マインドフルネス瞑想をやってはいけない人たち:3つの層

小島美佳:今回は『マインドフルネス瞑想をやってはいけない人』という内容で松村さんと対談してみたいと思います。
はじめに松村さんがこのテーマを聞いたときにイメージをする人はどんな人なのか?をお聞かせいただけますか?

松村憲:はい。基本的にマインドフルネスをやると、どんな人にも一定の効果が出ると思いますが、『自己流でやってすぐ効果が出る人』と、『自己流でやるとやや危険かもという人』の大まかに分けて2つタイプがあると思っています。
この後者にあたる人たちが、ある種マインドフルネスをやってはいけない人だなと感じます。

1, メンタル系の課題を抱えている場合

松村憲:そのような人たちの例として一つ目には、メンタル系の課題を抱えている方とか鬱病を患っている人たちが考えられます。
マインドフルネス瞑想が鬱に効果があるという研究結果はたくさんあるのですが、自己流の瞑想だけではなくて、通院しながらまたは医師やカウンセラーのサポートを受けながらした方が良いと思います。

また、鬱の人がマインドフルネスだけをやっていると逆に状態が悪化するという研究もあります。
鬱にもいろいろなタイプ・傾向があるので、全員ではなくてある種類のタイプの中で、自分を責める傾向が強い・内的に自分を否定する傾向が強い方の場合、自分自身の一部分がそうした否定的思考に圧倒されてしまい鬱っぽくなる傾向があると思います。
そういう人がマインドフルネス瞑想をすると自分を責めている要素がより際立ってしまって、「もっと自分だめじゃん」と自責の念が強まってしまうかもしれません。
また完璧主義から自己否定の傾向が来るタイプの人の場合、「できてない自分はダメ」といった否定感がどんどん強くなってしまうと思います。

瞑想をしながらその状態になると、「気づいているんだけれども、気づいていることでさらに否定感を強める」という悪循環に入り具合が悪くなってしまうケースがあるかなと思います。

小島美佳:そうですね。

2, 意欲が湧かずテンションが低いとき

松村憲:二つめには、引きこもり傾向の人とかでしょうか。
鬱っぽい人と近いかもしれないですが、例えば「意欲がわかないなぁ」とか「テンション低いなぁ」みたいな時やそういう傾向がある人が瞑想をすごく一生懸命やる。
瞑想って副交感神経と交感神経のバランスが整うなど良い面もありますが、瞑想では特にリラックス系の副交感神経が優位になり、それと同時に代謝も落ちてくるわけですよね。
瞑想はエネルギーを発散して代謝を上げていくものではないので、そうすると気分もテンションも代謝も低くなってますます動きにくくなる、というのはあり得るかもしれません。
それを瞑想だけで乗り切ろうとしても逆に乗り切れない。

3, ハイテンションな状態を維持したいとき

松村憲:三つめとしては、現代人の多くの人は自律神経でいうと交感神経が優位傾向にあって、そこに適度の瞑想だったら良いバランスになると思います。
で、交感神経優位のテンションでやっているからこそクリエイティブなアイディアが出てきたり、次から次へと動いていくようなタイプの人は、あまり瞑想をし過ぎると逆にその良さが失われてしまう可能性もある気がします。

確かGoogleのクリエイターの方が、「ストレスが高いから瞑想をやったほうがいい」と言われて、瞑想を長く教え込まれて一生懸命やればやるほど具合が悪くなってきて、いつもの仕事のパフォーマンスも全く発揮できなくなってバランスを崩した、と言う話も聞いたことがあります。

だから「マインドフルネスは万人にいいですよー」と断言できない部分はあるし、これらの部分を見極めてリードしてくれる人がいるかいないかでだいぶ変わってくると感じます。

小手先のマインドフルネス・マニュアルではなくて、深い意味での瞑想プロセスの進み具合が見立てられたり、心理学も理解していたりする存在のあるなしは重要でしょう。

自分を変えたい時にどこから始めるか?

小島美佳:そうですねー。

今、松村さんのお話を聞きつつ、最初の2つの『鬱』と『引きこもり』な感じを持っている皆さんというのを想像してみたときに私がイメージしたのは、「自分の今の状態を少し変えたいなぁ」と思ったら、自分の状態を見る視点や認知を変化させることと、とりあえず行動起こしてみるという行動面から入る、の2つです。

例えば、過去に私が瞑想を取り入れたスピリチュアル的な方法、上でいうところの「認知」の部分にアプローチするようなやり方、を探求していたとき、一つだけの方法にずっと精通するあまり、他のやり方を受け入れられず出て来られなくなってしまっている人を結構見てきた気がします。自分自身もそうだったかも。

そんな時、ほんの一つの小さな行動で激的な変化を起こすことは可能だと思うんですけど、多分。
自分の認知のあり方が変わらない理由を、またさらに『認知の領域で原因を探る』ことで不思議なループにはまるんですよね。

松村憲:そうですね、あるあるですね。

小島美佳:『今の自分の見ている自分をまた見て』みたいな。
訳わかんないですよね(苦笑)。
それが鬱とか引きこもりの傾向がある方の場合には、『自分が悪い』という方向にどんどんなっていってしまう可能性はありますね。

松村憲:そうですよね。
だから瞑想の本来の良さっていうのは『自分が悪いと思っている自分がいるということにも客観的に気づく』っていうところまで行けることなんだけど、自分を責める傾向の強い人の場合、そこへの引力も強いと思うので、1人で自力で抜けていくのはすごく難しいと思います。
さらに奥を深く見ていってしまうというか。

小島美佳:そのストイックさがある故の苦しみとか、あえてそれを味わいに行ってしまうって言う感じですよね。

松村憲:今回のテーマから少し外れてしまうかもしれませんが、今、美佳さんが『認知と行動』って言ったところが興味深かったです。
マインドフルネスが認知行動療法と出会って、第3世代認知行動療法と言われていますけれども、やはりこの二つはバランスが良いんだなって改めて思いました。

マインドフルネスをやっていくと認知の歪みにも気づきやすくなり「それに気づきましょう」とかそういうアプローチをかけていくのと同時に、行動療法の部分ではアクションを変えるってことなので。 コンクリートな具体的な事があって、瞑想をやるって関係はいいんだと思いますね。

これまでマインドフルネスのいろんな伝え方があることをお話してきましたけれども、そもそもルーツは仏教だから「やっぱりマインドフルネスは仏教です」って伝えてその修行ばかりしていくと、心理学の要素とかが欠落してしまいます。
最初にお話した鬱の人とかそういう傾向の人たちにとっては、なんか仏教系の修行だけだと辛くなるだろうなと感じがしますね。

意図をもって瞑想してみる

小島美佳:そうですねー。

瞑想って「目的があってするものでは無い」っていうのはもちろん分かるんですけど、現代の私たちにとっては、「こういう風になりたい」という意図があったり、今のこの自分の何か活動をもうちょっとより良くするとか、深めるとか、ちょっとしたそういうものがあるだけで不思議ループみたいなものに入らないというか、何かフレームができるのかもしれないですね。

松村憲:そうですね、大事ですよね。

ものすごく集中できている時はマインドフル?

小島美佳:フムフム。
あともう一つの、クリエイティブ系Googleの方が書いていた「何か瞑想したらパフォーマンスが落ちちゃった」みたいな点について、もう少しお話してみたいと思います。

個人的にはとても興味深いことで、人生のステージでそういうものがあるのか? それともずっとそんな感じの人もいるのかもしれないけれども…
のめり込んで何かをやっていて、自分とそのクリエイティブな活動そのものが融合してしまっている感覚になっている状態って、それが果たしてマインドフルか?って言ったら、もしかしたらそうでは無いかもしれないけれども、ある意味時空を超越した今ここ』っていう状態に有れているのかなと思うので。

仮に、その状態が自然と日々できているなら、あえて何かを新しくやる必要もないのかなぁ、みたいなに思ったりもします。

松村憲:ほんとにそう思います!

小島美佳:それをどうやって説明したらいいんだろうって思って…。

松村憲:ちょっと小難しくなるかもしれないけれども僕の考えだと、瞑想やマインドフルネスのベースは『集中』と『ありのままの観察』って言うじゃないですか。
ただ、どこから入るかって言うと、僕も教えたりする中でやっぱり『集中』だなぁと思っていて。
集中ってある意味、力として元々持っている人もいる。
ここが培われていくと、力んで集中する必要はなくて注意力が高まっていって、なんかリラックスしているんだけれども集中しているみたいな。
まぁそれが高まったのがゾーン(参考:チクセントミハイ著『クリエイティヴィティ―フロー体験と創造性の心理学』)の状態だと思うんですよ。

そうした本来ある集中力に、瞑想要素が加わることで、その注意力に自覚や知覚が伴って磨かれると思います。

多分、今の時代って例えば働き方改革を1つをとってもそうですけれども、世の衰勢とか我々が向かっている流れって、ある種無駄なく集中させようとする圧力がかかっている気がしています。
なにかにすごく注意を向けていって、その瞬間その瞬間にすごい集中していく作業をしている人って、自ずとマインドフルネス瞑想で培われるものに近いトレーニングをしているんじゃないかなと思うんですよね。

実際に瞑想をやっている人とは多少は違うのかもしれないけれど、脳の研究とかで比較してみたら面白いと思います。
『今ここ』に集中して、これこれをこうやってと注意力を磨ききった人って、気づいたらすごいクリエイティブになっていたり、すごい瞑想状態みたいになっていたりすると思うんですよ。
だって『今ここ』にすごい強度で集中していることで、自分の仕事時間とか生活が回っているってことですよね。

深く内に入って内省する瞑想とは違うけれども、逆に言うとそういう日々の集中自体が瞑想になり得る
だから例えば禅の悟りなんかも今ここで悟るために瞑想するわけじゃないし、ウィルバーが提唱している意識状態だと『コーザル』って言われるところだったり、僕の好きなチベット仏教でいうとゾクチェン(注:人間を含むあらゆる生きものの心性における本来の様態、またはあるがままで完成された姿のことを指している。Wikipediaより引用)って言ったりするんですけれども、まぁそういう意識状態に近い気がしますね。

意識的に集中できる状態を作ろう

小島美佳:そうですね、なるほど。
それを聞いていて思ったのは、すごい集中力のある状態を瞬時に作り出せることができている人たちって、ある時それができなくなってしまうことってあるのかしら?みたいなのことがちょっと気になりました。

松村憲:例えばどんな時にできなくなりそうですか?

小島美佳:ある種、彼らにとって「集中に入り込めるための外的な条件」みたいなのが整っていないといけないような気もするっていうか。

松村憲:確かにそうですね。

小島美佳:それがなくなったときに、もしかすると内省的な瞑想みたいなものを始めるきっかけが始まったりするのかもしれないですね。

松村憲:そうですね、
それとか普段やっているすごいフロー的・瞑想的なステートは意識的にできるんだと知る、そういう感じですかね。
知らない間にできていたとしたら、そこに意識して入れるような条件を自分で整えてあげられるような工夫をすると良いと言う事ですね。

小島美佳:なるほど、ちょっと謎が解けました。(笑)

今回の対談はこれで終了です。

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ABOUTこの記事をかいた人

瞑想歴17年以上。 15歳までヨーロッパで育つ。慶応義塾大学を卒業後、アクセンチュアで組織戦略・人材開発のコンサルティングに従事し異例のスピードで昇進。アクセンチュア・ジャパン 史上 最も若い女性マネジャーとして抜擢される。その後、独立系コンサルティング企業でビジネス開発に携わる傍ら、キャリアコンサルタント及びコーチとして活動。不確実な時代の波を乗りこなす事業の在り方やビジネスパーソンとしての生き方について考えはじめる。 2003年、瞑想に出会い習慣化するようになる。2010年よりビジネスの世界で活動をつづけながら、年間500名以上のクライアントへ瞑想的なテクニックを活用したカウンセリングを行っている。株式会社バランスオブゲーム代表。 監訳書:『コーチング術で部下と良い関係を築く』 共著:『「ハイパフォーマーの問題解決力」を極める』