【瞑想経験者が語る】ヴィパッサナー瞑想合宿は修行?その内容と効果

 前回ご紹介したTwitter 元CEOのジャック・ドーシーさんが好んでしていたとされるヴィパッサナー瞑想についてお話します。瞑想の修行って少し興味があるけれど、具体的にどんなことをやるんだろう?って気になっている方のご参考になれば幸いです。

ヴィパッサナー瞑想とは


 「ヴィパッサナー(Vipassana)」は、仏教のパーリ語という古い言葉です。要はブッダがもう悟った当時に教えていたと言われている瞑想法です。中でも洞察瞑想みたいに言われるものをヴィパッサナー瞑想といいます。
 『ヴィ』とは 「離れて見る」、
 『パッサナー』は「観察する」
という意味なので『ありのままを見る』という、まさにマインドフルネス瞑想の根幹・原則が実はここから来ています。

 次にドーシーさんも10日間のヴィパッサナー瞑想の修行をされていたとインタビュー記事などに書かれていたりするんですが、私も若い頃に15回以上参加したことがあるので、その内容や体験したことを簡単にお伝えしたいと思います。

10日間のヴィパッサナー瞑想 合宿

どんな人が参加しているのか?

 まずどんな人が来ているかというと、ビジネスマン、普通の会社員の人が来ていたり、主婦の方も来られますし、若い方だと学生さんとかもいらっしゃいます。あとは、ほんとに自分を変えたいとか、心理的にいろいろ不安定で変わりたい、みたいな人もいたりします。その辺は主催者側と相談しながらになりますけれども、参加していたりもします。

修行生活での過ごし方やルール

 それから『プチ仏教修行』みたいなところがあるので、戒律を守らなければいけないっていうのがありまして、実際に始まると「10日間 人とは喋りません」というルールができます。なので10日間は沈黙しなければならない、ということを守りながら毎日瞑想を続けていきます。もちろん困ったことがあったりしたらいつでもスタッフに話を聞いてももらえるし、修行で瞑想を行う中での困り事があればいつでも先生に質問や相談はできます。

 でも一応本当に厳格なルールとしては『沈黙、何もしゃべらない』があり、他にも五戒と言われる、仏教において一番位の低いというか俗世間の我々(在家信者)も守るべき戒律が存在します。

1日2食のベジタリアン食に

 といっても、「生き物を殺さない」とか、「嘘をつかない」とかその程度のものなんですけれども、その中の「動物を殺さない」とを守るということで動物を食べない、野菜中心の食事になり10日間ベジタリアン食になります。

 そしてプチ仏教修行、お寺修行みたいな感じになるので食事回数も1日2食になります。朝食べてお昼食べた後、夜食は抜きです。夕方にフルーツぐらい出たかもしれませんが、夜のフルーツは修行進めている人には出ないことで、夕方以降はずっとお腹が空いたまま朝まで静かに過ごす、というような生活が続きます。

瞑想修行では具体的にどんなことをしているのか?

 では10日間の修行で実際何をするかというと、まず朝夕に1時間程度、参加してる人全員でホールに集まって座る、という時間があります。これは必ずマストでやらなければいけないことで、まぁ日本でも結構流行ってるんですけれども、7-80人が一斉に集まる、みたいなことはやっていますね。

 その他の時間はホールで座ってもいいですし、自分の部屋に入って自分のコーナーが与えられるのでそこで過ごしてもいいんですけど、ひたすらに修行をしなさいということで、大体1時間位ずつで区切られていてゴーンゴーンと鐘の音が鳴るんですけれども、その時間は静かに座って教えられた瞑想するというふうに過ごします。

実際に習い行う瞑想法

 教えられる瞑想では、前半はひたすら呼吸への集中瞑想を行います。集中の瞑想はサマタって言うんですけど、マインドフルネスでも呼吸に集中して集中力を鍛えましょう、という話はよくありますが、このひたすらに呼吸に集中にするという瞑想をして3日間位続けます。

 そこですごいひたすら集中を続けて集中力が高まるのですが、中には帰りたくなる人とか、雑念が湧いてきて苦しむ人とか、悪夢を見始める人とかいっぱいいるんですよね。ずっと呼吸に集中していると心の汚濁みたいに言われるんですけれども、そういう心の中に深く眠っていた不純物がいっぱい出てきて苦しい、みたいなことを経験したりします。

 で後半は観察瞑想になるので、集中瞑想で出てきた雑念や不快な感覚も含めて出てくるものは何でも起きるままに放っておきながら、今ここに集中していく、感覚の変化を見る、みたいなマインドフルネスでいうところの「ありのままを見る」ってことをずっと組み合わせながらやっていきます。
そして最後の帰る間際には、慈悲の瞑想を少し取り入れて優しい気持ちになって終わるみたいなことをやります。

10日間 瞑想合宿を体験した感想

 各々いろんな経験をされると思いますけれども、「すごく、いい体験だった」という人もいるし、「もう二度と来るか!」って思う方もいらっしゃるかと思います(苦笑)。ドーシーさんも携帯電話やPCを自由に触れず、じっと座り続けることを最初は苦痛に感じた、とおっしゃっていました。
 けれど、最後はほんとにスッキリするので、修行も深まると感じます。瞑想修行を体験してみたい方には何かしら得られるものがあると思います。

マインドフルネス おすすめ情報

ABOUTこの記事をかいた人

大阪大学大学院博士前期課程修了。認定プロセスワーカー。臨床心理士。 瞑想経験20年以上。 マインドフルネス瞑想の土台でもある、10日間のヴィパッサナー瞑想リトリート(※)に15回以上参加。タイ、インドにて長期トリートで修行を積む。  深層心理学のユング心理学にルーツを持つプロセスワークの専門家。身体性やマインドフルネスを早くより研究、実践し、個人の心理のみならず、関係性やグループ、組織を対象に仕事をしている。ビジネスシーンにおいては、プロセスワークのコーチングや、組織開発やコンサルティングに従事。企業におけるマインドフルネス研修や、大手フィットネスクラブのマインドフルネス・プログラム開発や指導者養成も行う。著書に『日本一わかりやすいマインドフルネス瞑想"今この瞬間"に心と身体をつなぐ』BABジャパン2015、共訳書にアーノルド・ミンデル著『プロセスマインド』春秋社2013、ジュリー・ダイアモンド著『プロセスワーク入門』などがある。

(株)BLUE JIGEN 代表取締
バランスト・グロース・コンサルティング(株)取締役
(一社)日本プロセスワークセンター ファカルティ
日本トランスパーソナル学会 常任理事

(※) 10日間 話さずに座り続けるもの