囚われ思考から自由になる | 気づく、手放す 【マインドフルネス24講 第8回 リーダーシップ思考編】

 ビジネスパーソンに特化したマインドフルネス講座を全24回に渡ってお届けしています。

 今回は、思考への囚われ思考そのものから自由になる、ということについてお話ししていきます。
 私たちが普通に生活していると、考えや思考に囚われることは多いと思います。そういった囚われからどうすれば自由になれるのか?といったコツを、マインドフルネスや心理学の視点からお伝えします。
 第一に、囚われ思考への対処法としては、マインドフルネスの中でも特に
「評価・判断をしないでありのままを観察する」
という在り方が重要となってきます。

囚われ思考 とは

 意識的な集中などせずにそのまま通常通り日常生活を送っていると、人の頭の中の考え・思考は止まない、雑念は黙っている時も寝ている時も動いています。それは脳科学的にも自然なことです。というのも、脳が短期記憶を定着させて長期記憶としたり、睡眠で休息をとる(寝ている時のレム睡眠中に夢を見る、脳内の記憶・情報が整理される、など)、という過程でも必要なことだからです。

 雑念や思考を止めようとするよりも、むしろ「あるなぁ」と気づくことで、その思考に振り回されず気づき続ける注意力を鍛えることができます。思考や雑念自体も「ありのままを観察する」というマインドフルネスの対象になり得るのです。

 今回のテーマの『囚われ思考』とは、過去や未来に意識や考えが振られている状態です。集中していない状態に気づいたら、その都度『今ここ』に集中することがトレーニングとなり注意力が鍛えられます。

リーダーに必須の自己認識力とは

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 マインドフルネスを続けていくと、だんだん自分の中で起こっていること(身体や思考共に)に気づきやすくなってきます。それを『セルフ アウェアネス・自己認識』といいます。この自己認識はリーダーシップの領域でとても注目されていて大事にされている部分です。
 思考や想いに気づく、感情に気づくといった注意力を高めることによって、自己の内面での出来事や変化により早く気づけるようになる、自己認識力が高まるという側面があります。

 リーダーシップ研究で著名なターシャ・ユーリック氏は下記のように述べています。

自分について明確に認識している人(自己認識力の高い人)は、
より自信があり、より創造的。
より適切な判断を下し、より強い人間関係を築き、コミュニケーション能力も高い。
嘘をついたり、騙したり、盗んだりする可能性が低い。
仕事のパフォーマンスが優れ、昇進しやすい。
そして有能なリーダーであり、その部下の満足度が高く、会社の収益向上にも貢献している。

引用;What Self-Awareness Really Is (and How to Cultivate It)

 最近の脳科学研究によって、マインドフルネスでは神経可塑性という過程を経て、脳の神経回路、神経細胞同士の接続が強化されることが証明されています。マインドフルネスで注意力や自分に気づき続けるトレーニングを行うことで、結果的に自己認識を高める脳内の神経回路も鍛えられると言われています。

自分の囚われ思考に気づく

 前提条件として、そもそも自分の思考には気づきにくい、ということがあります。なので、まずは気づいて対象化する必要があります。特に今回のテーマの『囚われ思考』に気づくために、以下のような問いを聞いて、頭にどんなことが思い浮かぶか?考えてみてください。

【問い|過去への囚われ】

  • 自分はどのように足りていないと思いますか?
  • 自分はどのようにダメだと思いますか?
  • 自分はどのように人より足りていないと思いますか?

1番目と3番目は似ていますが、3番目は「他者と比較して」という事ですね。

 他にも過去への囚われに気づく問いはありますけれども、これらの問いのような何か引き金やトリガーがあると、瞬間瞬間に自分の心の中で何らかの思考が巡っている、という状態に気づきやすくなると思います。「あぁこうしておけばよかった」といった後悔とか、瞬時になくなる思考はいいんですけれども、思考が頭の中でグルグルと回っていつまでも引きずってしまうと、無意識のうちに囚われ思考を強化してしまいます。

【問い|未来への囚われ】

  • 将来に関してどのような不安がありますか?
  • 経済状況は?未来の社会は?仕事は?家族は?自分の人生は?その終わりは?

など、特に自分が考えやすい、思い浮かべやすい将来のことに注意を向けてみましょう。

 そもそも未来のことを考えない人は全く考えないかもしれませんが、この先の将来のことを考えて不安になる人もいるかもしれません。この未来への囚われが多く占めてしまうと、不安が先行してしまいます。精神的にしんどくなってきたり、不安が強くなってメンタルヘルスのバランスが崩れる時は、大体こういう過去や未来のどちらか、またはそれらの両方の囚われが重くなっている状態だと思います。

囚われ思考を手放し、自由になる

 最近の研究では、これらの囚われに気づいて脱する、という試みがあらゆるところで効果を発揮するということがわかってきています。つまり自分の囚われ思考に気づきいたら手放し、自由になるということです。
 まずは、考えている自分に気づいてみて下さい。気づいたら『今ここ』に戻ってくる、というマインドフルネスをします。無意識に思考に囚われれば囚われるほどエネルギーロスになってしまうので、思考に気づいたらその都度『今ここ』に戻りましょう。

 これは心理学では「脱同一化、脱フュージョン」と呼ばれるプロセスです。自分の思考や囚われに自分で気づけないと、その囚われから抜けることもできません。これは、認知行動療法でも重要になっている考え方です。

自己認識を修正する

 囚われた自分や不安などの自己認識は修正することができます。
 例えば第6講でお話ししたジャーナリング・書く瞑想を応用して、自分の思考を書き出して眺めてみてください。書く瞑想で自分の思考をとにかく書き出すのは、誰でもすぐに始めやすく効果も大きいと思います。
 過去、未来への不安とか懸念みたいな、仕事上業務上のことでも何でもいいのでテーマを決めて書き出すことで、気づき、囚われからちょっと自由になって距離をおく、対象化することができます。

♦︎ 書く瞑想・ジャーナリング



 さらに思考→反応のパターンから自由になり手放す、ここはマインドフルネス瞑想で鍛えられるところですけれども、それができるようになると繰り返される思考や認識パターンにも気づき易くなってきます。そこでしっかりと自分のパターンを客観視できるようになってくると、不必要だったり理不尽な思考や自己認識を修正することができます。

 一方で、思考の中には考える必要がある思考もあるかもしれません。例えば将来の不安などは考えないようにしていることで逆に不安が大きくなってしまう可能性もあるので、そこは気づいて整理することで『今ここ』からしっかり向かっていく姿勢になれます。このように自分の思考に気づいて整理することが習慣化してくると、自己認識の修正もしやすくなります。

 不安な状態のまま考えて対処するというのは、反応的な思考パターンからの対処になりやすいので、まずは思考に気づいて、一度切り離すということが意識的にできようになると良いと思います。

【実践】囚われ思考から自由になるマインドフルネス瞑想(約6分間)

 囚われている思考に気づき手放すトレーニング、 雑念に気づく基本の練習となるマインドフルネス瞑想をYouTubeにて無料公開しています。6分弱と短めですので、思考がグルグル回っているな、と気づいた時や日々の瞑想に取り入れてみてください。


次回は『ロジックとハートの統合|思考と感情の連鎖』についてお伝えします。

基礎編

1, 今ここを知る
2, 呼吸を意識する
3, カラダ・姿勢を意識する
4, カラダ・感覚を意識する
5, 歩く瞑想
6, 音の瞑想・書く瞑想

リーダーシップ (1) 思考編

7, 集中力を高める|前頭葉と集中
8, 囚われ思考から自由になる | 気づく、手放す
9, ロジックとハートの統合|思考と感情の連鎖
10, ネガティブ思考への対処法
11, 無理のないポジティブ思考|アファメーション
12, 硬い思考の緩和|島皮質

リーダーシップ (2) 感情編

13, ストレスと脳|扁桃体
14, 古からのストレス反応に対処する|闘争逃避反応とDMN