マインドフルネス瞑想の良書|『奇跡の脳』

今回もマインドフルネス関連でオススメの本を紹介していきたいと思います。

「奇跡の脳 脳科学者の脳が壊れたとき」ジル・ボルト・テイラー著

小島美佳:今回ご紹介するのは「奇跡の脳」という本で、元々「My Stroke of insight」というタイトルの英語の原著を日本語訳されたものです。


どのような人におススメか?

 先に本の内容の要約をご紹介しておくと、脳科学者である「私(著者)」の脳が脳卒中によって壊れてしまった…、ハーバード大学の脳神経科学者の女性が脳卒中になるという結構ドラマチックな実話です。

 発症・8年にも及ぶリハビリ・復活の体験談が具体的に、かつストーリー仕立てで書かれた本。脳卒中の結果、脳の機能が著しく損傷してしまったため、言語だとか運動能力などに大きな影響が与えられてしまい、リハビリをものすごく頑張りながら、自分自身の体験を通して脳というものの可能性を色々発見していくと言う、面白い内容なんです。

 この本がどのような人にオススメか、をご説明すると…。そうですね、とても左脳が優れていて、論理的思考が比較的自然と凄いスピードで回るような感じの人物。一方で直感とは何か?と言うことに興味があったり、右脳的な世界を探求したいと思っていたり。マインドフルネスみたいなことをやると、新たな可能性が開花するのだろうか…と興味を持っている方には、特にオススメかなと思っています。それから文庫本でも出版されているので、気軽に買いやすいっていうのもオススメな点でもあります。


右脳の世界観を探求する…

 松村さんはこの本を読まれてどう思いました?

松村憲:すごいいい本だなぁと思っていて、なかなか書けない本というか、研究をされている方がご自身の脳卒中と言う実体験から、内側からの体験も含めて言語化していっているって言う。彼女の体験だから外側からの観察では分からないような主観的な体験が書かれていると同時に、脳卒中を患って右脳的に開かれたとはいえ、左脳も相変わらずしっかりされているからとてもバランスが良いと思いました。

小島美佳:そうですよね、残された右脳の部分が懸命に左脳の機能の補うような感じですよね。

松村憲:すごい左脳というかロジック力もありますよね。科学者としての態度の両方描かれていると言うのは特異だと思います。

小島美佳:私の中で特に印象に残っているのは、まぁこれはどうしても私自身の興味でマインドフルネスのマニアックな領域に入ってしまうのかもしれないんですけれども…。右脳だけになったときの彼女の体験が心に残っています。「この世はなんて素晴らしいんだろう!」とか「私は幸せでいっぱい!」みたいな。これは、我々がよく話題にするケン・ウィルバーが定義するノンデュアリティー(非二元論)に近い。瞑想をひたすら続けていくとなんかちょっと最後のほうに見えてくる世界観なのかなぁと思ったりしました。

松村憲:そう。なんか僕も印象に残ったのはその辺です。右脳だけになったときの世界は、あー、やはりそうなんだよねって言う、読んでいても新鮮に受け取れる内容でした。特に面白いのは、最初の危機迫る脳卒中にかかった当時の変遷をうまく描かれているところ、体験として。だんだん右脳よりになってきて、すごい変性意識状態から今この瞬間の素晴しい世界に魅了されたり、すごく知覚が変わってきたりという描写。そういうプロセスが丁寧に描かれていて、脳波の話とか仏教徒なら涅槃(ねはん:仏教において、煩悩を滅尽して悟りの智慧(菩提)を完成した境地のこと, Wikipediaより) の境地に入ったって言うのでしょう、と彼女は書いてますけども、脳卒中になった瞬間にそういう知覚体験も進んでいたり。この人の場合すごいのは、そこで瞑想というのはそういうものです、と自分に起きているプロセスを観察しているところ。

小島美佳:そうですね、ある意味すごくマインドフルネスに受け取っているというか。

松村憲:そうですね、この人ならではだなって言う気がしました。後は脳科学の専門家でもあるので、脳科学の領域も神経系なのか解剖系なのかとか細かい専門分野の違いはあると思いますけど、読んでいて感じたのはすごい包括的に脳のことも書いてある気がしました。僕の理解と言語能力では説明しきれませんが、是非読んでいただければ伝わるかと(苦笑)。

小島美佳:そうですね。

松村憲:彼女の体験で起きたことは瞑想領域の研究とも重なる感じのことなのかな、と興味深く読みました。言語中枢が沈黙していくというプロセスが描かれてますけれど、マインドフルネスで言うと「今この瞬間瞬間でおしゃべりしているのもオッケーみたいな、ありのままでいいよ」みたいに捉われなくなってくると、心の会話は静まるというのはありますよね。


瞑想に通じる世界観

 逆に明らかに活発になる描写、すごいクリエイティブになっていくとか感覚が鋭微になっていくとか、世界の恍惚を感じているとか、そうしたプロセスもよく描かれています。左脳的なところのおしゃべりが静まってきたときに、今この瞬間の右脳マインドに繋がり、美意識を感じる世界に入りこむとか。体験と脳機能的な説明がバランス良く描かれていると思いました。そこをニルバーナ(涅槃)って呼んでましたね。まさに瞑想に通じるなと思いました。

小島美佳:そうですね。瞑想をずっと続けていった先にはこういう世界があるんだよというところを、彼女の場合は脳卒中っていう全く別の経験によってぶっ飛んだって言う感じもあるのかもしれないんですけれど…瞑想などで行けるような向こう側の世界のことも描写してくれているなと言う印象がありました。

松村憲:本人の計画に反してストーンと入っちゃったとも言えるけれど、それらの実体験を語る上で科学者的な観察眼と脳科学の専門知識を元に解説・説明ができちゃうっていうのが、とてもバランスが良いですよね。

小島美佳:そうですね、こういうバランス感覚をちゃんと持てるようになるといいな、と心底思います。サイエンスもあり、物語もあり… 単なるマインドフルネス本で 満足できない方は 是非読んでみていただきたいです。

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ABOUTこの記事をかいた人

瞑想歴16年以上。 15歳までヨーロッパで育つ。慶応義塾大学を卒業後、アクセンチュアで組織戦略・人材開発のコンサルティングに従事し異例のスピードで昇進。アクセンチュア・ジャパン 史上 最も若い女性マネジャーとして抜擢される。その後、独立系コンサルティング企業でビジネス開発に携わる傍ら、キャリアコンサルタント及びコーチとして活動。不確実な時代の波を乗りこなす事業の在り方やビジネスパーソンとしての生き方について考えはじめる。 2003年、瞑想に出会い習慣化するようになる。2010年よりビジネスの世界で活動をつづけながら、年間500名以上のクライアントへ瞑想的なテクニックを活用したカウンセリングを行っている。株式会社バランスオブゲーム代表。 監訳書:『コーチング術で部下と良い関係を築く』 共著:『「ハイパフォーマーの問題解決力」を極める』