マインドフルネス用語解説|雑念 とは

雑念(ざつねん, ぞうねん)

distraction, idle thoughts

雑念とは、心に浮かぶ不必要な思考のことを指します。
特に、マインドフルネス瞑想においては、今ここに集中しようとする際に、意識が集中対象から逸れ、思考が過去や未来に迷い込んでしまうことで生じる現象を指します。
雑念に惑わされると、心がざわざわしたり、気持ちが落ち着かない感じがし、その結果ストレスや不安が高まる可能性があります。
しかし、マインドフルネスでは不要な思考が浮かんだことに気づき、また意識を集中対象に戻すというトレーニングを繰り返すことで脳神経回路が鍛えられ、集中力や注意力が増すと言われています。

改めて雑念の意味を辞書で調べてみると

気を散らせる種々雑多な思いや考え、煩悩、妄念、ぞうねん

と出てきます。
つまり、雑念とは自分が今やろうとしていることや感じていることとは関係のない思考のことです。


雑念の具体例

雑念は、私たちの日常生活のさまざまな場面で現れます。例えば、

  • 仕事や勉強に集中しようとしている時に、過去の失敗や未来の不安、他人の評価や自分の欠点などが頭に浮かぶ
  • 重要な会議中に、昼食や晩御飯のメニューを考えてしまう
  • マインドフルネス瞑想中に、瞑想後のタスクリストが頭をよぎる

これらはすべて、現在の瞬間から意識が離れ、雑念に捕らわれている状態と言えます。


マインドフルネスと雑念の関係

マインドフルネス瞑想の目的は、雑念を完全に取り除くことではありません。むしろ、雑念が生じることは自然な心の働きの一部であると理解し、それらに対して適切に対応する能力を養うことにあります。

マインドフルネスの実践者は、むしろ雑念は消えないことに気づき、瞑想中に眠気や散漫な思考・雑念が湧いてきたことに気づいたら、それを評価や判断せずにそれはそれとして受け入れ、再び呼吸や身体感覚といった集中対象に意識を戻す訓練を行います。この「気づきと戻る」のプロセスを繰り返すことが、マインドフルネスの本質的な訓練となります。

そして毎日少しでも瞑想の時間を作り、習慣化することで『雑念に気づいて今ここの集中に戻る』という脳の回路が強化され、集中力が向上します。
また不要な思考にとらわれる時間が減少し、ストレス軽減効果も期待できます。
さらに雑念を観察することで、自分の心の状態や感情に気づくことができ、自己認識力も高まります。


雑念と脳科学

最新の脳科学研究によると、私たちの脳には「デフォルトモードネットワーク(DMN)」と呼ばれる領域があり、これが雑念の源となっていることが分かっています。DMNは、特定の課題に集中していない、ぼんやりしている時に活性化し、脳がアイドリング待機しているような状態を作ります。また、過去の記憶や未来の計画、自己関連の思考を生み出すとも言われています。

興味深いことに、DMNが活性化している状態では、脳のエネルギー消費量が何か一つのことに集中している時と比べて20倍近くも多いという報告もあります。つまり、雑念に惑わされている状態は、脳にとって非常に非効率的であると言えるでしょう。

マインドフルネス瞑想の実践は、このDMNの活動を適切に調整し、必要な時に集中力を高め、脳の効率的な働きをサポートする可能性があります。これによって脳もアイドリング(DMN)状態から解放され、脳疲労の改善も期待できます。




まとめ

雑念は人間の心の自然な働きであり、完全になくすことは不可能です。しかし、マインドフルネスの実践を通じて、雑念との付き合い方を学び、より効果的に心をコントロールすることが可能になります。

定期的なマインドフルネス瞑想の実践は、雑念に対する気づきを高め、集中力を向上させ、ストレスを軽減し、脳の効率的な働きをサポートする可能性があります。ビジネスや日常生活において、雑念をうまくコントロールする能力は、生産性の向上やウェルビーイングの促進につながる重要なスキルと言えるでしょう。


集中力と自己認識力を高める基本のマインドフルネス瞑想

Source : 瞑想チャンネル for Leaders

 

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