呼吸を意識する | ビジネスリーダーのためのマインドフルネス24講 第2回

ビジネスパーソンに特化したマインドフルネス講座を全24回に渡ってお届けしています。

前回は今ここに集中し評価判断しないでありのままを観察する能力を鍛えるためのトレーニングとして『タイガー瞑想』をご紹介しました。
第二回目の今回は『呼吸を意識する』についてお話していきます。

呼吸とは?

皆さんは普段、ご自分の呼吸を意識されていますか?
私自身もついつい忙しかったり緊張したりすると、呼吸をしていることを忘れてしまうこともあります。

呼吸は日本語では『息』『気』『魂』と言ったりもします。日本人は「呼吸を合わせる」とか「気を配る」「気配り」「気が合わない」など慣用句にも『呼吸』や『気』って言葉が多く使われていますよね。なので私たちは無意識のうちに呼吸について広く意味を捉えている、とも言えると思います。またギリシャ語ではプネウマと言われることもあります。このように心と呼吸が連動しているという事例は西洋東洋問わず歴史を紐解くと沢山出てきます。

呼吸は不随意であり随意でもある

皆さんは心臓や胃腸などの内臓を意図的に動かせないですよね。例えば今日は胃腸の調子が悪いから動きを活性化させてみよう、とかは普通はできません。呼吸は、内臓と同じように日々気づかないうちに行われて命を繋いでくれる(不随意運動)一方で、内臓と異なり意図して動かすこともできます。例えば深呼吸など深くゆっくりと呼吸をしたり、フーーッと長く吐きだすといったこともできます。意識しなくても呼吸は寝ている間も常に続いていて、逆に窒息や無呼吸症候群など酸素の欠乏は水や食事などの欠乏よりも圧倒的に短い分単位の時間で生死を分けます。
このように呼吸は意識しなくても続くけれど必須なもの、意図してコントロールすることもできる、という意識と無意識の中間領域にある不思議なものなんです。

またゆったりとした深い呼吸は自律神経を整えリラックスすることができ(過去記事『仕事とプライベートのオンオフを切り替え、リラックスする3つのコツ』参照)、さらに自律神経と脳の働きは非常にリンクしていることもわかってきています。

呼吸を思い出す=今ここにいる

皆さん放っておくと、大体過去と未来のことを考えてしまっていると思います。
ぼーっとしていると、あーあの時あんなことやっちゃった、あれがなければよかったのに、などと過去のことを思ったりします。未来もそうです。晩御飯何にしよう?と小さなものから、将来・未来への漠然とした不安など。未来への不安が全くない人はほとんどいない、と言われています。しかし未来について不安に思っていることは実現しますか?というと、実は不安の9割以上は実際には起こらないとも言われています。それなのに私たちは思考や意識など膨大なエネルギーを過去や未来に注いでしまってるんです。
なので、ただ今ここで呼吸に意識を向けてみてください。

呼吸というのは『今ここ』でしかできません。過去の呼吸を思い出すことはできませんし、未来の不安はいくらでも雑念として出てきますが、先の未来の呼吸もできないですよね。
なので息・呼吸に気づいている時間だけは、必ず皆さんが『今ここ』に戻ってくることができます。生体内の約20%ものエネルギーを脳が消費しているといわれ、そのエネルギーを未来や過去には漏れ出さず『今ここ』に集めることができる、そんなイメージです。
今この瞬間に意識して体を通して呼吸をしていくことが大事です。(漫画アニメの鬼滅の刃でも、全集中の呼吸の修行で、呼吸に気づき続ける、という訓練をやっていましたよね)

雑念は、ただ眺めて呼吸に戻る

マインドフルネスをやっていくと「雑念はなくならない」ということに気づくと思います。そこで「また雑念が湧いてしまった!」と考えを止めようとしないで、雑念があることに気づくことが大事です。呼吸に注意を向けていて雑念が湧いていることに気づいたら、また今の呼吸に戻ってください。マインドフルネスの時間で皆さんのやることはたったそれだけです。

そうするとまた雑念が湧くと思います。すごい集中している人は雑念は湧かずにさらに集中していくかもしれませんが、雑念は湧いてきてもオッケーです、ただ気づいてください。そして気づいて、ものによっては放っておいてください。「なんか今朝の家族との会話を思い出して、わーっと感情が出てきているな」となってもオッケーと思って、「雑念さん、そこにいていいですよ」みたいな感じで放っておいてください。そしてまた呼吸に戻ってください。この繰り返しです。

雑念が多いときというのは、前回お話した駅に電車が交錯してやってきているような状態なので、必ず通り過ぎたり車庫に入っていったりします。ただあなたはそれらを見届けているだけで大丈夫です。

集中力と観察力 両方が鍛えられる

呼吸に意識を向けているときは集中力を養っています。そして雑念に気付いたときには観察力を養っています。自己認識力はこの二つの力によって高まっていきます。さらにこの集中していない・雑念がある状態に気づいたらまた呼吸に戻る、という一連のプロセスが、脳の集中力を鍛えるトレーニングになるんです。

意識が呼吸から離れている・雑念に気づけた、それが忙しい時や大変な状況の時ほど、例えばトレーニングのバーベルの重さが重くなっていくような状態で、より『今ここ』戻る力がついてきます。実際、脳内の集中力に関わる領域や神経回路も強化されます。

なので呼吸瞑想をしているときに雑念が湧いていることに気づいたときには、がっかりしないで「雑念に気づく力・観察力がついた!」と思って喜んでください。そして最初はとにかく呼吸に集中することが大事なので、日常生活の中でも呼吸を意識していられる時間を少しずつ増やしていってください。

【4分間】呼吸に集中する瞑想

瞑想が初めての方でも簡単にできるようガイドした呼吸に意識を向ける瞑想です。

Source : ビジネスマンのためのマインドフルネス瞑想チャンネル

次回は『身体・姿勢 を意識する』についてお話します。