ビジネスパーソンに特化したマインドフルネス講座を全24回に渡ってお届けしています。前回は『ここ』に集中するポイントとなる『カラダ・感覚を意識する』についてお話しました。
5回目の今回は『動作とマインドフルネス、歩く瞑想』についてお話ししていきます。
目次
動作とマインドフルネス
空間にあるカラダ・姿勢・身体感覚に意識を向けることで『今ここ』の『ここ』に戻る、集中できる、という話を前回までしてきました。
今回お話しする『動作・動き』もほとんどカラダなんですけれども、動きに意識を向けるというのが今回の本題です。今ここに心を置くために呼吸にも意識を向けますけど、動きも使ってみましょう、というお話です。ちなみに禅でも動く禅、動禅というものがあります。
モンキーマインドでは思考や意識が過去や未来に行きますよね、不安になったり後悔したり。第2回の『呼吸』では過去の呼吸未来の呼吸はできないので、呼吸に意識を戻すと今すぐここに戻ってこられます、というお話をしました。さらに今回お伝えする動きのマインドフルネスは、カラダでもあり空間にある自身の動きに注意を向けることで、『今ここ』に集中できるようになってきます。
いきなり全ての動作に意識を向けようとすると、仕事や日常生活などに滞りも出てしまうかと思うので、まずは動作にフォーカスする時間を、1日に10分でもいいので作ってください。そういった時間は、脳内でマインドフルな新しい神経回路を作ることができる筋トレのための時間だと思ってください。マインドフルネスは毎日10分を続けていくのが良いですよって言われていますが、おそらくそれを3ヶ月続けられたら明らかに扁桃体の反応が変わってきますので、穏やかになってくる人が多いと思います。
また動きの瞑想の良いところは、基本的な瞑想は座りましょう、目をつぶりましょう、ですがそういうのが苦手な方でもできます。今回の瞑想は目を開けたままでやります。
動きを意識するマインドフルネスのポイント
- マインドフルネスは動き・動作にも応用できる
(具体的には、歩く、動く、姿勢、日常の所作、など) - じっとしていることが苦手な方でもマインドフルになれる
- グッと集中していく感じよりも、パッとその都度気づく感覚
動き・動作を意識するメリット
1, 日常生活に取り入れやすい
目を閉じるとどんな感じがしますか?目を閉じると、必然的に中・内に意識が向きますよね。多分自分の体の中のほうに意識が行っちゃうと思うんですけど、逆に目を開けてみると外に注意が行くか?というと、実際は動いているので、自分と外の間で良いバランスで気づきが出てきます。外側の世界と自分の気づきですね。
基本は動く瞑想のベーシックなものは『歩く瞑想・歩行瞑想』です。これができるようになり日々の生活に応用できるようになってくると、例えば動いてる時や頭が忙しい時などに、さっと自分の体に動きに意識を向ける、ということできるようになってきます。
またよく推奨されるのは家事をしているとき、例えばお皿を洗っている時間はマインドフルネスにしようって決めてみる。家事などの日常のルーティンは、いろいろ他のことを考えながらやっていると思うんですけれど、その状態に気づいたらその都度、お皿を洗ってる動作に意識を戻す、集中する、つまり考える時間を減らす感じです。
このようなトレーニングは日常の所作、姿勢への意識などにも反映されてきます。
禅寺でお坊さんたちがやっている日常の作業は禅の修行としてほんとに大事にされていて、これがマインドフルネスの効果の1つにもつながっています。
2, 座る瞑想が苦手な人にもできる
動きのマインドフルネスのもう1つ利点は、じっとしているのが苦手な方でもマインドフルになれます。目をつぶってじっと座っているのが耐え難い、動きたくなるという方には、逆に『歩く瞑想』のような動いてる時の動作に意識を向ける、動きの中でのマインドフルネスがとても向いています。
2種類の集中
細かい話になってきますが、集中には
①ギューっとフォーカスを絞っていくような集中と、
② パッと切り替わる瞬間に気づく集中、
の2種類があります。
1, グッとフォーカスしていく集中
例えば皆さん手を出してみてください。手を軽く握るといろんな感覚がしますよね。この感覚に注意をさらに向けてみてください、どんな感じ・感覚がありますか?
なんかすごい集中する感じしませんか?
何か一つのことについて一生懸命考えようとする、これがグッと系の集中です。
2, パッと気づく集中
今度は手を自分の背中の後ろに回してみてください。そして一定のリズムでグーチョキパー、グーチョキパーと背中に当てながらやってみてください。このとき手は見えないですが自分が何出してるか?って感覚的にわかりますよね。このぐらいの注意力です。
今何出してるってわかる、グーチョキパーと手が変わるとパッとその瞬間に気づくと思うんですね。さらに手は動いてるので動作に注意が向いてますよね。このぐらいの軽い感じの集中です。時間をかけず考え過ぎずに、手の動きのリズムに合わせて集中力が切り替わっている。
パッと気づく集中は、日常生活にも取り入れやすく、じっとしていられない人にもできる
このぐらいの切り替えのリズムでの集中力を鍛えるには、動作に集中する歩く瞑想は最適です。歩く瞑想をしていても、放っておくとまた考え始めたり雑念で意識がどこかに行くんですけれども、その都度、動いている自分の動作に意識を戻す、の繰り返しをします。
歩く瞑想ではずっと歩き続けているので、雑念がパッと湧いてきたら歩いている自分の動きに意識を戻す、パッと気づく集中の感覚を是非つかんでみてください。
歩く瞑想・歩行瞑想のやり方・コツ
スペース的には室内で2-3m程度歩けるスペースがあれば十分です。歩くスピードは本当にゆっくりで、小さい歩幅でしっかりと踏みしめて、ある程度のところに行ったら、止まって反転して行ったり来たり、と歩き続けます。
歩いている時に考えごとをしていることに気がついたら、その都度足に意識を持っていきます。パッとした注意・集中について先ほどお話しましたけど、歩く瞑想では具体的には、足裏の感覚、一歩一歩踏みしめて歩いている動作を意識します。
もしスペースがない方は、その場で動いている全ての自分の所作に意識を向けるということをやってみてください。
これらを真面目に10分間やると、最初のうちは結構辛くなる、しんどく感じられるかもしれないですが、やってみると終わった後すごくスッキリすると思います。
実際の歩く瞑想で意識するとよいポイントを含めたガイドも録音したので是非、実践してみてください。
【松村憲】歩く瞑想・歩行瞑想のガイド(約5分間)
次回、第6回は基礎編の最終回『音の瞑想・書く瞑想』についてお話します。