瞑想を次の段階へ – ヴェーダナー(感受)の理解と実践法

連載 瞑想のステップアップ論では、瞑想の練習が進む上では段階があるとの前提の元、4つの段階に分け、それぞれを瞑想の初心者の方から熟達された方まで、分かりやすくお伝えしています。

前回までは第1段階のカーヤ(身体)を説明しました。
今回は第2段階の「ヴェーダナー(感受)」について、ヨガインストラクターで弁護士のMasaさんの見解も交えて解説していきます。


身体の感覚から感受への扉 段階を踏む重要性

瞑想の段階は下から上に向かって徐々にステップアップしていくと考えます。

小島美佳:瞑想には複数の段階があり、それぞれの段階を確実に踏むことが大切です。
最初の段階は「カーヤ(身体)」と呼ばれ、主に呼吸に意識を向けながら、自分の体の状態を客観的に認識することを目指します。そして、呼吸をコントロールしながら体の状態を変化させる力を養うことがこの段階の目標です、といったお話しさせていただきました。

瞑想には段階があるので、基本的にはカーヤの段階をある程度習得してから、次の「ヴェーダナー (感受) 」の段階に移行することが望ましい、とされています。仮に最初からヴェーダナーの段階に入ろうとすると、多分訳が分からない、理解しづらいことと、さまざまな不具合が生じる可能性もあります。

ですから、初めは呼吸に意識を向ける瞑想法から始め、継続して、カーヤの段階を納得行くまで探求してから、次の段階、ヴェーダナーに進むことをお勧めします。


ヴェーダナー(Vedanā、感受)とは何か

Source : Amazon

今回もブッダダーサ比丘さんの著書「呼吸によるマインドフルネス」を読み解きながら、ヴェーダナーについての理解を深めていきます。

著書の中では「受ける」という言葉が使われており、感覚器官に対象が触れる経験によって生まれる感受のこと、と定義されていました。これは私たちの身近な例ですと「触覚」によって起こる経験、と言えるかと思います。

例えば、実際に犬の頭を撫でた時に指先が犬の毛に触れることで引き起こされる経験、そういった触れる経験・触覚によって生じる「気持ちいいな、ふわふわだな、愛おしいな」といった様々な感覚、と理解していただければと思います。

また、「触」、触れることによってヴェーダナーが生じた時に、無知な状態であればそれは執着を生み出す原因となるとも書かれていました。これは、例えば犬に触れていて「なんて気持ちがいいんだろう、もっと欲しい」といった感覚のようなものです。
逆にヴェーダナーが生まれた時に智慧が伴っていれば、無害なものか有益なものになっていくと書かれています。こちらについては後ほどより詳しく解説させていただきます。


ヴェーダナーは身体感覚とも異なる

ヴェーダナーはこのような心の微かな動きを指し、それは身体感覚とも異なる、と明確に記されていました。
これを先ほどの犬の額に触れた時の例で説明すると、触れた時の触覚そのものでもないですし、触れた時に起こる心の微かな動きはその時々によってかなり変化するものなので、その感覚と今自分の肉体がどのような反応をしているのか?というのはちょっと違いますよ、ということです。



このような違いは、おそらくカーヤの段階を ある程度鍛錬を積んで来られた方だと、感覚的に理解できるかもしれません。ただ一般の方や、まだカーヤの段階が深まっていない方にこの説明をしても意味がわからないかもしれませんが、ここでは「そういうものがあるんだな」という風に知っておいていただければと思います。

このようにヴェーダナーは身体感覚とも少し異なり、英語の ”feeling” といった感覚とも少し違うということで、非常に繊細な領域に入ってくるものではあります。これを自分の中で観察・探求できるようになってくると、より瞑想が深まり、興味深い体験も得られるでしょう。

Source : 瞑想のステップアップ論


ピーティー (満足) とスカ (楽)、2つのヴェーダナーの種類

呼吸によるマインドフルネス」によると、ヴェーダナーの段階の瞑想では、特に注目するべきポイントが2つあります、と書かれていました。

具体的には、カーヤの段階で呼吸や身体が調整され、落ち着いてくると

  • ピーティー:Pīti (満足)
  • スカ:Sukha(楽・幸せ・心地よさ)

といった状態がやってきます。
これら2つの状態は似ているようで少しニュアンスが違うものなので、以下順を追って説明していきます。


ピーティー(Pīti、満足)とは

ピーティーとは、満足している状態の微かな動きのことで、先ほどの犬に触れる例ですと、「これは非常に気持ちがいい、ずっとここに止まっていたい、この状態がなくなるのは嫌だ」といった感じの満足感です。こういった感覚は皆さんの日常生活の中でも体験されることもあるかと思います。

ピーティーがやってきた瞬間そのものは非常に満足感に満ちてはいるんですけれども、平和的なものではないと指摘されていまして、ある種の興奮や衝動的なものでもあります。


スカ(Sukha、楽・幸せ・心地よさ)とは

次にスカについてですが、こちらはニュアンスとしてはピーティーよりももう少しゆったりとしていて、楽で幸せで心地が良い、穏やかな感じです。
一般的には、ピーティー(満足)が先にやってきて、その後にスカがやってくることが多いと言われています。



以上、ピーティーとスカについては、なんとなく覚えておいていただいて、これらを踏まえた上で練習を続けていくと、瞑想をしている時に「今自分が感じているもの、経験しているこの感じはピーティなのかそれともスカなのか?」と吟味する段階に入っていきます。そしてだんだんと自分の中で感覚的にどのように異なるものなのかがわかってくると思います。

そこで、次は瞑想の中では具体的にどういったことを経験しているのか?について詳しく解説していきます。


ヴェーダナーの段階を味わう – 実践で行う4つの経験

ここでは、第二段階のヴェーダナーで瞑想中に行なっているとされる4つの経験ついて、順を追って説明していきます。


1, ピーティー (満足) の観察

最初の段階では心を震わせるピーティーを観察し続けることが重要です。

呼吸の1つ1つを体験していくと、吸う息のこの辺がものすごく気持ちがいい、大きな満足感がやってきました、ですとか、吐く息のこの部分が〇〇だ、といった独自の良さのようなものが経験されるかと思います。それを呼吸つつ、どのような満足感がやってくるのか、その違いを観察していきます。
また、ピーティーの質にも様々あるかと思いますので、どのような質のピーティーがどのように心に影響するのかを観察し気づいていきます。

例えば、瞑想をやっている時に光に繋がるような神秘的な感覚になってきました、純粋にこれは本当に気持ちがいい、とか、体全体がなんだか浄化されるような感じがする、ですとかそういったものがやってくるかもしれません。そのちょっとした違いを見ていくようなイメージです。
逆に不快なものがやってくることもあるかと思いますが、これも全体として観察していくという感じです。
似たような体験はカーヤの段階でもあり、その点は前回説明させていただきました。


2, ピーティーが去った後のスカ (楽) の感覚を味わう

先ほども述べましたが、ピーティーが先にやってきて去った後に、スカがやってくると言われています。2つめのステップでは、これらの両方を見ていきます。ピーティーが去った後にやってくる、滑らかで静かな感覚というのがスカの特徴でもあるので、この感覚に意識をずっと置いていくと、さまざまなものが微細になっていく、と言われています。

このスカの状態を先ほどの犬に触れる体験で例えると、スカの状態を維持できつつ、指先で何かを触れた時に様々な質感を経験できるようになってくる、といった感じかと思います。
言葉では「飲む」という表現を使われ、呼吸を飲んでいるような感覚も、もしかするとやってくるかもしれません。

邪魔をしてくるピーティーに惑わされない

またこの2つめのステップでは、ピーティーが常に邪魔をしてくるので、それに惑わされることなくスカを体験し続けられるのが大切ですよ、とのことです。例えばスカの感覚を味わっている時に、気づかないうちにピーティーの状態に入り込み、満喫感のようなものを味わっている自分がいたとしたら、それに気づき、もう一度この静かな滑らかな感覚に戻りましょう、というのがお勧めされているものです。Masaくん、ここまで何かありますでしょうか?



Masa:はい、このピーティーとスカについてですが、やはり「ピーティーに囚われてしまう」、「興奮しているような満足感」というのは、麻薬的なもので刺激にはなりますよね。それに比べスカは「本当に滑らかで刺激がない状態」ですので、ピーティーを観察し続けた後にこのスカを観察し続ける前の状態(スカを味わったことがない段階)の人ですと、スカはつまらないものなんじゃないのか、といった感想を持たれる方が結構いらっしゃる印象があります。

しかし、やはり瞑想の段階を追っていく上では、スカの方が上位にあるものなので、そちらを目指していくべきだ、ということを理解して練習を始めていくことが大事かと思います。

小島美佳:そうですね。 「ピーティーの状態にずっと居続けたい」といった衝動は、いろんな意味・場面でもあるかと思いますが、それはそれで1つの経験として、その次があるよ ということを理解しておくことは大事かなと思います。


3, 心や思考の動きを観察する

続いて3つ目のステップ、心や思考を観察する、について説明していきます。

2でお話ししましたように、ピーティーとスカは交互にやってくるものではありますが、観察を続けていくことによって、このピーティーとスカのちがいを認識できるようになります。今この瞬間自分はどういうものを味わっているのか、それらが出てきた時に自分自身の心はどういう状態になっているのか、ということをだんだんと観察できるようになってきます。

例えば、スカは非常に静かな滑らかさがある、と申し上げましたが、これを観察し体験することによって、その時の心の状態は本当に穏やかで特に何も求めない状態になっている、と観察できるような感じです。
一方ピーティーの時はどちらかと言うと少し執着のような心の動きがあったりする、ですとかそんな感じで違いが分かるようになってきます。



関連する思考や体感も認識できるように

そして、このピーティーとスカ、 2つの感受と関連する思考も認識できるようになってきます。
これは心の動きや心のつぶやきのような少し異なるタイプの思考が出てきたら、それも淡々と認識できるようになるということです。すると、「この思考が出てきたということは、今はピーティーなんじゃないか」といったことも分かるようになってきます。

またピーティーと関連する思考は粗くスカと結びついてる思考は細やかである、と書かれていました。これはカーヤの段階の呼吸の描写でも、滑らかで細やかで静かな呼吸と短い呼吸や荒い呼吸があるとお話ししましたが、ピーティーの際にも確かに荒い感覚になるかと思います。
必ずしもそれが悪いことではないですが、思考の荒さや細かさといった違いも予め知っておくと、今自分が体験してるものがどちらなのか?と観察する際の分かりやすい指標にもなるでしょう。

さらに「ピーティーが強ければカーヤ(身体)は震え、パワフルなものになる」と書かれていました。ここはスピリチュアル的な体験や覚醒体験のような経験をされた方はピンと来るかもしれません。
一般的には、肉体が振動する感覚、頭の上がぐわーっとなるような不思議な感覚などがあるかと思います。その時は振動数が増えるような、なんとも言えない感覚がやってくることが多いですが、ここでの整理ではその体験はピーティーだと知っておいていただけると、より違いが認識しやすくなります。

そういった体験はパワフルで非常に満足感が高いものではありますが、その先がありますよ、ということです。


スカは静けさとリラックスをもたらす

こういったお話をしていると、スカが良いものでピーティーは悪いもの、といった二元論的な解釈をしてしまいがちですが、どちらも一方があることで成立するということです。ですから、ここでは両方あるんだ、と理解していただくのがいいかなと思います。
満足がないと幸せはやってこないし、幸せがあるから満足があり、それぞれは同時に存在しうるものです。
この両方を「面白いな」と感じながら経験できていくことが大事かと思います。

Masa: そうですね、この二元論でスカが良いものでピーティーが悪いものという風に判断しない、というのはとても大事です。このヴェーダナーに限ったことではないのですが、練習・修練を積んでいく上で下位の概念みたいなもの、下位の概念に属するものの状態のことを悪いもの、という風に判断しがちな人が多いかと思います。

しかしそれは、あくまで「その状態にあるというだけ」という認識で留めておかないと、「いつまで経っても上に行けない自分はダメだ」と落ち込んでしまったりするので、「ただ単に今自分がその状態にあるだけ」というように考えをとめておく、ということが非常に重要です。

小島美佳:まさに瞑想の大原則「評価判断しない」ということですね。
瞑想をされている時に「今自分が経験してるこれがどういうものなのかな」という理解を深めるという感じで捉えていただけるといいかと思いました。


4, ピーティーの制御を試みる

はい、ではヴェーダナーの段階での瞑想体験の最後、4つめのステップはピーティーを制御する方法を試みる、です。
ピーティーとスカというものが、ご自分の中でなんとなく「自分の場合はこうだな」と認識できるようになると、ピーティーを制御することができるようになってきます。

そこでここからは具体的にピーティーを制御するための3つの方法をご紹介していきます。


① 心の対象を変化させて集中する

これは、精神の流れを統合し一点に集めた状態にするという感じです。要は1つのところに集中することによって、その他がやってきても影響を受けない状況を作り出しましょう、というイメージです。
ですから、もしご自分の中でスカのイメージがあるとしたら、そのスカというところに留まり続けようとする感覚、あるいは、ご自分の呼吸のこの部分が1番滑らかな穏やかな状態だなと思ったら、そこに意識をふわっと置き続けるみたいな、そんな感じだったりするかと思います。


② ピーティーがどう発生し、どのように終わるのかを観察する

次は、ピーティーがどのようにやってきて、そして私たちをどのような状態にさせ、そしてどういう風に無くなっていくのか、という一連のプロセスを観察していく、という感じです。これは真の特性を理解する方法と書かれていましたが、やや観察的、分析的な感じかもしれません。

先ほども申し上げました、ちょっと神秘体験っぽいものがやってきた時の私自身の感覚としては、ピークがあって抜けていく、という感覚はあるかと思います。そういったものを理解しておくと、なにか感覚が来た時に気づき、そうすると次はこうなって、こういう風に出てくのかもしれないな、と見えるようになり、その時点で既に客観的になれているので、ピーティーを制御することも可能ということです。
つまりピーティーの特性を理解することでピーティーの中に留まっていない状態が作れるようになる、ということかと思います。

また、「この方法はスカさえも溶解させる効果がある」と書かれていましたが、これはとても高度過ぎて、私はまだそこの域まで行ってないかな、とも感じますけれども、分解して観察することはそれほどパワフルな効果があるということなのかと思います。


③ ピーティーの魅力的な部分、惹きつける魅惑を観察する

これはピーティーの特性をより理解するアプローチで、自分の執着のボタンを押される感覚があるな、など魅力そのものを観察する方法です。
このように観察することができている時点で、もうピーティーを制御する入り口にちゃんと立っている、といえるかと思います。このアプローチはピーティーを制御だけではなく、日常生活においてもものごとを客観視する上で、非常に役立つでしょう。


ネガティブとポジティブ、2つの性質を理解する

先ほどの良い悪いの二元論の話とも関連しますが、魅惑的なものの中には強いポジティブ性(虜になるようなもの)と、ネガティブ性(嫌いになる)のものが同居している、と言われています。この2つの性質を理解することができると、次第にピーティーには飽きてきます。

例えば、恋愛やお金のような、ものすごく惹きつけられるポジティブ性が高いものというのは、光と影のようにその逆も必ずあるものです。ですから、その両方を見ていくことによって、次第に「まあいいか」といった感じになってくるのかと思いました。

Masa:そうですね、この「魅惑的なもの中に強いポジティブ性とネガティブ性が存在する」という説明のところに関して、これら2つの性質も対象としては1つの同じものなんですよね。

刺激が強ければ強いほど感情の触れ幅が大きくなる、例えば昨日まで大好きだった恋人が翌日にはもう憎しみの対象になっていたりですとか、お金があってすごく潤っていた人が、そのお金があることによって人に騙されたりして、「お金さえなければ良かったのに」と思うようになったりですとか、そういったことをイメージするとわかりやすいでしょうか。



で、結局そういったものを経験したりですとか、いろんな理解が進むにつれて、「大きな刺激に対して魅力を覚えなくてよくなる」、「大きな刺激がいずれ自分に対して嫌な影響をもたらすかもしれない(だから刺激はもう不要だ)」ということを理解しておくと、生きやすくなっていくだろうなと思います。

小島美佳:本当にその通りですね。
その両方が見えている状態がスカなのかな、と感じました。だんだんと嗜むことができるようになる、といった感じになっていくのかな、と思います。
そんな領域があるのか、まだよくわからないな、という感じもあるかもしれませんけれども、これがヴェーダナーの領域ということです。

これは瞑想の世界の難しい領域の話だけではなく、先ほどMasaくんが言ってくださったように、日常生活においても存在する私たちの執着のボタンを押すようなものを深く理解しておく、ということはとても大事だと思います。

そのような理解を深める助けとなる概念が、この本の中で2つ書かれていたので紹介していきます。


魅力とリスクを知る – ヴェーダナーの本質

1つはアーディナーヴァ(Ādīinava)でこれは、餌の中の釣り針、不利益、過失、有害で役に立たないもの、
もう一つがアッサーダ(Assāda)、これは釣り針の中の餌、魅力的、私たちを惑わせ、満ち足りた気分にさせるもの、とありました。

釣り針と餌、両方が両方と絡み合った状態を作っている、という感じかなと理解しました。
もし皆さんが今まさにどちらか両極端を経験しているな、と感じていたら、もしかするとその真ん中辺り、その両方を経験した先にあるもの、について少し好奇心を向けていく1つのきっかけになるのでは、と思いました。



はい、今回の感受・ヴェーダナーについての説明は以上になります。Masaくん、よろしければ全体を通してコメントなどあればお聞かせください。


実践を重ね、ヴェーダナーの領域を開く

Masa:はい、僕自身、ヨガインストラクターとしてやらせていただいている経験からも言えるのは、やはりスカは非常に重要だということです。

アーサナ、すなわちヨガのポーズですが、難しいアーサナをプルプル震えながらやってる人たちが結構いるんです。しかし、ヨガ・スートラ(ヨガの経典)ではアーサナは安定して心地よいものでなければならないという風に記載されているんです(ヨガ・スートラ第2章46節)。

サンスクリットではスティラ、スカ、アーサナム(Sthira sukham asanam)、という風に書かれていて、スティラがその「安定して」というところ、スカは穏やかな心地よいもの、これらが最後に来るアーサナの説明になっている形です。

スカは非常に良いものというか目指すべきところであるので、ピーティーで刺激を受けて興奮している状態に楽しさを覚える気持ちはよく分かるんですけれども、そこを超えた先にある心地よさや静けさを持っている状態が、いかに自分の心にとって良いものでいい状態をもたらす、ということをよく理解されておくことを強くお勧めします。



ピーティーの刺激だけでは疲弊してしまう

小島美佳:一度、ピーティーを追求し続けることをやってみるのは全然悪いことではないですが、もしそれで多少お疲れが出ている場合は、ピーティーが去った後のスカを少し探求してみていただくのは、いいかもしれないですね。

Masa:確かに、ピーティーのところに留まっていると本当に疲弊してくるかと思います。
そしてピーティーに飽きた上でスカの方に向かえばいいんですけれども、飽きてしまって練習自体を手放してやめてしまうというのが本当に1番悲しいことかな、と思うので、この道筋を理解した上で練習を進めていく、というのは本当に大事ですよね。

小島美佳:そうですね。
瞑想だけでなく、お仕事やご自分の人生のステージといった面でも、ちょっと飽きてきてしまう、というステージが仮にあるのだとすると、それはなにか1つの段階を意味しているとも考えられます。

ですから、もし仮にだんだん飽きてくる体験があったとすると、行為そのもの、ヨガそのもの、今鍛錬を積んでいるものを手放すというよりは、皆さんの中の1つの精神性の段階が上がるかもしれないと捉えて、そこを追求しながらピーティーを制御できるようになった先に、別の意味での覚醒がある、と考えてみるのも面白いのかなと思いました。

はい、以上今回はヴェーダナーについて解説しました。
だんだん難しい領域に入ってきますが次回はチッタのところですね、その辺りを扱っていきたいと思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

瞑想歴20年以上。 15歳までヨーロッパで育つ。慶応義塾大学を卒業後、アクセンチュアで組織戦略・人材開発のコンサルティングに従事し異例のスピードで昇進。アクセンチュア・ジャパン 史上 最も若い女性マネジャーとして抜擢される。その後、独立系コンサルティング企業でビジネス開発に携わる傍ら、キャリアコンサルタント及びコーチとして活動。不確実な時代の波を乗りこなす事業の在り方やビジネスパーソンとしての生き方について考えはじめる。 2003年、瞑想に出会い習慣化するようになる。2010年よりビジネスの世界で活動をつづけながら、年間500名以上のクライアントへ瞑想的なテクニックを活用したカウンセリングを行っている。株式会社バランスオブゲーム代表。 監訳書:『コーチング術で部下と良い関係を築く』 共著:『「ハイパフォーマーの問題解決力」を極める』