座るだけじゃない!ビジネスマンが瞑想する意義や続け方【インタビュー】

今回は民間企業にお勤めで、瞑想サロンのオンライン瞑想会でたびたびご一緒している加藤さんにお話を伺いました。瞑想経験者に聞く、連載の第六回目になります。

ーーまず初めに、加藤さんが最初に瞑想やマインドフルネスに興味を持たれたキッカケを教えてください。

入り口はスポーツクラブのメディテーションクラス

加藤さん:6年前にヨガのイベントクラスを選ぶ際にメディテーションクラスがあって、気になり興味を持ちました。その4-5か月後に通っているスポーツクラブでアーサナ&メディテーションのクラスを見つけて通い始め、5-6回目くらいで自分にとって初めての体感覚を得てびっくりして追体験したくて、しばらく毎日帰宅後に瞑想して病みつきになりました。

ーー今はどのくらいの頻度で瞑想されているんですか?

加藤さん:「ちょっとザワついてるな」と思ったら通勤電車や仕事の隙間時間でやるとか、あとはトレイルランニングって山を走るスポーツをやるんで、そのときに登りで息が上がった時に呼吸にだけ意識を向けて坂道をひたすら30分間登ってみようとかとか、そういう“ながら”とか“隙間”を含めると瞑想は習慣化していると思います。
(記事のトップの写真は加藤さんにご提供いただきました)

 逆にちゃんと座って瞑想っていうのはそんなに頻度高くやってないかもしれないです。去年コロナのSTAY HOME期間は結構座ってやってましたけど、それ以前はそんなに。

自分自身を客観視する時間が増えた 〜瞑想の継続で感じた効果

ーー瞑想を続けてみて、ご自身で何か変わったなと思うことはありますか?

加藤さん:自分を客観視する機会や時間が増えていると感じています。あと去年あたりから、自分の内面から意識に上がってくる頭の中のひとりごとや過去の記憶を外からの刺激と同じ様に受け止められるようになったかな。

 後はどんどん「何々をしたほうがいい」とか「こうあったほうがいい」ってのがなくなってきて、逆に小中学生の時みたいじゃん今の俺と思ったんです。

ーーなんかわかります。人ってあるところからだんだん子供に戻っていく気がします。親とか学校とか社会から植え付けられた価値観とかでガチガチに固められてるじゃん自分!て気づいてから、少しずつ手放していくみたいな。
 でも気づいて「もうやらないぞ」って思っていても、何度もお試しや引き戻し体験がくるんですよね(苦笑)。

加藤さん:なんなんでしょうね、それは残り香みたいなもんなんですかね。

ーーほんと何なんですかね(苦笑)、もうお腹いっぱいとは思うんですけど、逆に一生なくなりはしないんだろうなぁとも思って、諦めて「お試し来たっ」と気づいたらすぐ手放すしかないかなと今は思ってるんですけど。

加藤さん:まぁそうですよね。
自分の役割とか人格的なものって一個だけじゃないですもんね。いろんなものがたくさん合わさって『自分』がいるから、それぞれその時々に出てくる側面は違いますもんね。このレベルの自分だけってことには多分ならないんじゃないかなぁ。

ーー心理学でも、意識の発達段階も上がったり下がったりしながらここの段階にガッチリ固定ってならないって聞きますもんね。

加藤さん:あーそうなんですね。

感情の揺れも受け入れられるように

加藤さん:瞑想を始めて少し経った時、このまま感情の揺れもせいぜい さざ波程度になるのかな?って思ってた時もあるんですけど、逆にそれってしんどいんですよね。

ーー分かります、そこ、目指すとしんどいですよね。
 私は感情に蓋をして大人ぶっていたのが、瞑想を続けて、怒ったり泣いたりそのままの自分の感情を感じて出せるようになったと思っています。

加藤さん:おー感情を出せるようになったってのは良いですね、聞いてて嬉しいです。

ーー子供に連れて行かれた鬼滅の刃の映画でもラストギャン泣きで、逆に子供に「そこまで泣くかね?」ってドン引きされました、、、(苦笑)

加藤さん:(笑)
神道で一霊四魂って、人の霊魂は1つの直霊と4つの魂から成る、4つの魂は違う性質があるものでそれぞれがいろんな場面でいろんな活動をするよっていう考え方があるんです。
 だから感情の揺れとか振り回されてるとか気にするよりは、何にも感じない位に1つのところにとどまっていなくてもいいんだ、って気づいて

 たとえば怒ることで起こるエネルギーで動かすものを動かしていいとか、感情をちゃんと使ったり感情の幅を持っていいし、その幅の中を無理しないで行ったり来たりしながら、自分の幸せな人生を歩めばいいんだなぁって思って。それからまた楽になったかなぁ。

ーーなんかもう悟ってらっしゃいますよね。

加藤さん:そんなことないよ。

ーーサロンで一緒に瞑想していると、加藤さんが怒っているところとかちょっと想像できないです。

加藤さん:まじすか、昨日も職場のおっさんに怒りましたよ。良い人なんだけど、たまにいい加減なこと言うんで(笑)。

職場でシェアしても中々浸透しない

加藤さん:あとはマインドフルネスのワークショップとかセミナーに行って、良かったらその内容を会社の自分の部署でシェアして、一緒に瞑想やってみようよってやってるんです。

 それは何故かと言うと、職場のメンバーそれぞれの成長がそのまま仕事全体のパフォーマンス向上につながるだろうな、個々人が成長するために「自分で気付く力を養ってほしい」って思ったときに、瞑想とかマインドフルネスが役立つんじゃないか?って思ったんですよ。でセミナーの内容をシェアする時は、入口は精神修行とかじゃなくて、脳科学とかビジネスマンもやっている瞑想の記事とか紹介して、実際に一緒に瞑想をやってみたり。でも結局そこまで浸透しなかったんですけど。

ーーなんで浸透しないんですかね?

加藤さん:うーん、やっぱり今のその人には必要なかったんですかね。
 そして、こちらがやって欲しいなと思う人程やらない(苦笑)。こちら側が「やって欲しい人」っていうのは、分かりやすく言うとクセのある人とか、周りとモメがちな人、そういう人に「自分で気づく力」を養ってほしいな、と思うけど、やらないんですよ。
 だからその人は今はモメる人生を楽しみたいんだなと思って、放っておいています。

ーー私が過去にいた古い体質の職場だと、瞑想とかに「宗教の勧誘!?」って警戒されたり、「頭脳と体力と成果が全て、メンタルは後回し」みたいなマッチョな人が多い印象だったので、そうやって実際に職場でシェアしたり一緒に瞑想したりするのが素晴らしいな、と思いました。

加藤さん:先日も職場の3-4人でちょっとやったんですよ。一緒に5分を3セットとかやってみると、その時は「心地いい」とか、「ざわつきが落ち着く」って言ってたので、何かしらは感じられたみたいです。その後継続してるかは聞いてないから分からないけど。
 あと先日セミナーで聞いたんですけど、そもそも自分の体って心地良いほうに向かう、心地良い事しかしないんですって。

ーー???どういう意味ですか?

加藤さん:体は基本的に心地良い事しかしない、体が苦しい方向のことを自然にすることってないらしいんです。だから1-2回でもまずは体験してもらって「瞑想いいね」ってわかったら、各々何かしら続けたり自分に合った方法を模索したりすると思うんですよね。

マインドフルネス瞑想の始め方のアドバイス

ーーなるほどです。その「まず瞑想をやってみようかな」って思った人へ、始め方のアドバイスなど もしあれば教えてください。

『瞑想=座禅』という思い込みを初期の頃に外した

加藤さん:もし瞑想に興味があるなら、目についたことをやってみる。
 それこそワークショップとかセミナーに行くと、いろんな瞑想のやり方教えてくれるんですよ。お坊さんが歩行禅やるよとか、今ここにある自分の体感覚に意識を向けるっていう教えの中で、歩いているときに顔に当たる風の感覚に意識を向けて歩くとか、赤信号の時だけちょっと意識を呼吸に向けてみるとか。
 そういうセミナーで、結構初期の頃に「座らなきゃいけない」っていうのを取り去ってもらって、色々なやり方があって自分に合った方法でやればいいと思えました。

ーー確かに座ってじっとしていられないタイプの人とかに、「座る以外の瞑想もあるよ」って伝わるのはいいですよね。

加藤さん:そうそう、ただ黙って周囲の音に意識を向けてみるとか、肌の感覚を意識するとか、普段とちがう意識の使い方をしてみるのは、習慣的に座りましょう、ってのよりはハードルが低い気がしますね。
あと実際に日常生活でたまにやってるのは、外からの刺激に対する体の感覚に意識を向けて感じ続けてみること。サウナと水風呂とかは刺激が強いのでやりやすいかなーと思って自主練してます。

 それから元々自分は「出来た出来ない」を判断する癖があったので、そういう人は最初は一人でやるより複数人でやってみて、感想をお互いシェアしてくのがオススメです。先導者がいるようなマインドフルネスのワークショップやセミナーも色々あるので、まず行ってみるのも良いかなと。

ーーわかりますわかります。私自身も最初本で読んでやってたんですが、まさに「これで合ってるのかな?」って思いながらも「とにかく続けろ」って本に書いてあったのでやってたんですけど、、、ある時誘われてワークショップに参加して他の人と一緒にやってみたら「感覚としてわかる」みたいなことがありました。

加藤さん:大体みんな自分の頭の中で作っているストーリーの中に住んでるじゃないですか。そこから一旦離れて距離をとるのに、今実際に感じている体感覚に意識を向けるってのは気軽にできるのかなと。今の体感覚を感じるっていうのは「今ここ」にまさにいる状態だと思うので。

ーーなるほどー。

マインドフルネス瞑想を始めようか?迷っている方へ

ーー個人的な印象で、お坊さんはほぼ男性なのに、マインドフルネス瞑想とかは女性がやっているイメージが強いんですが。。。興味あるけどこれからやろうかどうしようか?と迷っている方(特に男性)へもしアドバイスがあればお願いします。

加藤さん:瞑想をやることのメリットとして、

  • 頭の中の独り言や監視する自分に気づく、とか、
  • 気づけたら、勝手に作っちゃってるストーリーや自分の独り言で自分自身を縛るのを止められるようになる

っていうのは最近思っています。

ーーそうですね、瞑想して自分の状態に気づいたり離れたりして、「みんなもっと楽になれたらいいよね」っていうのは思います。

加藤さん:なんかね、その「楽に生きる」ってのが前は全然わからなかったんですよね。苦しい事は別に日常だし、粘り強くやるのがもともと苦じゃないので「楽に生きれるって何だ?」って思ってて。今はわかるけれど。
 実際、世の中の人って自分で「今息苦しい」「生きづらい」とか「苦しい」って思っているのかな?

ーー結構思ってるんじゃないんですかね、少なくとも私はそっち側だった?と思います。

加藤さん:そうなんだ、じゃあそのメッセージは大事かもしれない。

自分のやりたいことをやっていると、選択するときの感度も上がってくる

ーー自戒も含めて、、、楽じゃない日常が当たり前になっちゃってる人が多いんですかね?

加藤さん:そうかも、昔の自分がそうだったので。
でも、時間とエネルギーを使えば自分のやりたいこととか今楽しめることに集中できるし、それってとても大事ですよね。

ーーほんと、人生は短いから、「もっと自分のやりたいことをやりな」って、あちこちでよく聞きます。

加藤さん:そうなんですよね。
 だから頭じゃないんですよね判断するところが。頭かもしれないけど言語化して論理的に「こちらだ」と選択・判断する思考回路じゃないですよね。
 「こっちやりたいじゃん」みたいな感覚を自分で選択できるようになると感度も上がってくるので、みんなやりたいことやれてもっと楽になれたらと良いなと思います。

 あと最後に言うなら、日本人はみんなもっと寝たほうが良い、睡眠大事!ってことですかね。

ーーありがとうございました!

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ABOUTこの記事をかいた人

ライター。 博士号を取得後、日本学術振興会特別研究員・博士研究員・大学教員として教育研究に計10年以上従事(専門は分子生物学)。9割以上が男性の業界で女性が中間管理職として働く難しさを感じつつ、紆余曲折を経て小島美佳さんからマインドフルネスを学ぶ。 現在は心理学や精神世界のエッセンスを科学の言葉で咀嚼して伝える方法を模索中の、瞑想歴1-2年の初心者です。