目次
内なる平穏を求めて:ビジネスリーダーたちが注目するヴィパッサナー瞑想の魅力
ストレス過多の現代社会で、内なる平静さを獲得することは、ビジネスリーダーにとって新たな競争優位の源泉となっています。前回ご紹介した、Twitter元CEOのジャック・ドーシー氏も好んで実践し、注目を集めるヴィパッサナー瞑想。
その神秘的な魅力と驚くべき効果を、瞑想歴20年以上、瞑想合宿参加経験 15回以上の心理学者・松村憲氏が、10日間のヴィパッサナー瞑想合宿を通じて得た洞察を共有します。初心者からプロまで、あらゆる段階の実践者に新たな気づきをもたらす10日間の集中修行と自己探求の旅。その日々の実践、直面する課題、そして得られる変容的体験を詳細に解説します。
なぜ世界のトップリーダーたちがこぞって瞑想に取り組むのか?キャリア発展と個人の成長に瞑想をどう活用できるのか?ヴィパッサナー瞑想合宿の体験を通じて得られた洞察と、ビジネスの現場で即実践できる具体的なアドバイスをお届けします。
ヴィパッサナー瞑想:心と身体の変化を観察する古代の智慧
ヴィパッサナー瞑想は、自己の心身に生じる変化をありのままに観察し、その本質を理解することで苦しみからの解放を目指す瞑想法です。「ヴィパッサナー(Vipassana)」という言葉は、ブッダの時代から伝わる古代パーリ語に由来し、日本語では「洞察瞑想」とも呼ばれています。
この瞑想法の核心は、
「ヴィ(離れて見る)」と
「パッサナー(観察する)」
を組み合わせた「ありのままを見る」という概念にあります。これは現代のマインドフルネス瞑想の根幹となる原則でもあります。
科学が裏付けるヴィパッサナー瞑想の効果
ヴィパッサナー瞑想の実践は、科学的研究によっても裏付けられた多様な効果をもたらします。主なものは以下の通りです。
- 幸福度の向上と自己への思いやりの増加
- 不安感が軽減し、感情コントロール力の強化
- 睡眠の質の改善とストレス軽減
- 注意力の向上による仕事や学業パフォーマンスの飛躍的改善
これらの効果は、瞑想実践者の日常生活に大きな変化をもたらし、全体的な生活の質を向上させます。
10日間のヴィパッサナー瞑想合宿:心の奥底への旅
Twitter元CEOのジャック・ドーシー氏も経験した10日間のヴィパッサナー瞑想合宿。15回以上の参加経験を持つ私が、その内容と体験をお伝えしたいと思います。
多様な参加者が集う
まずどんな人が合宿に参加しているかというと、ビジネスマン、普通の会社員の人が来ていたり、主婦の方も来られますし、若い方だと学生さんとかもいらっしゃいます。あとは、ほんとに自分を変えたいとか、心理的にいろいろ不安定で変わりたい、みたいな人もいたりします。
年齢、性別、職業、宗教を問わず、誰もが参加できるのがこの合宿の特徴です。ただし、特定の疾患がある方は、必ず事前に主催者に相談することをお勧めします。
厳格な修行生活:心の静寂を求めて
合宿生活は、まさに「プチ仏教修行」の様相を呈します。参加者は以下のような戒律・厳格なルールを遵守しながら、内なる探求の旅を続けます。
1, 沈黙を守る
「10日間 人とは喋りません」というルールができます。ですから10日間、他者との会話や筆談は禁止され、そのルールを守りながら毎日瞑想を続けていきます。もちろん困ったことがあったりしたら、いつでもスタッフへの相談や先生への質問は可能です。
しかし、本当に厳格なルールとして『沈黙、何もしゃべらない』があります。
2, 五戒を守る
仏教の基本的な戒律である五戒と言われる、仏教において一番位の低いというか俗世間の我々(在家信者)も守るべき戒律を守ります。
※五戒とは、具体的に、殺生しない、盗まない、不正行為をしない、嘘をつかない、酒や薬物を摂らない、の5つ
3, 1日2食のベジタリアン食
上述の五戒の中の「殺生しない、動物を殺さない」という戒律に基づき、動物を食べない、10日間 野菜中心のベジタリアン食が提供されます。
そして合宿は、お寺の修行のような感じで食事回数も朝と昼の1日2食になります。夕食・夜食は抜きです。夕方にフルーツぐらい出たかもしれませんが、夜のフルーツは修行進めている人には出ないことで、夜は空腹感とともに朝まで静かに過ごします。
4, 娯楽の禁止
インターネットや携帯電話などの電子機器の使用の禁止、さらに音楽鑑賞や読書も禁止とされています。
瞑想合宿の実際:心の深層へのダイビング
では10日間の修行中に実際何をするかというと、まず朝夕に1時間程度、全参加者がホールに集まって座る、という時間があります。これは必ず参加しなければならない時間で、日本でも結構流行っているヴィパッサナー瞑想の基本的な方法を行います。7-80人が一斉に集まって座って瞑想する、みたいなことをやっています。
その他の時間はホールで座ってもいいですし、自分の部屋の中で自分のコーナーが与えられるので、そこで過ごしても大丈夫です。ただ、とにかくひたすらに修行をしなさいということで、大体1時間ごとに鳴る鐘の音に合わせて、その時間はスケジュールに従って静かに座って教えられた瞑想を個人で実践します。
段階的に深まる瞑想体験
合宿で教えられ実践する瞑想は、段階的に深まっていきます。
1, 集中瞑想(サマタ)
合宿の前半はひたすら呼吸への集中瞑想を行います。集中瞑想はサマタと言われていて、マインドフルネスでも「呼吸に集中して集中力を鍛えましょう」と言われますが、このひたすらに呼吸に集中にする瞑想を3日間位続けます。
そこでひたすら集中を続けて集中力は高まるのですが、中には帰りたくなる人や雑念が湧いてきて苦しむ人、悪夢を見始める人とかもいます。ずっと呼吸に集中していると、心の中の奥深くに眠っていた心の汚濁のような不純物がたくさん出てきて苦しい、といった経験をしたりします。
2, 観察瞑想(ヴィパッサナー)
合宿の後半は観察瞑想(ヴィパッサナー)を行います。集中瞑想で生じた雑念・思考や不快な感覚も含めて、出てくるものは何でも起きるままに放っておきながら、今ここに集中していく、感覚の変化を観察、という瞑想を行ないます。マインドフルネスでいうところの「ありのままを見る」ということを、ずっと集中と観察を組み合わせながらやっていきます。
3, 慈悲の瞑想(メッター)
そして最後の帰る間際に、慈悲の瞑想を取り入れて穏やかな気持ちで合宿を締めくくります。慈悲の瞑想はメッターと言われていて、自分や他人に対して幸せや平和を願う瞑想です。
10日間のヴィパッサナー瞑想合宿:心の変容と自己発見の旅
各々いろんな経験をされると思います。
「すごく、いい体験だった」「自分の心や身体の感覚に気づくことができた」「心に大きな変化を感じた」という人もいれば、「もう二度と来るか!」って思う方もいらっしゃるかと思います(苦笑)。
ドーシー氏も合宿期間の10日間は携帯電話やPCを自由に触れず、じっと座り続けることを最初は苦痛に感じた、とおっしゃっていました。
呼吸に集中することも最初は難しいと感じて、眠気に襲われたり、体の感覚が研ぎ澄まされ痛みや痒みを強く感じたり、不快な感覚に苦しむ方もいます。
けれど、10日間やり切ることで最後には本当ににスッキリするので、修行も深まると感じます。私自身も合宿が終わった後に大きな変化を感じ、それこそ20代の頃はまとまった時間があれば通い、15回以上瞑想合宿に参加しましたし、そこで得られた体験や感覚は今も活きています。
瞑想を修行的に集中して体験してみたい方には何かしら得られるものがあると思いますので、もしこの記事を読んで興味を持っていただいたとしたら、ぜひ一度チャレンジしてみてください。
◼︎日本で瞑想合宿に参加するには
日本では日本ヴィパッサナー協会が主催しており、2024年現在、京都と千葉の2ヶ所に合宿できる施設があります。
< follow us ! >