神経伝達物質の多様性とその働き
シナプス(神経細胞と神経細胞の接合部)での伝達を担う神経伝達物質は以下の3つに大別されます。
- グルタミン酸, γアミノ酪酸 (GABA) などを含むアミノ酸類、
- オキシトシン等を含むペプチド類、
- ドーパミン、セロトニン、アドレナリン、ヒスタミン等を含むモノアミン類・アセチルコリン
現在50種類以上が知られています。
なぜそんなにも沢山の種類の神経伝達物質が必要なのか?またそれらの使い分けについては、現在も研究が行われています(参考文献例『【神経科学】感情と結びつく神経伝達物質』Nature Highlight, 2013)。
一方で、GABA受容体作動薬は睡眠薬、セロトニン再取り込み阻害薬は抗うつ薬として治療に用いられています。
脳神経ネットワークの多様性
神経の観点から言うと、あなたが何者であるかは、あなたがどう生きてきたかで決まる。(中略)
本書p14
あなたの経験はあなた固有のものなので、あなたの神経ネットワークの果てしない入り組んだパターンもあなた固有のものである。
つまり「私」を決定づける脳神経ネットワークは、環境や経験によって変化する脳内での遺伝子の発現パターン(遺伝子発現パターンは時期や臓器によって異なります)とニューロンネットワーク構築によって形作られるもので、その多様性は計り知れず、雪の結晶と同様に一つとして同じ脳内ネットワークはないと言えます。
これがヒトの個性であり、同じ状況下や同じ情報を同時に受け取っても、個々人によって認知や対応の仕方が多様となる理由であり、非常に興味深いと考えています。
脳や神経細胞の構造や機能などについては、後述する内容を理解するための最小限の説明にとどめますので、より詳しく知りたい方はぜひ本書をお手に取ってみてください!
シナプスについては、下記のHarvard XのCG動画もオススメです。