認知的フュージョン
Cognitive fusion
認知的フュージョンとは、自分の思考や感情と現実や自己を無意識のうちに同一視してしまう状態のことを指します。
著書『ACT (アクセプタンス&コミットメント・セラピー) をまなぶ』JB ルオマ, SC ヘイズ, RD ウォルサー著(2009)の中では、認知的フュージョンとは思考・考えていることと現実や自己を混同する行動、と述べられています。
マインドフルネス瞑想を行うと、いろいろな思い込みやメンタルモデル「私ってこうなんだ」みたいな部分が出てきます。思い込みは自身の性格を作り、感情を作り、瞑想をしていれば揺れたりするなど体の感覚も作り出します。
マインドフルネスで『今ここ』を続けていくと、自分自身を観察していくので「自分はこう考えているんだ」ということを見始め、思い込みに気づいていきます。
例えば、「この商談は絶対に失敗する」と否定的に考えてしまうと、そうした思い込みが現実のように感じられてしまいます。しかし、それは単なる予想にすぎず、必ずしも事実ではありません。
このように、自分自身の思考や感情と『私』を無意識のうちに混同し、一体化・同一化している状態が『認知的フュージョン』です。
マインドフルネス瞑想を実践することで、私たちは思考や感情を、自分自身とは別のものとして観察することができるようになります。このような認知的フュージョンの状態から抜けること、またそのプロセスも大事になります。
今まで自分と切り分けられなかった考えや思考・感情は本当に真実なのか?これは歪んだ考えではないか?(認知の歪み)と気づくことで、その思考から一歩離れて(脱同一化)客観視できるようになる(メタ認知)のです
現代人が瞑想を行う上ではこういった脱フュージョン・脱同一化を目的に、心理学や認知行動療法を取り入れながら、脱同一化を行うことはとても大事な部分だと思います。
マインドフルネスによって脱同一化が進むと、自分のあり方や考え、感情も変化します。認知の部分へのアプローチは認知行動療法でも行いますが、マインドフルネスによってもさらに加速させることが可能です。
ビジネスシーンでは冷静な状況判断力が何よりも重要です。マインドフルネスを実践することで、認知的フュージョンの罠に陥ることなく、的確な意思決定がが可能となります。
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