日常で使える!スポーツメンタルを提供する精神科医のガイドブック

今回ご紹介するのは、精神科医 木村 好珠さんの著書 スポーツ精神科医が教える 日常で活かせるスポーツメンタルです。

どのような人におすすめか

  • 自分の感情や意見の仕方に悩んでいる
  • HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン/Highly Sensitive Person)の気質で周囲との関係に悩んでいる
  • チームや人とのコミュニケーションに悩んでいる
  • リーダーとしてメンバーとの関わり方に悩んでいる
  • プレゼンや講演など本番に強いメンタルが欲しい

HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)とは、生まれつき敏感で、周囲からの刺激や他人の感情を過度に受け取ってしまう人のことで、1996年に心理学者、エイレン・N・アーロン博士が考案した概念です。
HSPは、「性格」傾向であり、神経の過敏性、情報認知の特性と言われています。つまり病気ではなく一つの特徴に過ぎず、全人口の約15〜20%がHSPであると言われています。
このような心理学概念は、人を不安にするためではなく「自分だけが異常、病気ではなかったんだ」と人を安心させるために存在し、考案されているのです。

Source : Amazon 『精神科医が教える ストレスフリー超大全――人生のあらゆる「悩み・不安・疲れ」をなくすためのリスト』

仕事が思うように上手くいっていないときは評価が下がることに不安を感じたり、周囲の人との関係性が悪くなり落ち込んでしまい、マイナス思考になるときがあります。
私は周りの人に合わせようと空気を読んで自分の感情を感じないようにするほうが楽だと感じます。HSPの気質があるので他人からの影響を受けやすく、仕事では無意識に自分を抑え込んでしまい消耗することもあります。

メンタル疾患は心の問題だとされることが多いですが、この本を読んでメンタルの捉え方は欧米と日本では違い、欧米では思考として脳にあるものと捉えられていることを知りました。
心の問題であれば変えようとするのは難しいですが、そうではなく思考をどのように捉えるとよいか、本著にはサッカーも例にしながら、集中力の高め方やストレス管理、自己肯定感をどのように捉えるかなど、日常生活でも役立つ実践的な取り組み方が読みやすく書かれています。

内容としてアスリートだけでなく、仕事をするビジネスパーソンでも以下の点は特に参考になります。
・メンタルは変えられる
・自分軸で考えて行動をするためのコミュニケーションをする
・ポジティブシンキングも自己肯定感も無理に作らない
・目標と目的の持ち方

コミュニケーションの磨き方:自分軸になるための方法

第2章にはコミュニケーションの磨き方について述べられています。日本人は空気を読みすぎることで自分の感情に鈍感であるとありますが、私自身もそれに当てはまるなと思いました。そうなると『自分がどう思ったか、自分がどうしたいかはよくわからない』となり、自分軸ではなく他人軸の人になってしまうのですが、自分の感情を後回しになっていました。会議で意見を言えなかったり、やがては人の責任にしてしまうことがあります。『「私はこう思う。あなたはどう思う?」と目の前の人も対等に話せること。お互いに意見を言える、それを受賞するという姿勢』を持って自分の意見を伝えるのことがやはりコミュニケーションであり、自分軸にする方法にもなるのだと思います。

第3章では自分の気持ちをコントロールするために今の自分の気持ちを知る方法として、日記に気持ちを書くことを挙げられています。日記の書き方として『自分の行動とともに、その時どう思ったか』を書くのと、『”その日良かった”と思うことをひとつ以上書く”』とを奨められています。これは『負の感情の方に目がいきがちで、いいことは自然と流してしまいます。』と述べられているように、脳は安全対策として嫌なことのほうを記憶しやすいと言われています。
感謝をする気持ちやアファメーションというポジティブな言葉を使うと自己肯定感が得られて幸せを感じやすいと聞きます。私もヨガの始めや終わりに感謝をするようにガイドするインストラクターの先生の言葉が心地よく、ヨガを毎日するようになりました。
以下の図は日記としてスケジュール帳に例で記載する方法です。

日常で活かせるスポーツメンタル』p93の図より引用改変


目的と目標の重要性とメンタルケアについて

第5章には、目的と目標について『目標が”何を”やりたいのかであるのに対して、目的は”何のために”それをするのかーつまり物事をやる理由』と述べられています。モチベーションを維持するには核となる目的を持ち、それによって行動するエネルギーも生まれます。
また、メンタルを整えるには、日々の食事と睡眠が大切です。気分が落ち込んで調子が悪くなると、良い睡眠がとれなかったり食事も乱れがちですが、精神を安定させて集中力を向上するには、質の良い睡眠とバランスの取れた食事を心がけて生活のリズムを整えることは一番効果的だと再認識しました。

目標と成功の意味について:イチローの言葉と著者の経験

Source : Amazon

第6章では、イチロー選手の言葉や著者の解説が含まれています。
『ー成功する、成功しない、という報道になると思いますが、成功とはとてもあいまいなものです。他人が思う成功を追いかける必要はありません。 ー「夢をつかむ イチロー262のメッセージ」P.235より』
著者は『人が決めた成功ではなく、自分の成功の定義を作る』とあります。一般的には富や地位を持っている人が成功していると見なされがちですが、著者自身が元準ミス日本でもあったことから、美容関連の仕事を進めることがよいのではないかと周囲から言われることもあったようです。それに対して『目に見えるものに焦点を当てることは悪いことではないです。目に見える目標を作ることはやる気を出す上で非常に大切なことですから。(中略)でも、それはあくまで結果でしかありません。しかし、目標達成イコールその人が考える成功ではありませんし、それだけを追いかけるのは危険です。』と指摘しています。
私自身は目標の業績達成のために数字を追いかけるだけの仕事をしていた頃はとても辛く、しんどいばかりでした。

他人の考えを常に自分よりも優先するタイプの私にとって、会議で自由に意見を述べることは苦手です。一方で新しい環境に適応し、他人から求められることを優先して実行するスキルは仕事上ではこれまで役立ってきました。

現在の自分を大きく変えることはできませんが、この本を読むことで思考を意識し、メンタルを変えることができるのであれば、それは生きやすくなる上でのメリットの一つです。

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著者 木村好珠 さんについて

精神科医、スポーツメンタルアドバイザー、産業医、健康スポーツ医。
1990年2月28日生まれ。東邦大学医学部卒。医学生時代に準ミス日本に輝いたことをきっかけに芸能活動を行い、タレント業と平行しながら2014年に医師免許を取得した。慶応義塾大学病院にて研修後、精神神経科に進み、現在は精神科医としてクリニックで勤務をしながら、産業医としてもたくさんの企業の健康づくりに携わっている。
筋金入りのサッカーフリークで、早くからスポーツメンタルに取り組んでおり、特にアカデミー年代のメンタル育成の普及に力を入れてきた。パラリンピック競技でもあるブラインドサッカー日本代表をはじめ、レアル・マドリード・ファンデーション・フットボールアカデミー、北海道コンサドーレ札幌アカデミーなど数々のチームでメンタルアドバイザーを務めており、子供からトップアスリートまで、幅広くメンタルサポートをすることができる新鋭のスポーツ精神科医。

Source : Amazon著者のプロフィールより

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ABOUTこの記事をかいた人

農業工学修士を取得後、時代は就職氷河期の中で外資系IT企業で半導体研究職として就職し従事する。その後IT技術営業職として勤めて他社への出向も経験し、ストレスから体調を崩して退職。心身の安定を求める中ヨガやマインドフルネスに遭遇する。瞑想歴は数年の初心者。