Cover photo by JD Lasica
今回はビジネス・インサイダーの記事より、Twitterの共同創立者 兼 元CEOのジャック・ドーシー(Jack Patrick Dorsey)氏の瞑想体験についてご紹介します。
瞑想の効果は多様で個人差がありますが、いろいろな方の瞑想体験からご自身らしいアプローチのヒントにしてくだされば幸いです。
目次
ジャック・ドーシー(Jack Patrick Dorsey)氏について
2006年、エヴァン、ビズらと共にObvious社(現Twitter社)を設立、2021年11月29日に辞任を発表するまで足掛け16年ほどTwitter社の共同設立者 兼 CEOとして活躍されました。
他にも
- 2009年にiPhoneなどのスマートフォンをクレジットカード決済端末にするSquareを開始し、同社のCEOに就任
- 2013年にウォルト・ディズニー・カンパニーの取締役に就任
するなど、
ソフトウェア・デザイナーとしてだけでなく、起業家・実業家としても有名です。
ドーシー氏は瞑想愛好家
スティーブ・ジョブズ氏が瞑想を愛していたことは有名ですが、ドーシー氏も実は瞑想愛好家です。
具体的には
- Twitter社とSquare社のCEOを兼任しながら、1日2時間瞑想を実践、
- 職場まで5マイル(8km)歩く
- 1日1食
といったストイックな健康管理によって
「難しい状況でも、なんとか持ち堪えることができた」
「二つの会社を同時に経営するというストレスにも耐えられた」
と述べています。
ドーシー氏は特にヴィパッサナー瞑想を好んで実践していました。ヴィパッサナー瞑想は洞察瞑想とも呼ばれ、10日間何も喋らずに座り続ける古典的な仏教の修行法も含みます。
ヴィパッサナー瞑想で大事にするのは「評価判断しないこと」。
意識や思考を手放し、さまよっている思考を認めて、すぐに呼吸に戻る、ということを繰り返し、最終的に より穏やかで集中した心を求めるものです。
瞑想によってどんな効果があったのか?
では具体的にドーシー氏にとって、瞑想はどんな効果があったのでしょうか?
ビジネス・インサイダーの記事よりまとめました。
1, 朝スタート時からスッキリとした頭で仕事に取り組める
ドーシー氏は元々朝が苦手でカフェインに依存気味だったのが、毎朝、目覚めた直後に15分間瞑想を実践したことで、頭がクリアに働くと効果を感じました。
実際には寝ている時と同様に目を閉じているものの、15分間 呼吸に集中する瞑想をするだけで、コーヒーを飲まなくともブレインフォグ(頭に霧がかかったようにスッキリせず、ぼんやりした感じ)が晴れ、朝のデスクについて仕事を始めた一時間にボーッとすることがなくなった、感覚が敏感に研ぎ澄まされた、と語っています。
2, タスクの切り替えに役立つ
仕事中、最も集中力が足りないと感じる時は、取り組む記事の題材を変えたり、執筆からインタビューへとタスクの切り替えを行う時です。そこで短時間の瞑想を行うことで余白(バッファー)が生まれ、次のタスクに集中できるようマインドセットかできるとのこと。
3, ストレスの軽減
瞑想によって不安が減り、二つの会社を同時に経営していた時も、2 の瞑想によって速やかに次のタスクに集中し切り替えることができたので、ストレスを感じることが減った、とのこと。
4, しかし 生産性が向上したわけではなかった
ドーシー氏は生産性について下記のように述べています。
仕事における短期的な課題、 例えば毎日の小さなタスクや締め切りを乗り切ることは、瞑想により鍛えられる集中力がなくとも、日々の適度なストレスとアドレナリンがあれば乗り切ることができます。
一方で瞑想は、短期的な課題解決(つまり生産性の向上)ではなく、高度な問題解決に有益であると感じました。
ヴィパッサナー瞑想では頭の中のタスクリストに反応するのではなく、物事全体を俯瞰的に観察することを求められます。このような意識状態は創造的なアイデアを生み出したり、大きな目標設定を行うのに役立ちます。
ヴィパッサナー瞑想のやり方
基本的にヴィパッサナー瞑想では、最初に呼吸に集中する瞑想を行い、集中できたなと感じたら、次に丁寧にボディスキャン瞑想や観察瞑想を行います。
YouTubeで公開した音源も是非参考にしてやってみてください。
1, 基本の集中瞑想
2, ボディスキャン瞑想
3, 観察瞑想
おわりに
私自身、子育てや家事と地域の活動、仕事をやりつつ親の健康管理などで、瞑想を行う時間を毎日30分も捻り出すのはなかなか難しい、と感じていました。(代わりに、子供を送った帰りに一人で歩くときに10分ほどの歩く瞑想や、洗濯物を畳むことなど毎日のルーティンに集中する、といった隙間時間で頭を空っぽにすることは実践していました)
しかしドーシー氏やジョブズ氏のように瞑想の恩恵を感じ取った人は、どんなに多忙であっても毎日の時間の中で意識的に瞑想を行う時間を作っているのだな、と感じました。きっと、芸術家の方が「歌が降りてきた」「絵を誰かに描かされているようだった」と度々おっしゃるような、天啓を得てそれを具現化する、みたいな体験なのでしょうか。
始めは、本やYouTube、アプリなどでやってみるのもよし、オンラインセミナーなどで同じ興味を持つ人たちと一緒にやってみるのもよし。
どちらでもご自分に合った方法を選んで、少しずつコツコツとやってみてください。
■ 瞑想する経営者
スティーブ・ジョブズ氏(Apple創業者、元CEO)
マーク・ベルトリーニ氏(米エトナ社CEO)
ビル・ゲイツ氏(Microsoft社 共同創業者、元会長、顧問)
サンダー・ピチャイ氏(Google CEO)