「整う」と近年人気なサウナ。日本では「サウナー」と自負するタレントさんもいらっしゃるほど。
心理学者のステファン・コルマント博士(Stephen Colmant, Ph.D. )は、リラクゼーションやリフレッシュとしてのサウナだけでなく、マインドフルネス瞑想を手軽に体験する機会として サウナを最大限に活用する方法を提案しています。サウナ関連のアメリカの情報サイト finnleo 『How To Create A Sauna Ritual for an Exercise in Mindfulness』の記事のご紹介です。
目次
サウナは伝統的な瞑想儀式でも使われてきた
コルマント博士は、アメリカのナバホ インディアンの宗教生活において中心的な役割を果たしている伝統的儀式 スウェット・ロッジ(発汗小屋)について研究した後に、著書『Sweat Therapy – A guide to better wellbeing』を書きました。
この著書の中で、サウナ特有の 熱さ、静けさ、孤独、 といった環境はすべて、伝統的に世界中の瞑想儀式や多くの文化で使用されてきた要素で、現代のわたしたちもサウナ環境を活用することで手軽に瞑想を実践できる、と述べています。
スウェット・ロッジとは
Source : wikipediaより引用
アメリカ・インディアンの儀式のための小屋、またはこの小屋で行う「治癒と浄化」の儀式。
このスウェット・ロッジ(発汗小屋)は、全米のインディアン部族に見られるもっとも一般的で、しかも重要な儀式である。薬草の香気を含んだ蒸気によって身を清め、汗をかくことで健康を回復させる「治癒」の意味と、「心と体の浄化を伴う文化的な集まりの場」の二つの意味を持っている。
サウナがマインドフルネスに役立つ理由
1, 身体的な効果
サウナでの高温が身体に与える影響として、 具体的には
① 心血管系を活性化し
② 脳に血液が供給される速度を高め、
③ 筋肉を弛緩させます。
これらの状態でさらに汗をかくことは、心を集中させ、リラクゼーション状態に入るのを助けます。これらの集中とリラクゼーションの状態はマインドフルネス瞑想での体験そのものです。
2, 精神的な効果 – 脳疲労の回復 –
さらにはサウナでは「熱い」といった体表面の感覚に意識が向かうため、強制的に頭の中の思考がストップします。例えば体や心が痛い状況の時に「痛い、辛い」と思考がループして日常生活や心身に支障を来たすように、サウナでの強烈な熱さ体験で「熱い、汗が出る、水飲まなきゃ」といった思考で頭がいっぱいになり、他のことが考えられなくなる、といった体験はないでしょうか?
集中力を高める
この思考停止した状態はマインドフルネスの基本である『今ここ』に集中している状態でもあり、DMNという脳のアイドリング状態による無駄なエネルギー消費量も減ります。
その結果、サウナ後に「頭がスッキリした」と感じる人が多いようです(Forbes 『医師に教わるサウナの科学。「脳回路の消費減、脳疲労回復」の入り方』より)。
身体だけでなく精神的にもスッキリし、明晰さも向上する
実際に定期的にサウナを利用する人は、健康上のメリットやリラックス効果だけでなく、「精神的な明晰さも向上した」と報告しています。
これは、マインドフルネスの実践における主なメリットの 1 つと一致しています。
マインドフルネス瞑想でも、気を散らすもの(雑念)を頭から取り除き、集中することによって、
- 新しいアイデアを得る、
- 新しい問いが浮かぶ、
- 時折のインスピレーションの爆発、
- 精神統一、
などの体験をすることがあります。
これらマインドフルネスの習慣化によって得られる体験やメリットが、サウナではただそこに行くだけで起こっていると考えられます。
サウナ瞑想はどんな人におすすめ?
瞑想体験は人によってそれぞれ違うものなので、音楽や照明、香りなど特定の感覚への集中や刺激によって瞑想やマインドフルネスが高まると感じる人もいれば、感覚遮断を好む人もいます。
感覚遮断派の方は、サウナ瞑想が合う可能性は高いです(最近のサウナはたまにテレビがついていたりしますが、、、 汗)。
以下のサウナ瞑想を体験するコツを参考にして、心身共にリラックスし整う体験をサウナ瞑想で試してみてください。
マインドフルネス サウナの効果的なやり方
難しいことは一切なく、サウナという環境の中で体の感覚と呼吸に集中するだけです。
その他、サウナという特殊な環境での注意点などは以下の通りです。
- あなたの体の反応・感覚に集中して、それがあなたに伝えていることを心に留めておいてください。
- 発汗儀式の前に食べ過ぎないでください。
- 脱水を防ぐため、十分な水分補給を心がけます。
- 快適な服装を心がけてください。サウナでは締め付けのないゆるい服装ほどいいです。
- サウナにいる間は、背筋を壁につけて背筋を伸ばして座ってください。
- 1サイクルでサウナに入る時間は 15 分間までに制限し、クールダウン休憩(外気浴や水風呂、水分補給)と交互にしましょう。
- 呼吸に集中し、口を使って息を吸ったり吐いたりすることが重要です。
(通常の瞑想では鼻呼吸を推奨していますが、サウナの室内は高温なため鼻粘膜を傷つけないよう、口呼吸の方が望ましいとのこと)
最近ではビジネスホテルにサウナが併設されていたりもするので、出張などで夜の飲み会などない場合は是非サウナ瞑想を試してみてください。
一方で、心臓や血圧・血管系などで疾患をお持ちの方にとっては、サウナが症状を悪化させる原因となる可能性もあるのでご注意ください。(President online : 「サウナで体調がととのう」はウソである…心臓血管外科医が心配するサウナに潜む4大リスク)