マインドフルネスの確立のために必要な4つの柱
1回目は「身体」を意識する
2回目は「感覚」に気づく
3回目は「心」を観察する、
についてお話しました。
第4回目の今回は最後の柱『自然の法則』についてお話します。
さて、私たちの心も身体も、自然の法則に従っていると考えることができます。仏教では、ダンマとか法、ダルマなどと呼ばれてきたものです。
私なりにこの言葉の意味を解釈すると、二つの大事な視点があります。
それは、「無常」と「縁」です。
日本人や日本文化において、無常というのは古来より通底しているテーマみたいなものですが、これがマインドフルネスにおいても根幹の考え方となります。
1, 無常
「無常」とは、四季折々が変化しているように、この世の、世界の実相は全て変化しているというリアリティにあるということです。
この身体もマインドフルネスで観察してきたように変化しています。血液は1週間で入れかわり、骨すら7年で新しくなるといいます。
心の面では、私たちがしがみつくエゴ(自我)がありますが、実態のないエゴに私たちがしがみついているとも言えるのです。変化を受け入れることでより大きな流れに委ねたり、新しくなったり、本来的な自己に繋がることになります。
うつやメンタルの悩み、職場や家庭での人間関係の悩みなどは、これまで作ってきた私たち自身のエゴが試されているとも言えます。しがみつくほどに、苦しさは増し、自然の法則はその自分を手放しなさいと教えてくれているのかもしれません。
マインドフルネス瞑想においては、身体が変化していることを自覚したり、感覚を捉えてその変化を見届けたり、心を捉えて思考や感情が消えていくのを目覚めて確認することが大切です。
その都度、「変化している」というリアルを実感することが大切です。
こうしたあたり前のような変化を、何度も自覚し、見抜くことで
自然の法則がやがては自分の前に現れてきます。
変化をより実感できるようになると、葛藤も少なくなってくるでしょうし、「苦しみ」というのも明らかになってくるでしょうし、仏教的な意味での「智恵」が自然と湧きあがってくるといいます。
2, 縁
もう一つの自然の法則は、「縁」です。
無常を受け入れ始めると、全てが繋がりの中にしか生じ得ないということが体感として自覚されてきます。母親、両親、先祖といった人々との繋がりがなければ誰一人として生きていられるわけはありません。
『今ここでも、何らかの形で誰かに、何かに、国に、空気や水に、自然に・・・あらゆるものの繋がりの中に自分の命が生起している』というのが仏教的なリアリティです。
「縁」を実感する程に、自分という存在に必要以上にしがみつく必要もなくなれば、智恵が湧き、慈悲の心が自然と湧いてくるでしょう。私たちが、個人としても全体としても自然の法則に沿っていく形に成長すると、コミュニティが再生するのではないかと思っています。
【連載 ブッダの教えとマインドフルネス】
① 「身体」を意識する
② 「感覚」 に気づく
③ 「心」を観察する
④ 「自然の法則」の観察