アイディア発想力を高めるマインドフルネス瞑想のやり方【実践編】

 イノベーション・革新的・改革、クリエイティブ・創造的・創造力、などなど、、、
ビジネスシーンや企業CMなどで多用されるキーワードですが、具体的にどういう状態なのか?どのようにしたら育むことができるのか?まで踏み込んだ論説は実はそう多くありません。
 ビジネスの現場で創造力を必要とされるシーンとして想定されるのは、新しい製品・商品・サービスの開発、競合との利害関係の調整、顧客とのトラブル、など、、、
 しかしそれらの解決方法や答えは教科書や辞書にも載っておらず、そもそも正解はありません。では、これらの課題をクリアし日々クリエイティブにアイデアを出し続けるには、一体どうしたらよいでしょうか?
 その方法の一つにマインドフルネス瞑想が挙げられます。

 参考記事:『Can 10 Minutes of Meditation Make You More Creative?』(ハーバードビジネスレビュー, 2017)

ビジネスシーンでのマインドフルネス瞑想の可能性

 マインドフルネス瞑想はカバットジン博士によってストレス軽減ツールとしてプログラム化(マインドフルネスストレス低減法, MBSR)されました。その後、ストレス改善の他にも創造性・革新性を高める効果もあることがわかってきています。それまではただそびえる巨大な壁のようにしか見えなかったものに、マインドフルネス瞑想は風穴を開け、扉を開くことができると言います。

 マインドフルネスを早くから取り入れている大手企業のグーグル、ゴールドマンサックス、メドトロニックは、瞑想やその他のマインドフルネスによって創造性が生み出される効果にも着目しています。マインドフルネスの主な効果としては、定期的・継続的に行うことで、

  • 回復力が高まり
  • ストレスを軽減し
  • 感情を調整し
  • より前向きな見通しを持つことができ

その結果、失敗や挫折からより早く立ち直ることができるようになります。
このような作用により、反応的な戦うか逃げるか反応をオフにし、バランスの取れた決定を行うために重要な より思慮深い精神状態になることができるとのことです。

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 ダニー・ペンマン氏の著書 『マインドフルネス・フォー・クリエイティビティ』(未邦訳)の中で、マインドフルネス瞑想によって創造性を育むために必要な以下の3つの基本スキルが高まると述べています。

  1. マインドフルネスによって思考は発散的思考に切り替わります。
  2. マインドフルネスの実践は注意力を向上させ、アイデアの新規性と有用性を見出しやすくします。
  3. マインドフルネスは懐疑的になったり挫折に直面したときに勇気と回復力を育みます。失敗や挫折からいかに早く回復できるかはイノベーションプロセスに重要な要素の一つです。

マインドフルネスで創造性が育まれるのか?2つの検証実験

 マインドフルネスが創造性を育む上で本当に効果があるのか?を検証するための実験結果が参考記事で紹介されていました。

1, オランダ エラスムス大学での実験

 オランダの大学生129人の参加者を3つのグループに分け、「ドローンを使用したビジネスアイデアをできるだけ沢山出す」という課題を出しました。

個別のブレーンストーミングの前に、
・グループ1は10分間の音声ガイド付きマインドフルネス瞑想に参加、
・グループ2は10分間のダミーの瞑想演習に参加(心をさまよわせて自由に考えるように指示されました)、
・グループ3は何もせず、すぐにブレインストーミングを開始、
しました。

 その結果、3つのグループはそれぞれほぼ同じ数のアイデアを出し、個々のアイデアの説明もほぼ似ていました。主な違いは、グループ1の瞑想を行った人々は幅広いアイデアを思いついたことでした。 2と3のグループからはアイテムの配信や撮影などに関するアイデアが主でした。一方でグループ1の瞑想した人々からは、ガーデニング(木を切る、花に水をやる)、セキュリティ(消火)、洗濯、窓、キリンに餌をやる(!)、など多様なドローンのビジネスアイデアが出ました。
 ブレインストーミングでのアイデアの多様性以外にも聞き取り調査によって、瞑想をしたグループの人々は瞑想によって落ち着きのなさ(瞑想グループの23%)、緊張(同17%)、および苛立ち(24%)の感覚が減少したと述べました。

2, オランダ研究組織の幹部への実験

 さらにこのハーバードビジネスレビューの記事を書いた著者らは追試を行いました。
 オランダの大手研究機関に属する24人のシニアイノベーションマネージャーを対象に、1の学生への演習と同様に12分間瞑想した後、組織内でより包括的な文化を構築する方法について個別にブレインストーミングを行いました。ほとんどの参加者は、瞑想によって彼らの​​心がクリアになり、目の前の仕事により集中し、そして独創的なアイデアや解決策を考え出すのを助けたと報告しました。

なぜマインドフルネス瞑想が創造性を高めるのか?

 私自身も新しいアイデアをどんどん発想したい、と考え様々な本(アイデアを思いつくための本思考するための本、思いついたアイデアを効率よくノートに取る本、などなど)を読みました。
 それらの本に共通して書いてあったのは、思考したり創造したりするための種や情報、知識を全てインプットして自分なりに思考し、煮詰まったら手放しましょう、といった内容でした。具体的には寝てしまう、散歩に行く、お風呂にゆっくり入る、考えるのをやめてぼーっとするなど。そのような行為をすることで、脳の中の情報が自力で思考するよりも何倍ものスピードで整理され、かつニューロン回路が整理・強化され、ある時ポッとアイデアが思いつくのだそうです。
 しかし、職場で仕事中に行き詰まっても寝られないしお風呂も入れないし、ボーッとしていたら周りからどう思われるか、、、といった際に10分程度のマインドフルネス瞑想で同様の効果が得られるというのはかなり助かります。

(実際、Googleなどマインドフルネスを積極的に取り入れている大手企業は、オフィス内に瞑想ルームなどを備えています。下の写真はデザインチーム「Office of Things」とコラボレーションして作られた最新テクノロジーを導入した究極にリラックスできる瞑想ルームだそう。)

メディテーションポッドのような設備が職場にあるといいですよね、、、!
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 青砥瑞人氏著の『BRAIN DRIVEN -パフォーマンスが高まる脳の状態とは』では、クリエイティビティの始点は「デフォルトモードネットワークと紹介されていました。デフォルトモードネットワークとは、いわゆる何もしていないときも脳が働いている、脳のアイドリング・待機状態のことです。
 アイデアを作るための本にも度々書かれていた「アイデアを思い付くためには、意識的にぼーっとする時間を作る」と、神経科学の研究分野でも明らかになりつつある「クリエイティビティには何もしていない状態のデフォルトモードネットワークが重要である」という点が合致していたのはとても興味深いです。
 Chapter 3の『クリエイティビティを高める』の章だけでもかなり価値のある内容でしたので気になる方はぜひお手に取ってみてください。

創造性を高めるマインドフルネス瞑想のやり方

 マインドフルネス瞑想があなたに合うのか?合う方法はどれか?本当にあなたにとって効果があるのか?を知るためには、まずはご自分でやってみるしかありません。
 マインドフルネス瞑想の始め方は色々あります。
 やり方について本を読んでみたり、マインドフルネス瞑想のセミナーやワークショップに参加してみたり、瞑想のスマホアプリ Headspace(英語版のみ、iOSAndroid)とCalm(日本語版もあり、iOSAndroid)、buddhifyなども使ってみてください。

 今すぐにでも始めてみたい!という方は、以下の手順を参考にしてやってみてください。

1, Find a place where you won’t be disturbed.
 (邪魔をされない場所を見つけましょう。)

2, Sit in a comfortable position and set a timer.
 (快適な姿勢で座り、瞑想を行いたい時間をあらかじめタイマーでセットします。)

3.Gently close your eyes.
 (そっと目を閉じてください。)

4, Ask yourself what you are currently experiencing, and observe your feelings, sensations, and thoughts.
 (あなたが現在経験していることを自問し、それについてのあなたの感情、感覚、考えを観察してください。)

5, Shift your attention to your body and spend a moment or two zooming in on the sensations in places that touch the chair or floor.
 (あなたの身体へと注意を移し、椅子や床に接している部分の感覚に少し意識を向けてみてください。)

6, Shift attention to your belly and observe your sensations. Focus on how it extends and falls with every breath.
 (次にあなたの腹部に注意を移し、どんな感じや感覚があるかを観察してください。 息をするたびにどのように腹部が膨らんだり上下するかに意識を向けます。)

7, Observe your breathing some more without changing it.
 (呼吸は変えずに、もう少し今どんな呼吸をしているかを観察してください。)

8, At some moment, your mind will naturally wander away.
 (これらを行なっているとある瞬間、あなたの心は自然とさまよいます。)

9, When you realize that your mind is no longer in the present, recognize it as a moment of awareness and shift your attention back to your breathing.
 (自分の心や思考がさまよって今ここにないと気づいたら、それを気づきの瞬間として認識し、また呼吸に注意を戻します。)

10, Now focus on your whole body, observing your posture and face.
 (今度は全身に焦点を合わせ、姿勢と顔を観察します。)

When you are ready — or when the timer reminds you that you should get back to work — open your eyes.
 (準備ができたら、またはタイマーがなったら、目を開けて終わりにしてください。)

Can 10 Minutes of Meditation Make You More Creative?

もっと簡単に、手軽にやってみたい方には、、、

 「マルチタスクは脳に良くない」という話は最近聞かれるようになってきました。人間はマルチタスクで同時に複数のことを考えているつもりでも、実際は脳の中でさまざまな思考回路の間を秒単位で行ったり来たりしながら思考しているだけなのだそうです。例えば、一つの歌を声に出して歌いながら仕事のことを考えるのは難しいと思います。(私はネガティブな思考にとらわれてグルグル思考が回ってるな、と気づいたら一曲思いっきり歌ったりします。その間はネガティブな思考パターンから距離を置けるので、歌い終わった後は思考の囚われから離れられていることに気づきます)
 早稲田大学の熊野先生の瞑想ガイドでやられている、
目を閉じて呼吸に集中し、呼吸している時の体感覚に意識を向けて、息を吸った時にお腹が「ふくらみふくらみふくらみ」、息を吐いた時にお腹が「ちぢみちぢみちぢみ」と頭の中で唱える
というのを数分間行うだけでも頭の中が空っぽになる状態を意識的に作れます。ぜひやってみてください!

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ABOUTこの記事をかいた人

ライター。 博士号を取得後、日本学術振興会特別研究員・博士研究員・大学教員として教育研究に計10年以上従事(専門は分子生物学)。9割以上が男性の業界で女性が中間管理職として働く難しさを感じつつ、紆余曲折を経て小島美佳さんからマインドフルネスを学ぶ。 現在は心理学や精神世界のエッセンスを科学の言葉で咀嚼して伝える方法を模索中の、瞑想歴1-2年の初心者です。