リーダー必須のEQスキルで職場の感情をコントロールする方法

 ビジネスリーダーのためのマインドフルネス24講座、リーダーシップ感情編の第17講の今回は『感情との適切な距離』についてお話ししていきます。この感情との距離感を知ることは、ビジネスを行う上でも近年かなり重要になってきています。

心理学での感情の分類 – プルチックモデル

 マインドフルネス・セミナーの最初には「今、ご自分の中にどんな感情があるかをチェックしてみましょう」とほぼ毎回 伺います。大体感情というものは単純ではなく複雑でして、多層的にご自身の中にあるんじゃないかなと思います。
 またより感情について理解するには、前回もご紹介したプルチックモデルという感情がよく整理された図があります。この図を眺めるだけでも、ご自分の中にある感情を認識する上で参考になると思います。

プルチックモデル Source : シックスセカンズジャパン

 このプルチックモデルの中心を見てみると、

警戒、歓喜、敬愛、恐怖、驚嘆、強い嫌悪、悲嘆、激怒

といったものがあります。
 プルチックモデルでは、これらがだんだん薄らいだり違う言葉になりつつ、外側に広がっています。心理学でも感情は複雑で色々あるものの、感情の種類としては大体これらの8種類程度に分類できると言われています。

心の知能指数(EQ, emotional intelligence quotient)とは

心の知能指数(EQ)とは、心の知能 (英: emotional intelligence、EI) を測定する指標。

心の知能とは、
・自己や他者の感情を知覚し、また
・自分の感情をコントロールする知能
を指す。

Source : wikipedia
Source : Amazon

 EQって聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、心理学者のダニエル・ゴールマンという方が、著書などでビジネスリーダー向けにEQを高めることの重要性を説き、流行しました。

 EQや感情知性を高めるには、まず自分の感情を知ることが大切ですし、感情との付き合い方も大切になってきます。自分自身や他者の感情との付き合い方が上手なことは、リーダーシップに欠かせない資質となってきています。

組織にEQマネジメント能の高いリーダーがいると

 ゴールマン氏によるとEQの高いリーダーがいると、

  • 組織メンバーとの情報共有
  • 信頼感の高まり
  • 組織学習が成果に結びつきやすくなる。また
  • 戦略の実効性の高い環境が組織に生まれる

とのこと。このように時代はこういったソフトスキルみたいなのが大事だ、ということが当たり前になってきました。

 以前はロジックで説き伏せて成果を押し付ける、みたいな時代もありましたが、それでは押し付けられた側の感情は抑圧されてしまうので、それでは無理ですと言う悲鳴が、個人から世界中から既に上がっていると言う感じですね。
 そういった意味でこれからは、感情に蓋をしてがむしゃらにがんばるだけではなく、積極的に感情についての知識や認識を持つことは、現代のリーダーにとっては必須のテーマでありスキルになってきているかなと感じています。

感情との適切な距離

 そこで今回は、感情についての認識を持つための方法の一つとして、個々の感情との適切な距離についてお話ししていきたいと思います。

 例えばわかりやすい例として、誰かに暴言を吐かれたとします。その時に現れる感情との距離が近い遠いという軸で一つずつ説明していきたいと思います。

感情との距離が近過ぎる

 暴言を吐かれたら普通は嫌ですよね。そこで感情との距離が近すぎるとパニックを起こしたりします。感情に圧倒されている状態というのは、感情との距離が近過ぎるんですよね。
 何か予想もできないような大きな出来事が突然起きたりすると、精神的に安定している人でもパニックになってしまうことはあると思います。

感情との距離が遠過ぎる

 逆に感情との距離が遠すぎる、というケースもあります。暴言を耳にしても「なんか変な奴がいるなぁ、でも私には関係ないなぁ」とか。本当に自分とは無関係な場合はそれで良いんですけれども、実は部下からの切実な願いとか希望・要望に対して、感情との距離が遠すぎたために無関心になってしまっていたら、、、部下のエンゲージメントが下がってしまい対応ミス、となることもあり得ます。

感情との距離が適切だと、、、?

 ここで感情との距離が近すぎず遠すぎず適切な距離だと、自然と感情が解消するということが起こってくるんです。この解消が起きることで、物事を客観的に認識していけるし、体の自律神経パターンも緊張モードではなく落ち着いてくるので、ここを目指してご自身の感情との適切な距離を知ることが大事となってきます。

 その結果、慣れ親しんだパターンやアウトプットが出てくるわけですが、適切な距離が取れるようになってくると、アウトプットも変化してきます。

感情は「持っている」という意識

 感情は怒りで喜びでも強い感情だったら、さっきの感情との距離の取り方って人って難しいんですけれども、これを客観的にありのままに観察し、マインドフルに見られるようになると外出しできるようになります。外在化、感情を外に出せる、持たせるっていうのがすごい理想的です。

 感情というものを「持っている」という感覚が分かってくると、とても感情と付き合いやすくなってきます。遠過ぎず、近過ぎず、適切な距離感で自分が感情を「持つ」という感覚になっていけると良いと思います。

感情との適切な距離を知る【ミニワークと瞑想】

 感情と適切な距離を取る、知るためのミニワークと瞑想をガイドしました。

 中々自分の感情を眺める、ということを実践する時間や体験はないかと思いますが、やってみることで新たな気づきなどもあると思います。10分程度のガイドですので、お時間のある時に、是非実践してみてください。

Source : 瞑想チャンネル for Leaders

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ABOUTこの記事をかいた人

大阪大学大学院博士前期課程修了。認定プロセスワーカー。臨床心理士。 瞑想経験20年以上。 マインドフルネス瞑想の土台でもある、10日間のヴィパッサナー瞑想リトリート(※)に15回以上参加。タイ、インドにて長期トリートで修行を積む。  深層心理学のユング心理学にルーツを持つプロセスワークの専門家。身体性やマインドフルネスを早くより研究、実践し、個人の心理のみならず、関係性やグループ、組織を対象に仕事をしている。ビジネスシーンにおいては、プロセスワークのコーチングや、組織開発やコンサルティングに従事。企業におけるマインドフルネス研修や、大手フィットネスクラブのマインドフルネス・プログラム開発や指導者養成も行う。著書に『日本一わかりやすいマインドフルネス瞑想"今この瞬間"に心と身体をつなぐ』BABジャパン2015、共訳書にアーノルド・ミンデル著『プロセスマインド』春秋社2013、ジュリー・ダイアモンド著『プロセスワーク入門』などがある。

(株)BLUE JIGEN 代表取締
バランスト・グロース・コンサルティング(株)取締役
(一社)日本プロセスワークセンター ファカルティ
日本トランスパーソナル学会 常任理事

(※) 10日間 話さずに座り続けるもの