職場の人間関係ストレスを 瞑想で改善する|心理学博士のお墨付き

小島美佳:今回は松村憲さんと一緒に、職場における苦手な人とのお付き合いや、その人と自分をマインドフルに客観的に見ること、またこのテーマで新しい洞察を得よう、といったお話をしてみたいと思います。

(こちらの記事は公式YouTubeでレクチャー動画も視聴することができます)

 

【職場の人間関係】変化によるストレス

小島美佳:最近、私自身が4月から色々な方のコーチングを始めています。相手は職場でビジネスに関係している方が多いんですけれども、その中でも「4月から新しい組織になり、上司が変わったり職場のメンバーが変わりました」というのをお聞きします。
 4月から2ヶ月ぐらい経って、例えば上司についてですと 慣れ親しんでいた以前の上司とのやり方が全然違う。以前は柔らかい感じの人だったのが、今回は上の人が厳しめで、自分のやっている仕事をかなり細かくチェックするタイプの人だったりして… 「ちょっと怖いなぁ」とストレスに感じる。または 自分が思っていることをあんまり言えない雰囲気になってしまっていつも思ってもいないのに「はいはい」って言っちゃってますとか。そういった話とか聞くことが多いです。

 そこで例えば

  • こういった厳しめの上司とどのように付き合っていったらいいのか?
  • どういった視点でその状況を見たらいいのか?

といった点についてアドバイスを頂けたらと思います。

松村憲:なるほど、すごい、あるあるな感じもしますし、でもやっぱり慣れ親しんだ関わりを持っていた上司と変わってしまう事は、組織に属してたら誰しもあり得る状況だと思います。ですから、それはそれでビジネスマンの宿命というか…まずは「仕方がない」を受け入れてみることが大切かなと思っています。


職場での人間関係をどう構築するか?

松村憲:後は「どのようにして新しく人間関係を作るか?」という点についてですが、恐らくご自分の中でも「こうあって欲しい」「上司たるものはこうあるべき」といった、自分の心の中の思いや願望もあるかもしれません。それが ”私” の視点になるんですけど、「そうあるべきだよね」と相手も巻き込もうとしているので、このモデルがケン・ウィルバーによるインテグラル理論でいうと、

私の部分が ” I・自分 “
私と上司の関係は ”we・私たち ” という関わり

になるんですね。

インテグラル理論のIとwe
インテグラル理論で語られる ” I ” と ” we ” のモデル


 そして、自分の方からも ”we” っていう「こうありたい」といった関係性への思いがあり、逆に忘れられがちなんですけれども、皆さんの上司も私たちと全く同じように ” I ” を持っていて、彼らが期待する ” we・関係性 ” もあります。これら自分と相手の関係性への期待にズレが生じてくると「しんどいなぁ」と感じることが増え、様々な場面でストレスになってくると考えます。


違いがあることを認めて理解してみる

松村憲:新しい人間関係を構築することは本当に大変な事でもありますし、それこそ理不尽さやコンプライアンスに抵触するような状況でしたら相手が悪いんですけれども、そうでなければ「違いがあることを認めた上で、それをどうやって理解していくのか?」ということが非常に重要だと思います。

小島美佳:はい、本当にそう思います。なんとなく相手側にも ” we ” があるということを忘れていることが多々あると思うので、「それを知ってびっくり!」といった状況は、大人の人間関係でも結構あるんじゃないかなと思います。

松村憲:ありますよね、僕もしょっちゅう忘れているかもしれません(苦笑)。そういう視点に立てない脳の仕組みになっているんでしょうね、私・自我が中心でできているので。

小島美佳:そうですね、今のお話を聞くと、その上司の方の “I” と “we” がどんなものなのか?というところを知りたくなるというか、ちょっと怖いけれども知ろうと努力してみることが大事ではないかなと感じました。
 それを助けてくれる手法があるとお聞きしているので、ご紹介いただけますか?


【人間関係を改善するヒント】インテグラル理論の発達理論から

松村憲:はい。
 ケン・ウィルバーという現代アメリカの思想家が提唱するインテグラル理論というものがあり(過去記事参照)、その中で繰り返し強調されているのは『人の意識は発達するんだ』ということです。
 ですから、自分の視点だけで上司や上司との関係性 “we” を見ている状況で苦しんでいるんだとしたら、“今までの自分” を少し緩めることができると、新しいステージへ意識の発達・成長も自然と起こってくる、ということを言っています。
 そして、これまでの自分の意識や思考・思い込みを緩めることによって意識を発達・成長させるために必要となるのが、リーダーシップ開発やビジネスでの能力開発でも良く言われる「客観的になる」ということです。

ケン・ウィルバーの著書
『インテグラル理論を体感する』

 

瞑想によって、自分自身や対人関係を客観視する力が高まる

松村憲:よって、 ” I・自分 “ も、自分から見た ” we・私たちの関係性 “ も、さらに対峙している相手側の視点での ” we ” も客観的にみられるようになってくると、” 私 ” というアイデンティティーへのしがみつき(仏教などの視点で言う『執着』が緩んできます。
 その過程では、様々な感情や反応、過去の記憶や思いなども出てくるかもしれないですけど、とにかく安全な場で「みる・観察する」ということをやってみてください。これはケン・ウィルバーが言うところの「インテグラル・マインドフルネス」です。
 評価判断するのではなくて、ただ「見る」ということができるようになると、自分というものを形作っているものへの執着が緩み、距離を置くことができるようになり、新しい視点や考え方が出てきたりします。「もしかしたら上司もこうなんじゃないか」とか「むしろこちらからアプローチしたらいいんじゃないか?」といった新しい視点や気づきが、皆さん自身の中から出て来やすくなります。

 このような「評価判断することなく、ただ観察する」ということを瞑想によって訓練することができます。



 具体的には、マインドフルネス瞑想の集中の瞑想をして、客観的に自分を見て、さらに他人も見る、といった瞑想をして慣れていくと、視座が段々と上がってくると思います。そして実際、本当にそういうことが起こってくると実感しています。

小島美佳:なるほど、よくわかりました。
 それではこれからご紹介する瞑想動画の中で私たちが目指すのは、

”I・自分 “ にフォーカスしすぎた感覚やエネルギーをちょっと緩ませて、よりいろんな視点に立って、あるいは客観的に見られるようなエクサイズサイズをやる

という理解でいいですかね?

松村憲:はい。

小島美佳:それでは早速やってみたいと思います。松村さんのガイドにしたがって、今ご自分の状況の中で気になっている方、ストレスと感じている方等をイメージしながら瞑想をしていただければと思います。


■ 人間関係の客観視と視点獲得のための瞑想(約10分間)


Source : 瞑想チャンネル for Leaders

 

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ABOUTこの記事をかいた人

大阪大学大学院博士前期課程修了。認定プロセスワーカー。臨床心理士。 瞑想経験20年以上。 マインドフルネス瞑想の土台でもある、10日間のヴィパッサナー瞑想リトリート(※)に15回以上参加。タイ、インドにて長期トリートで修行を積む。  深層心理学のユング心理学にルーツを持つプロセスワークの専門家。身体性やマインドフルネスを早くより研究、実践し、個人の心理のみならず、関係性やグループ、組織を対象に仕事をしている。ビジネスシーンにおいては、プロセスワークのコーチングや、組織開発やコンサルティングに従事。企業におけるマインドフルネス研修や、大手フィットネスクラブのマインドフルネス・プログラム開発や指導者養成も行う。著書に『日本一わかりやすいマインドフルネス瞑想"今この瞬間"に心と身体をつなぐ』BABジャパン2015、共訳書にアーノルド・ミンデル著『プロセスマインド』春秋社2013、ジュリー・ダイアモンド著『プロセスワーク入門』などがある。

(株)BLUE JIGEN 代表取締
バランスト・グロース・コンサルティング(株)取締役
(一社)日本プロセスワークセンター ファカルティ
日本トランスパーソナル学会 常任理事

(※) 10日間 話さずに座り続けるもの