冬は乾燥や寒さで咳が出やすい季節です。咳は風邪やアレルギーなどの症状のひとつで、肺や喉に負担をかけます。咳の悩みには、西洋医学的な薬だけでなく、東洋医学的な薬膳も有効です。
目次
薬膳とは
薬膳とは、食材や調味料によって体質や病気に合わせて調整する食事法です。
今回は、咳や喉の炎症を抑えるのにも効く、梨を使った薬膳デザート「氷糖燉梨子(ひょうとうとんりし)」の作り方と効能を紹介します。
薬膳としての梨の効能 – 咳やのどに効く
梨は中医学では肺や胃に属する食材で、
- 生津潤燥(せいじんじゅんそう、潤いを生み乾燥を防ぐ)
- 清熱化痰(せいねつかたん、余分な熱を取り除き痰をなくす)
- 除消渇(じょしょうかつ、渇きを改善する)
などの働きがあります。
陰陽五行説
(万物は陰と陽の二つの性質に分けられ、五つの要素(木・火・土・金・水)によって表現されるという考え方)
では、
- 咳は肺の不調によるもの
- 肺は五行の中の金に属し、金は水で制御される
とされます。
また、梨は
- 五行の中の水に属する食材で、
- 金の肺を潤し、咳を和らげる
と考えられています。
食べ物には、体を冷やし・体を緩める【陰】と体を温め・締りのある体【陽】があります。自然の中と同じように人の体にも陰と陽は存在します。
五臓(心・肝・脾・肺・腎)は陰、六腑(小腸・胆・胃・大腸・膀胱・三焦)は陽というように陰陽の関係があります。《三焦とは、血液を循環させる。気血水を全身にめぐらす》
体内の陰陽バランス・食べ物の陰陽バランス・すべての陰陽バランスが保たれる事が健康へと導いてくれますので意識しておくと良いでしょう。あくまでも陽性が良い事で陰性が悪い事というわけではなく、大切な事は過剰摂取せず陰陽のバランスを取る事を念頭に置いておくことです。
氷糖燉梨子(ひょうとうとんりし)とは
氷糖燉梨子とは、梨に氷砂糖や蜂蜜などを入れて蒸したデザートで、中国では古くから咳止めとして親しまれています。
作り方は以下の通りです。
材料
梨、氷砂糖や蜂蜜、生姜
作り方
- 梨の上部をふたになるように切り取り、芯をくりぬきます。
- くりぬいた部分に氷砂糖や蜂蜜、生姜などを入れます。
- 1で切り取った梨の上部をふたをして皿に入れ、蒸し器で 40 分から 50 分蒸します。
(※ 蒸し器が面倒な場合は電子レンジでも作れます。600Wの場合は約10分、500Wの場合は約12分加熱します。途中で様子を見て、梨が柔らかくなっているか確認しながら調理してくださいね。) - 柔らかくなり皮にひびが入ってきたら完成です。
- 氷砂糖は余分な炎症の熱を沈める力があり、喉のトラブル解消に効果的です。
- 蜂蜜は胃腸を元気にし、保湿作用で乾燥を防ぎます。
- 加熱した生姜は、体を温めてくれます。
夏や秋の旬の頃に食した梨の皮や芯周りを冷凍しておいて、作る咳止めジュースも紹介されていました。
あっ、その梨の皮捨てないで!
梨の皮は喉をうるおす美味しいジュースになります。皮と芯を冷凍しておいて5、6個分たまったら、ひたひたより少し多めの水で10分位煮ます。
濾して冷えたらハチミツを加えてお飲みください。#薬膳 #漢方 pic.twitter.com/TWxJD3DlsF
— 植松光子 美肌・健康な肌づくりのヒント (@uematsu_kanpo) September 2, 2024
ちなみに、梨に含まれる咳止めや解熱効果のある成分のソルビトール(糖アルコールの一種)は、洋梨にも含まれていますので、和梨が手に入りづらい時期は洋梨でも代用可能です。
その他、梨のジュースも咳止めシロップとして飲むことができます。
ただし、梨は冷やす性質の食材なので、胃腸機能が低下している人や、軟便・下痢傾向の人は生のままたくさん食べないようにしてください。
株式会社 s o l e i l
ボディセラピスト 金子昭子