ビジネスパーソンに特化したマインドフルネス講座を全24回に渡ってお届けしています。
前回は無理のないポジティブ思考、ネガティブな思考パターンをマインドフルネスで許容するコツについてお話しました。
今回はリーダーシップ思考編 全6回の最終回ということで、硬い思考を緩めるために必要なことについて話をしていきます。
目次
硬い思考とは
ご自分の思考が硬いなとか考えが狭いなぁとか、感じる瞬間はありますか?
それはどんな時でしょう?
ちょっと思いを馳せてみてください。
例えば怒りスイッチが入ったときになかなか怒りから離れられないとか、そういう時は感情だけではなくて「こうに違いない」みたいな潜在的な思い・思考に囚われていることがあったりします。
こういった思い込みは私たちの潜在意識には沢山あります。
仕事や業務に関して言うと、既存のルーティンが出来上がっていると、そこからの延長の思考パターンが増えてきて、頭・思考が硬くなってしまうとか、その範疇を超える想像が膨らみにくくなる、といったアイディアや創造性への影響も結構あると思います。
エゴは優れたリーダーシップの敵
エゴには色々な意味があり、ここではエゴイストとかエゴイズムなどと関連するエゴについてお話ししていきます。心理学などで考えると難しいんですけれども、簡単に言うと「自分自分」といった利己的な感じだと思ってください。
以下はリーダーシップについて研究をしているラスムス・フーガード氏のHBRの記事からの引用です。
- 肥大化したエゴが行き過ぎると、態度も横柄になります。
- 成功は自分だけのものだと信じている状態。
自分の成功における唯一の立役者は自分自身だと信じる時、無礼さや身勝手さに拍車がかかり、他人の話を遮る傾向が強まります。
「いやいや、それは」みたいに返しがちな会話パターンなどです。
- こういった傾向は、挫折や批判の矢面に立たされると顕著に現れやすいです。
厳しい状況の時ほどエゴは出てきやすいです。 - こうした思い上がったエゴのせいで誤りから学ぶことができなくなり狭量になります。
防壁が築かれてどんどん閉じて行ってしまい、失敗から得られる豊かな教訓の真価を認めることが困難になります。
エゴが学びや自分自身を閉じてしまうという傾向はあります。
また、組織の失敗の背景にも結構エゴが関係していると思います。 - 謙虚さと感謝の気持ちが無私無欲の要
脳のバランスを崩す犯人はエゴ
これは最近の脳科学研究でも明確になってきていて、マインドフルネスともすごい関わりがあります。
あるチベットの高僧が慈悲・感謝の瞑想をしているときに、脳のアクセルに相当する部位が最も活性化していたということがわかりました。これはエゴの反対 セルフレスの状態でした。
逆に脳全体のバランスを崩すのはエゴが強い時だと言われてまして、「まずは自分」という利己的な思考が強くなり過ぎると、脳神経回路を分断し脳全体のバランスも崩し、脳の機能そのものを鈍らせることもわかってきています。
(岩崎一郎著「科学的に幸せになれる脳磨き」より)
脳全体をバランスよく使う秘訣は島皮質
大脳皮質の一領域である島皮質は、脳全体を活性化させ非認知能力も高めると言われています。
島皮質は高等生物で発達している大脳の外側にある大脳皮質(前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉)の内側にある小さな領域です。
島皮質が発達している人は共感力に優れ、脳全体をバランスよく使うことができている幸せな人、また幸せな人は島皮質が発達している傾向があると言われています(出典:「科学的に幸せになれる脳磨き」p61)。
さらに、マインドフルネスそのものが島皮質も活性化させると言うこともわかってきています。
島皮質が関与する主な項目
社会的感情、道徳的直感、共感性、音楽への感情的な反応、依存、痛み、ユーモア、他者の表情への反応、購買の判断、食の好み
などが挙げられます。
エゴが緩むと行動パターンも変化する
人は刺激インプットを受け取ると、勝手に思考や感情などのプロセスが起こっていると言われています。これは無意識のうちに起こりますので、それを経てアウトプット、反応したり言動が出たりします。
この無意識な反応パターンに、マインドフルネスによって気づけるようになってきて、その結果、行動や発言も変化してくる、というお話は前回、前々回としてきました。
エゴは皆さんあると思いますが、エゴは生存本能にも関わるので脅威とも関わりがあります。刺激(インプット)を脅威と認識をすると、恐れの感情や思考を生んで、自己防衛的なリアクティブな行動が出る、というパターンになりがちです。つまり硬い思考とエゴは密接に関わっていると考えられます。
この時にマインドフルネスで気づきが得られて、プロセスにポジティブな感情を取り入れられると、違ったアウトプットも出てきます。マインドフルネスによってエゴが緩んでセルフレスになってくると、プロセスでもポジティブで柔らかい思考もできるようになり、アウトプットもより柔軟で幅広いものに変わってくると思います。
脳内のエゴを掃除する、セルフレスにつながる思考法や行動習慣
以下はエゴ的な要素を減らし、セルフレスになりやすくなるための6つのポイントをお伝えします。
- 感謝の気持ちを持つ
これはとても有効です。実体験でも、脳の働きや緊張感が減ってくるなと感じます。「自分のおかげ」だけじゃなくて、「この人たちのおかげで、今これができるな」というような思考をなるべくすると良いと思います。 - 前向きになる
- 気の合う仲間や家族と過ごす
- 利他の心を持つ
自分も大事にすることももちろん必要ですけれども、人のためにとか感謝といった利他の心も大事です。 - マインドフルネス(脳トレ座禅)を行う
- Awe (オウ) 体験をする
これは好きなことをやってください、ということです。
例えば、大自然の中に出てすごいなと圧倒される体験だったり、音楽が好きな人だったら生でクラシックの良い音楽を聞いたときに心を震わせる体験をしたり、子育ての中で体験することもあると思います。
これらすべての6つの思考法・行動は、どれをとってもそれぞれ脳内をセルフレスに近づけていくような働きかけをすると言われています。
このように硬い思考やエゴを緩めていく事は、非常に脳の健康にも良いですし、我々の生きる質や幸福感も上げていくことにも繋がります。
こんなところも意識して次の実践をやっていただけたらと思います。
【実践】硬い思考の緩和 、慈悲と感謝の7分間瞑想
エゴを減らす6つのコツの中の
1, 感謝の気持ちを持つ
4, 利他の心を持つ
5, マインドフルネスを行う
の3つを実践するための瞑想ガイドです。
Source : 瞑想チャンネル for Leaders
次回はリーダーシップ②感情編に入り「ストレスと脳|扁桃体」についてお伝えします。