思います。「悪く考えている自分がいるなぁ」とか、もっと良いのは「悪い考えがやって来たなぁ」くらいに捉えて、自分と考えを切り離して放っておく
  2. やがて消える
    これも眺めると言うことです。すごい苛立って「あんなやろう」と思ったけれども、マインドフルな態度を持っていたら、そうでもなくなった、なくなった、といったことです。
  3. 認識の偏りを修正する
    また人によっては認識の偏りが強い場合があるので、それは見つけられたらその都度 修正するといいと思います。ネガティブに考えがちな人は、「そういう一言が悪いんだ」といった認識の偏りが自分の中にあるのを発見したら、修正する。いわゆる認知療法的なアプローチですね。
  4. 行動で解決する
    「自分は、こうこうこうだからダメなんだ」といった自分自身をネガティブに考える傾向のある人で、考えるだけで行動をしてない場合は、できるようにできる事はまずやってみましょう、ということです。自分自身の行動を変えていくことで、問題解決アプローチを介して手放すこともできます。

 このように認識と行動の両面のアプローチによって、より無理のないポジティブ思考もできるようになってきます。

脳の特性を利用したポジティブ思考

 マインドフルネスは良い状態・不快な状態もどちらでも、脳をフラットでバランスされた状態に近づけるものです。

 脳はネガティブに意識が向きやすいという特徴と別に、脳は見える世界を信じるという傾向があります。例えば休暇でハワイに行ったら、大抵みなさん最高な体験するじゃないですか。そこに着目して最近医療の分野で使われているのは、バーチャルリアリティ(VR)でハワイの環境を再現すると、人の心・神経系も変わってくるっていう治療法がやられているんです。
 疑似体験ができるバーチャルリアリティーの効果は想像以上で、脳が信じてしまえば心身も変わっていくのです。今回はここが鍵であり、ここを活用して無理のないポジティブ思考をやっていきます。

 そこで鍵になるのが「臨場感」です。要はハワイにいると思ったもの勝ち、臨場感が高まるほど良い、と言う事です。

マインドフルネスで臨場感を高めるコツ

 臨場感を高めるコツは、マインドフルネスでの感覚への集中にあります。具体的には、イメージを持つことです。

視覚・聴覚などを自分の中で再現できること、やマインドフルネスでは身体を集中的に見ていきますので、身体の感覚とか感情を微細に感じられるようになります。また、実際にハワイにいたら開放的な気分になり姿勢も変わってくると思いますが、そういった感覚を思い出すとか、想像することができます。
 さらにマインドフルネスで鍛えた『今ここ』へ集中力を使ってポジティブなイメージと自分自身がどんな関わりをしているか、感じて臨場感を高めることができます。

② 「こうあったらいいなぁ」といった描きたい未来を描くと、「どうせ」って思ってしまうような心理的パターンもあります。ここもマインドフルネスの評価判断をしないトレーニングによって、自分の描きたい未来を描く事は価値があると思えるようにもなります。

③ それでも「こんなこと、実現できるわけないよ」といった自分の中の自信のなさや違和感も出てくると思います。一旦ひとまずそれらは、マインドフルなアプローチで「出てきても良い」と脇に置いてみてください。

 このようにマインドフルネスも活用して、臨場感を高めるためのあらゆる方法を練習をしてみてください。現在の自分の外側の状態をイメージしつつ、臨場感を高めてみてください。
 例えば今の自分はこのような状態でありたいと思う時に、「今の仕事、環境だと絶対無理だな」と諦める前に、一度、ご自身の理想の状態を想像しきってみると、より臨場感を高められます。

アファメーション(肯定的な自己暗示)

 例えば、「都会を離れて、もう少し自然豊かな場所で暮らしたい」と考えたときに、「そうはいっても家族はどうる?仕事はどうする?」といった思考が浮かんできたとします。この時には「できるわけがない」という思い込みが働いてるんですけれども、それも脇に置いておいて、アファメーションをしてしまうんです。「私は自然の中で豊かに幸福に暮らしています」みたいな。


 そういった理想の状態を後押しするキーワードを使って、自己洗脳・自己暗示をする感じです。
 現在進行形で「なになにです」「こういう状態です」という言葉を使って、臨場感をさらに作っていけると良いです。

【実践】無理のないポジティブ思考・アファメーション 5分間瞑想

 今回は「今日は素晴らしい1日である」というアファメーションを使って瞑想していきます。
 アファメーションは、そう思ったりそう感じているといい気分になってくるんです。その良い気分や気持ちをさらに自分の中で響かせて増幅させて味わうと、臨場感も高まってきます。
 すると脳神経回路もそのように修正されて、思考や感情も変化し、より行動しやすくなるんです。

 これは心理学者で人間の欲求の解説をしたアブラハム・マズローの言葉です。

自分の力よりもずっと小さな目標を立てるとしたら、人生はつまらないものになってしまう。
そうする事は結局、自分の能力、自分の可能性に目をつぶることになるからだ。

 自分の枠の外に出てもみてもいいんじゃないか、そういう力が我々にはあると言うことです。

Source : 瞑想チャンネル for Leaders

次回は『硬い思考の緩和|島皮質』についてお伝えします。

基礎編

1, 今ここを知る
2, 呼吸を意識する
3, カラダ・姿勢を意識する
4, カラダ・感覚を意識する
5, 歩く瞑想
6, 音の瞑想・書く瞑想

リーダーシップ (1) 思考編

7, 集中力を高める|前頭葉と集中
8, 囚われ思考から自由になる | 気づく、手放す
9, ロジックとハートの統合|思考と感情の連鎖
10, ネガティブ思考への対処法
11, 無理のないポジティブ思考、アファメーション
12, 硬い思考の緩和|島皮質

リーダーシップ (2) 感情編

13, ストレスと脳|扁桃体
14, 古からのストレス反応に対処する|闘争逃避反応とDMN