瞑想を深めるとどんなことが起こるのか?ステップアップの道筋【瞑想の4つの段階】

小島美佳:瞑想は心と身体の健康に様々な効果がある、続けていくことで効果を実感できる、と良く聞きますが、実際に実践していく上で、どのようにステップアップ・レベルアップするのか?そのためにはどういった段取りでやっていけばいいのか?というところが見えづらい、というのが正直なところではあります。

そこでヨガインストラクター(RYT500)で弁護士のMasaさんと一緒に、瞑想のステップ、具体的にどのような変化を経験していくことが望ましいのか。マインドフルネス研究所の『瞑想のステップアップ論』としてシリーズで解説していきます。

Source : マインドフルネス研究所

瞑想のステップ・段階とは?

マインドフルネス瞑想の効果としては心身の健康やリラックスだけでなく、継続して深めていくことで繊細な感覚や知覚、意識状態に至ることができます。
このように瞑想には段階があるということは、長く続けていくと感覚的に分かってくると思いますが、わかりやすく体系立って世に出ていないように思います。本当に深く学びたい方は ヴィパッサナー瞑想の合宿などにご参加いただいたほうが良いと思いますが… ビジネスマンはそうはいきませんので、参考になりそうな書籍などを探し続けていました。

Source : Amazon

その結果、最も有益になったのが「呼吸によるマインドフルネス」という本で、この著書の中では「瞑想には大まかに4つの段階がある」と記載されています。

著者 ブッダダーサ比丘はタイの高名なお坊さん・仏教僧です。著作は全部で200巻を超え、英訳されているようですが、邦訳は非常に少なかったです。今回ご紹介するこちらの本も英語訳が日本語訳されたものです。既に絶版となっており、中古で購入すると元の定価よりお高くなっています。

本の内容はかなり高度で難解な印象ですが、今回の『瞑想のステップアップ論』シリーズではできる限り噛み砕いて、長期実践者の体験談と科学的根拠とともに分かりやすくお伝えしていきたいと思います。


瞑想を深めるための4つの段階

瞑想には、初心者から熟達者まで、4つの段階があります。下の図は、ステップアップとしては下から始まって上に上がっていくイメージで、それぞれの段階で観察する対象を示しています。


まず一段階目は、身体(カーヤ, kāya)です。これは物理的な肉体、血の通う身体を意味します。
実際、最初に瞑想を始める際には身体に意識を集中することが基本となります。この段階は呼吸を意識する瞑想、が主となりますが、巷でよくやられているボディスキャン(body scan)瞑想なども含まれると考えて良いでしょう。

二番目は、感覚・感受(ヴェーダナー, vedanā)で、感覚や感情に意識を向けることです。自分の内面に起こるさまざまな感覚や感情を観察することで、自分と向き合う力が養われます。この段階からは、非常に繊細な領域・感覚になっていくと思います。

三番目は、(チッタ, citta)です。心とは、思考や信念、価値観など、自分の精神的な側面のことで、この段階では自分の心の動きを客観的に見つめていきます。

最後の段階は、「この上なきもの(法、ダンマ, dhammā)」仏陀の教えによって表現された「宇宙の法則と秩序」と書かれていました。
この3-4番辺りの段階に至ってくると、非常に修行を積んだ人物と同じような精神・意識状態になれるんじゃないか、と感じますが… どうなんでしょう。

このように大まかに分けて4つの段階を瞑想のステップとして定義することができ、『瞑想のステップアップ論』のシリーズではこの4段階のそれぞれのステップについてわかりやすくお届けしていきたいと思います。

Masa:なお、このカーヤ、ヴェーダ、チッタという言葉は、全てインドの古代の言葉、サンスクリットに基づいています。


STEP1: 身体に意識を向ける瞑想は「呼吸」から

小島美佳:続いて、一段階目の身体についてです。

この本では、身体・kāyaについて、以下のように説明されていました。

身体、kāya(カーヤ)とは

身体、グループ、集まり、かたまりなどを意味する。いくつかの要素、部分からなる集合体のこと。
一般的には、私たちの身体を指して用いられることが多い。身体全体とその一部分の双方の意味を持つ。
例)「息をする身体」や「生身の身体」など

Source : 「呼吸によるマインドフルネス」p306

一段階目の身体に意識を向けることは、初めの第一歩、瞑想の基本中の基本であり、その観察対象として『呼吸』と書かれています。瞑想でも「呼吸に意識を向ける」とよく言われると思います。呼吸は自分でコントロールできるものですが、普段はコントロールしていません。無意識の状態でも呼吸は常に行われています。

呼吸もまたカーヤと呼ばれる身体を構成するさまざまな要素の中の一つに含まれます。つまり、呼吸と身体は繋がっているので、呼吸をコントロールできるようになると、身体にも影響を与えることができようになる、変化がある、と言われています。
例えば、少し深呼吸をしてみると体感覚の変化が感じられたり、リラックスしたり、逆に緊張している時には呼吸が止まっていたり、非常に浅くなったりします。

このように、瞑想のステップアップの最初の段階では身体・呼吸に意識を向け自分で呼吸をコントロールできる状態を目指します。正直、瞑想をどのような目的で行うのかというのはありますが、ストレスからの解放やリラックスを目的とするのであれば呼吸をコントロールできるようになるだけで良いと感じます。

次に、実際にこの一段階目ではどういった方法や効果、注意点があるのかについてお話ししていきます。


1, 瞑想に適した環境の作り方

まずは瞑想を行う環境を整えていただくことが大切で、この本の中では以下が紹介されています。

  1. 場所:落ち着けるところ
  2. 時間:乱されにくい時間
  3. 善友:適切なアドバイスをくれる人
  4. 姿勢:ピラミッドのような状態


善友と一緒に瞑想するメリット

特に 善友、適切なアドバイスをくれる人、とあります。最近ではアプリなどで瞑想を誘導してくれるものもありますが、瞑想について分からないことを聞ける専門的なトレーニングを積んだ先生がいることが非常に大事とのこと。瞑想を深めたいと思われる方は、信頼できる先生のもとで学ぶことが最も有効です。

Masa: 善友については本当に重要だなと思っています。先ほど美佳さんも言われていたように、今はYouTubeやさまざまなアプリなどを活用して、それぞれ自宅で個人で気軽に始めることができる、誰に教わることもなく、レッスンや先生にもつかずにできることも非常に増えています。
しかし、教わっていること、講師が伝えようとしていることを、きちんと実践できているかどうかを確認するためには、やはり誰か適切なアドバイスをくれる人が近くにいることは非常に大事だと思います。

時間や費用の関係もあるので、毎日レッスンに行かないといけないとか、誰かについて教えてもらわないといけない、ということではないですが、始めのうちは週に1回、月に1回でもいいので、どなたか適切なアドバイスをくれる人にきちんと見ていただくというのは非常に重要かなと思います。


瞑想を行う姿勢について

小島美佳:それから 「姿勢:ピラミッドのような状態」と書かれていました。坐禅などでもしっかりとあぐらを組むイメージが強いかと思いますが、無理に座禅でやらなくても椅子でも良いかと思います。

Masa:そうですね、瞑想を行う環境の中で、1番重要となるのは姿勢で背骨がきちんとまっすぐ立っているか?というところです。その背骨がまっすぐな状態をリラックスしつつキープできるか?が非常に重要なので、最初のうちは椅子に座って背もたれにもたれかかる形でも全然構わないです。逆に無理をして蓮華座や座禅のような姿勢ができたとしても、その姿勢が苦しい、辛い中で呼吸を続けるよりは、まずはリラックスした姿勢で呼吸を行うことが一番重要だと思います。

ヨガと聞くと、どうしても皆さんポーズを取ることをイメージされますが、ヨガのポーズ自体はアーサナ (āsana) と呼ばれるもので、長時間、瞑想がきちんとできる身体を作るためのものです。つまり、アーサナをきちんとやった上で最終的行き着くのがピラミッドのような姿勢(蓮華座)を長時間楽にとれるようになる体の状態であり、瞑想やヨガを始めたばかりの方、まだトレーニングが進んでいない方は、椅子に座って行い、呼吸や瞑想に集中することを優先するべきです。

Source : 瞑想チャンネル for Leaders

小島美佳:最初、瞑想を始める時には、まずはこの上の3点、場所、時間、善友を意識していただくと良いと思います。


2, 呼吸に意識を向ける方法:カーヤの瞑想

小島美佳:続いて、呼吸に意識を向ける方法についてです。
呼吸法は世に沢山種類がありますが、今回は本で紹介されていた基本となるカーヤの瞑想についてご紹介します。カーヤの瞑想とは、身体と心のつながりを感じるための呼吸法で、以下の4つのステップがあります。

  1. 長い呼吸
    まずは長い呼吸から始めて、徐々にステップアップしていくイメージです。「腹式呼吸は心身に良い効果がある」と良く聞かれますが、こちらについては後半でご説明します。
  2. 短い呼吸
    長い呼吸と短い呼吸をそれぞれ行うことで、呼吸のペースをご自分でコントロールできるようになります。短い呼吸では、その状態を目指していきます。
  3. 身体全体を感じながらの呼吸
    これは 厳密にはいろいろと意見はありますが、いわゆるボディスキャン瞑想だとご理解いただければよいと思います。
  4. 身体を落ち着かせる呼吸
    最後に 呼吸を制御することによって身体を落ち着かせることができるようになる…というレベルです。


このように、どの瞑想も行っていることはさほど変わらないものの、意識を向ける対象が変化してくるのかなと思います。

瞑想をする時には、いろいろと意識してしまうことは多いですが瞑想の一段階目、入り口としてはただシンプルに「呼吸を意識する」「まずは瞑想をうまくやることよりも呼吸法です!」という感じで考えていただくことは大切です。いきなり瞑想そのものを頑張ろうとするよりも、こちらのほうが有効です。

Source : 瞑想チャンネル for Leaders


呼吸法も継続しつつ ジャッジしないことが重要

Masa:さらに 瞑想、ヨガ、呼吸法どれにしても、「ジャッジしない」ことは非常に大事です。元々は落ち着かせるためにやっていることなのに、「あれができなかった、これができなかった」と、考えて落ち込んでしまうのは本末転倒なので、「今どういう呼吸になっているか?こういう呼吸をやろうとしている」とそこまでで止めておくっていうのは非常に重要ですね。

カーヤの瞑想の4つの段階も本当に順を追って行うものなので、やってみてすぐに身体を落ち着かせることができなくても、そこで落ち込まないことです。
最初は日々長い呼吸を続けてみて、次に短い呼吸をやって、と順を追ってやるとどうしても時間が多少かかってしまいますが、速効性をすぐに求めないよう気をつける、というのも大事です。
逆に言えば、続けていけば必ずできるようになることなので、仮にまだ体感できていなければ、もうちょっと頑張って練習を続けてみることが大切です。


探究しつつ、自分の変化を観察する

小島美佳:あとはご自分のその時の状態・状況によっても、落ち着かせやすい時とそうではない時があるかと思います。1の環境を整える、の部分の『落ち着ける場所、乱されにくい時間帯』が揃っている時と、突発的に何かトラブルなどがあった後に自分を落ち着かせるためにやる時では、同じ呼吸法でも当たり前ですけど効果は変わると思います。

ですから、環境が整った時と、そうではない時とで、同じ呼吸法でもいい感じの呼吸に入るまでどのくらいかかるか?といったところも、自分の中でのバロメーターにして観察・探究していただくのも良いのかなと思います。

長い呼吸・腹式呼吸のポイント

小島美佳:次に長い呼吸のやり方についてですが、日本医師会のホームページ腹式呼吸のやり方について書かれたページを参考に解説していきます。

背筋を伸ばして、鼻からゆっくり息を吸い込みます。このとき、丹田(おへその下)に空気を溜めていくイメージでお腹をふくらませます。
つぎに、口からゆっくり息を吐き出します。お腹をへこましながら、からだの中の悪いものをすべて出しきるように、そして、吸うときの倍くらいの時間をかけるつもりで吐くのがポイントです。
回数は1日5回くらいから始め、慣れたら10~20回が基本ですが、その日の体調に合わせて、無理なく楽しみながらやりましょう。

Source : 日本医師会 腹式呼吸のやり方

このように、おへその下に空気を貯めていくイメージでやっていきます、と書いてありました。ヨガでも最初の基礎として腹式呼吸をやられるのではと思いますが、Masaくんにポイントなどお聞きしたいです。

Masa:そうですね。僕が教える場合は、より身体の感覚や空気が入ることによって身体が膨むことを理解しやすいように、寝てやってもらうことが多いです。
このHPの図ですと座ってやっていますが、ヨガの場合は大体ヨガマットを敷くので、そこで仰向けになり背中を完全に下に落としてもらいます。背中を寝かせた状態では、身体の他のどの部分にも圧力がかかっていない状態なので、腹式呼吸によってダイレクトにお腹や胸が膨むというのが分かりやすいです。

さらに、胸とお腹の上に両手を置いてもらって、「どれくらい膨らんでいるか?」というのを感じてもらいながら深呼吸をやってもらいます。それを実践していただくことで、より腹式呼吸によって身体がどのようになっているのか?といった感覚をご自分でも掴みやすくなると思います。

小島美佳:なるほど。先ほどからお伝えしているように最初に瞑想を頑張るよりも、ストレス軽減や心身の健康維持を目的に瞑想をやってみようかな?と思っている方には、まずは寝て腹式呼吸からやっていただくのが一番おすすめだと思いました。

Masa:そう思います。やはり座っていると無理しているつもりはなくても、どこかしらの筋肉を使っているので、寝て行う時の方が身体はより一層リラックスができている、より呼吸に集中できる状態になると思います。


善友の探し方

s子:一つお聞きしたいのですが、、、瞑想を行う環境のところの「善友」についてです。
最近では色々な瞑想教室、セミナー、講座、オンラインサロンなどがある中で、どういう風に自分に合う師、適切なアドバイスをくれる人を見つけていったらいいのでしょうか?

小島美佳:そうですね、個人的には適切なところで学んだことのある人から学ぶ、例えばヴィパッサナー瞑想をしっかりやってきて修行積んだ経験がある方、ヨガを一定のところまできちっと学び、ご自身も日々の修行を怠りません、かつ先生としても比較的キャリアがあります、といった方が安心かなと感じています。

Masa:完全に同意です。
やはり最近はインスタントに教え方だけを2-3日程度の研修を受けて講師になられている方が結構いらっしゃるように見受けられます。
しかしそういった方ではなく、順を追って自分の練習を積んで、その後にティーチャートレーニングなりコーチとしての勉強をして、なおかつそれを取得した後も自分の練習もきちんとやりながら教えられている方につくのが1番いいと思います。
やっぱりそこまで至っていない講師だと、自分の経験や知識に自信がないので、質問をされても曖昧な回答しかできません。さらにそういった方とお話をしていると、さまざまな重たいものを抱え、自分の問題や感情を持ち込みながらもビジネスとしてやっていると感じています。そういった方が適切なアドバイスをくれるとは僕には思えないので、自分の目で見て、この人はきちんとした人だな、と思える人を探す、ということ、裏付けとなるものがきちんと背景としてある人を選ぶ、というのは大事ですね。

自分に合った呼吸法の見つけ方

s子:もう一点お聞きしたいのですが、落ち着くための呼吸法を身につける際、自分に合った呼吸法を探すポイント、この順番で探求すると良いよ、などアドバイスがあれば知りたいです。

Masa:すぐにジャッジしないことです。

自分に合った呼吸法を探す際に、まだやったことがないものを1回目やってみて上手くできなかったりする、例えばテクニカルな呼吸法、バストリカやカパラバティなどを行ってみて、それが上手くできなかったからといって、「それが自分に合ってない」とすぐに判断するのは良くないかなと思います。
自転車にいきなり乗れる人が少ないように、英語を突然話せるようにならないように、何事も自分のものにするには時間がかかるということ(そしてそれが自分に向いていないと思い込まないこと)を常に意識して頂くことが大事です。
また、適切なアドバイスをしてくれる人(すなわち「善友」)に頼り、導いてもらいながら、自分に合った練習方法がきちんとできるようにトレーニングを続けていくことが一番重要かと思います。

小島美佳:そうですね、皆さん自身の感覚みたいなところも大事にしていただきながら、色々試して探してみていただくのがいいかなと思います。


【3分間】基本の腹式呼吸のガイド

Source : 瞑想チャンネル for Leaders



小島美佳:ありがとうございました。
後編では呼吸が実際にどのくらい心身に影響しているのか?について少しs子さんに論文を調べていただいたものを、一緒に見ていきたいと思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

瞑想歴20年以上。 15歳までヨーロッパで育つ。慶応義塾大学を卒業後、アクセンチュアで組織戦略・人材開発のコンサルティングに従事し異例のスピードで昇進。アクセンチュア・ジャパン 史上 最も若い女性マネジャーとして抜擢される。その後、独立系コンサルティング企業でビジネス開発に携わる傍ら、キャリアコンサルタント及びコーチとして活動。不確実な時代の波を乗りこなす事業の在り方やビジネスパーソンとしての生き方について考えはじめる。 2003年、瞑想に出会い習慣化するようになる。2010年よりビジネスの世界で活動をつづけながら、年間500名以上のクライアントへ瞑想的なテクニックを活用したカウンセリングを行っている。株式会社バランスオブゲーム代表。 監訳書:『コーチング術で部下と良い関係を築く』 共著:『「ハイパフォーマーの問題解決力」を極める』