未来を見据えたマインドフルネス:リーダーシップに必要な自己価値観の発見と実践

 マインドフルネスで『今ここ』と言うと、今しかない、見ない、というふうに考えられがちなんですけれども、マインドフルネス24講 リーダーシップ未来編では、未来のことも考えていくことも視野に入れています。

 価値観の中でも今回は
・心の根底にあること
・大切にしているもの
を知るというところをお伝えしていきます。

 自分の価値観を知ることはマインドフルネスを実践する上でも大事ですし、リーダーシップにとっても大事だと思っていますので、その辺も絡めて話していければと思います。

大切にしているものを知る

 人の言動やモチベーションの背景には、潜在的に大事にしている価値観が隠れています。
 今回は人生において、仕事において自分が大事にしている価値観を発見するヒントをご紹介しつつ、個人も仕事も充実した状態を瞑想を通じて味わう体験をしていきます。

 人生において大事にしているもの、価値観を知っている人は多いと思うんですけれども、そこを仕事とリンクできていない、「人生と仕事は別だ」と考えている人も多いかと思います。しかし、そこをリンクさせていけると人生や仕事の充実度もさらに増していくと思うので、そのためのヒントをお伝えしていきます。


価値観は自分を動かす

 価値観にはいろんなモデルがあるんですけれども、今回は一番シンプルにしたものをお伝えしていきたいと思います。



 まず皆さん望んでいても望まなくても、心の根底には価値観があると思います。自分を突き動かすもの、考える前にある大事にしているもの、です。ある研究している人が、「それぞれの人に自分の大事にしているものがあり、そこから離れずに生きていけると、本当に幸福なんだ、実際パフォーマンスも変わってくるんだ」みたいなことを言っていたりします。
 これは別の言い方をしますとWHYとか、組織で言うところのパーパス、個人でも言ってもいいと思います。『何のために?』という部分ですね。
これはなかなか深いんですけれども、そろそろ時代的に世の中の価値観が多様になりきっているので、逆にそれらについていき過ぎるとぶれてしまうので、この問い『何のために?』を自分自身に対してしていく、中心に置く事はすごく重要だと思います。

 また外側からのインプット・大量の情報が常ににある状況ですし、あるいは「何かを大事にしなさい」といった教育上必要な刷り込みみたいなものもあります。それは集合的・社会的価値観なんですけれども、悪い言葉を使うと『思い込む』ってことになるんですけれども、そういったものを認識していきますので、これらの間にズレが起きるか起きないかってことがとても大事になってきます。
 この間が完全に分断されてしまうと、おそらくモチベーションが低下したり、空虚みたいな感じがどこかで起こりがちになると思います。

 その上に日々の我々の行動、言動があります。

 この上から下までが一致していくと、日々の言動も変わってくると思いますし、生き生きとしたものになると思います。あとマインドフルネスの視点からお話しすると、セルフアウェアネス、自己認識力を培っていくことで、この下の部分、自分の価値観、自分の中を気づきやすくなっていくと思います。

WHY(パーパス)から始める

 また、自分の価値観を始点にすると集中する度合いも上がってくると思います。ブレがそもそも少ない。そんなところを目指していきたいと思います。
 こちらは10年以上前に流行ったサイモン・シネックと言う人のTEDスピーチです。

■ なぜから始めよう ― 優れたリーダーはいかに行動を奮い起こさせるか
 サイモン・シネック | TEDxPugetSound


 「人生のWhy・何のために?から始めることがすごく重要だ。個々人でもそうですし、組織や企業において大きな変革を成し遂げてきた人たちは、そこから動いてることが多く、他の人と全然違うんだ、Inside Out、WHYから始めていこう」って言う話です。

価値観を明らかにする

 自分自身が大事にしている価値観を明らかにしていく問いは人生を通じてやっていけると良いと思います。

 また、組織の理念やパーパスが形骸化してしまっている会社組織とかもたくさんあると思うんですけれども、この世に存在している以上、ただ隠れて見えていないだけだと個人的には思っています。

 理念や価値観を掘り出しているような企業では、深い価値観を見つることができると、それはより普遍的なものなので、自分の価値観とも一致するところを必ず見つけていけるはずです。

 これは探求の旅だと思いますので、ぜひあきらめずに「そういう接点はあるんだ」と思ってやっていただけるといいなと思います。

 

自分が大事にしていること・価値観を明らかにするためのヒント

以下の質問について考えてみてください。
その答えには自分の価値観を明らかにするヒントが隠れています。

  • 自分の人生を振り返って、充実していた時期、生き生きとしていた瞬間などを思い起こしてみる。
  • 自分の24時間を振り返ってみる。無意識でやっていることでもいいので、自分は何に時間を使い、何(または空間)に満たされているのか?という問いの答えにヒントがあると思います。例えば動画ばっかり見ているとしても、「なんでそればっかり観てるんだろう?何が好きなんだろう?スポーツの何が好きなんだろう?」と考えてみてください。
  • 憧れる人はいますか?憧れる人がいたらその方の価値観を探ってみましょう。彼らが持っている価値観は、皆さんが奥に持っている価値観にすごく近いと思います。
  • 逆に嫌いな人は反面教師ともいえます、「この人は嫌いだ」と感じる人の価値観を探ることで、それではないということを知るヒントにもなります。
  • 本当に好きなこと、自分の趣味、好きなもの、好きな関わり、好きな人間関係などにも価値観が隠れているので考えてみてください。
  • 仕事をしていて最も充実していたのはいつかですか?皆さんの職業人としてだけでなく人生の中で大切にしているものも見つかると思います。
  • その時の人間関係はどうでしたか?
  • あるいはどのようなミッション・仕事内容がヒットしていましたか?
  • そのときはどのような組織チームに、組織チームや組織文化に帰属していたか?ということが大事な時もあると思います。

これらを探してみることで、その背景にあるパーパスを見つけるヒントになると思います。

【実践】価値観を知る

ジャーナリング、書く瞑想

 問いを読みながら湧いてくるものを箇条書きでいいので思い浮かぶままに書いてみてください。
 誰に見せるのでもないので、浮かんでくるもの書き止めてみましょう。
 書き方は文章でも箇条書きでもオッケーです。

【問】

仕事プライベートにかかわらず、自分が最も充実している瞬間はいつですか?


 価値観を見つけると言うよりは、この問いを見て湧いてくる言葉を思いつくままに自由に書いてみてください。
 考えたことについて、どんどん広げていくと言うよりは、何度もこの問いに戻って、そこで思いついたことを書き出して言ってみてください。
 後は人に聞いてみることでも良いヒントが得られると思います。客観的な意見を聞くということです。

【瞑想】大切にしているものを知る

 最初に書く瞑想のガイド、2:40ごろから思い出した価値観を味わう、共にいる瞑想をガイドしました。
 自分の価値観を思い出し、個人も仕事も充実した状態を味わう瞑想でより人生や仕事の充実度もさらに増していくはずです。


マインドフルネスおすすめ情報

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ABOUTこの記事をかいた人

大阪大学大学院博士前期課程修了。認定プロセスワーカー。臨床心理士。 瞑想経験20年以上。 マインドフルネス瞑想の土台でもある、10日間のヴィパッサナー瞑想リトリート(※)に15回以上参加。タイ、インドにて長期トリートで修行を積む。  深層心理学のユング心理学にルーツを持つプロセスワークの専門家。身体性やマインドフルネスを早くより研究、実践し、個人の心理のみならず、関係性やグループ、組織を対象に仕事をしている。ビジネスシーンにおいては、プロセスワークのコーチングや、組織開発やコンサルティングに従事。企業におけるマインドフルネス研修や、大手フィットネスクラブのマインドフルネス・プログラム開発や指導者養成も行う。著書に『日本一わかりやすいマインドフルネス瞑想"今この瞬間"に心と身体をつなぐ』BABジャパン2015、共訳書にアーノルド・ミンデル著『プロセスマインド』春秋社2013、ジュリー・ダイアモンド著『プロセスワーク入門』などがある。

(株)BLUE JIGEN 代表取締
バランスト・グロース・コンサルティング(株)取締役
(一社)日本プロセスワークセンター ファカルティ
日本トランスパーソナル学会 常任理事

(※) 10日間 話さずに座り続けるもの