習慣化そのものがストレス解消や幸福度に繋がる

 マインドフルネスは継続することで効果を実感でき、毎日決まった時間などに習慣化して行うことで、ストレス解消や幸福度も上がる、とお伝えしてきました。
 実は『習慣化そのものにも同様の効果がある』Psychological Benefits of Routinesという2021年のWebMedの記事をご紹介します。

習慣化することのメリット

 よくトップアスリートや経営者の方も毎日決まったルーティンがあると聞いたり、最近ではYouTubeなどで著名人の方のモーニングルーティン動画なども流行っていたりしますよね。

 習慣化そのものがストレス解消や幸福度アップに繋がるポイントとしては、以下の3つがあげられます。

1, 習慣化によってルーティンを計画し、予め多くの決定を下しておくことで、その他の習慣化できないような重要なものごとについて良い選択を取ることにより集中することができます。

 特に迷いやすい、悩みやすい、優柔不断な人は、前もって決めておくことで「考えなければ」というストレスを減らすことができます。

2, 習慣化によって決まったスケジュールがあれば時間を節約し、その分自分の余暇や趣味の時間を作ることができ、心の余裕や幸福度が高まります

3, 質の良い睡眠のためには就寝前後のルーティンが効果的です。いうまでもなく、質の良い睡眠の確保は良い休息と心身の健康に直結します。

家庭における習慣化の利点

 最近の研究では、家庭内で周知の日課があると、子供の社会的スキルおよび学業成績が上がるということが報告されています。

 これは家庭内で適切な時間管理スキルを実践することで、
1, 親が持つスキルを子供達と分けあうことができる、
2, 家族内での習慣化は子供の安心安全にも繋がる、
3, 親が病気などの時も、普段から日課があれば子供たちが安心する、
などの効果によるもの、とのこと。

 さらには朝の日課、食事の時間、就寝時間、宿題の時間などを予め決めて実践することで、多動性、衝動性や反抗挑戦性障害などの症状も減ることも報告されています(WebMed, 2022)。

医師たちも注目する習慣化の心理的メリット

 習慣化の有効性が特に注目されているのが以下の二点です。

1, 中毒症状からの回復

 前もって予定を入れ計画を立てて忙しくしておくと、中毒症状の再発の原因の一つである退屈を避けることができます。これは予定でいっぱいにすることを推奨しているのではなく、予定や計画がないことで慢性的な中毒症状の再発が起きやすいので、少しずつでもルーティンを取り入れ生活習慣を整えましょう、ということです。
 また良い習慣は、中毒障害を持つ人々に不足していることが多いセルフイメージと自信を向上させることができます。

2, メンタルヘルスの課題

 研究では、概日リズム(昼夜に合わせて自律神経系や代謝・内分泌系なども調節されている生理現象。体内時計ともいいます)の乱れている人は孤独である可能性が高く、幸福度も低いことも発見されました(Circadian rhythm disruption and mental health, 2020)。
 これらも生活リズムの習慣化(起床・就寝の時間や食事の時間を決めるなど)によって、概日リズム・体内時計の乱れも必然的に整い、心のアップダウンなども落ち着き、メンタルヘルスも改善すると期待されます。

習慣化の5つのコツ

 以前、習慣化によって脳は省エネで動くことを好みますが、マインドフルネスでは呼吸をはじめとした日々の動作を意識的に集中して行うことで集中力を養います、という話をしました。
 これは今回の話と相反するような気もしますが、日々の家事やルーティンを心ここにあらずで自動的に行いつつ過去や未来へ思考が彷徨って思い悩むよりも、一つ一つのルーティンを意識的に行い『今ここ』に集中することは、脳の集中力を高め、アイドリング機能であるDMNを抑えて省エネに繋がるので、矛盾しないと考えます。

 ではここで習慣化を成功させるためのコツをご紹介します。

  1. 一度に多くの変更を加えない
  2. 新しいルーティンは書き留める
  3. スケジュール化やチェックリスト化するなど、自分に合った方法を選ぶ
  4. 毎日決まった同じ時間に行う
  5. きちんと習慣化ができたら、自分にご褒美をプレゼントする(ランニングの習慣化ができたらスニーカーを新調するなど)

 統計によると、人は新しいルーティンを習慣化するのに平均して約66日間かかるとのこと。
 もし続かなくてもストレスに感じたり自己嫌悪になったりすることなく、マイペースに気長に少しずつ続けてみてはどうでしょう?



Source : 瞑想チャンネル for Leaders

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ABOUTこの記事をかいた人

ライター。 博士号を取得後、日本学術振興会特別研究員・博士研究員・大学教員として教育研究に計10年以上従事(専門は分子生物学)。9割以上が男性の業界で女性が中間管理職として働く難しさを感じつつ、紆余曲折を経て小島美佳さんからマインドフルネスを学ぶ。 現在は心理学や精神世界のエッセンスを科学の言葉で咀嚼して伝える方法を模索中の、瞑想歴1-2年の初心者です。